ベルサイユのばら

この声劇用台本は「オスカルとアンドレ」、「フェルゼンとマリー」の
4キャラに絞った構成になっているためストーリー的にかなり
端折った展開になっておりますことを予めお断りします。

全7話

オスカル アンドレ
マリー・アントワネット フェルゼン
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話
001 ジャルジェ邸、出仕の前の一時、オスカルはアンドレと朝のお茶を飲んでいた。
  アンドレ 「ポリニャック夫人やおとり巻きの権力が日増しに衰えているそうだ。それにしても喜ばしいことじゃないか。ついに今日アントワネット様は離宮よりベルサイユに戻りになり貴族たちとの謁見やその他の公務を再開なさる。おそらく、フェルゼン伯のご進言をお聞きになったんだろう」

「伯爵は今、正式に陸軍連隊付き員数外大佐として、毎日ベルサイユ宮へ伺候しているそうだ」

  閲兵場、整列した近衛兵を前にすらりと剣を抜いて、馬上のオスカルは号令をかけた。
  オスカル 「全員三歩前へ」

「ただいまより我が近衛隊はトリアノン宮よりベルサイユ宮まで王后陛下の警護にあたる。なお警護中、異状があればただちに報告、私の指示があるまで待機せよ」

  その様子をバルコニーからフェルゼンが見下ろしている。視線を感じてオスカルが振り仰ぐと、彼は片手を軽くあげて応えた。
  オスカル 「よーし、持ち場につけ!」

「フェルゼン・・ああ、フェルゼン・・あなたは誰よりもあなたを必要とし、誰よりもあなたを愛する人のもとに戻っていった。七年の空白を越え、七年の苦しみを経て、なおあなたは戻っていった」

「すばらしいことだとオスカルは思います。すばらしい方だとオスカルは思います。あなたを心から・・はじめて・・一人の女として・・」

  OP挿入曲 薔薇は美しく散る
  ジャルジェ邸、乳母が忙しそうに走りまわっている。
  乳母 「コルセットは・・と、パニエ、パニエ・・ストッキングは・・」
010 アンドレ 「どうしたんだよ、おばあちゃん。」
  乳母 「ドレスを作ってしつこく待っていたかいがあったよ」
  アンドレ 「ドレス?」
  乳母 「オスカル様がね、今夜の舞踏会に着ていくとおっしゃってるのよ」
  アンドレ 「何?オスカルがドレス?」
  オスカル 「ああっそんなに締めるな胴が千切れる」
  乳母 「じっとしていてくださいまし」
  オスカル 「痛いっ私の頭の皮を剥ごうというのか」
  乳母 「セットでございますよ。ヘアーにはスタイルというものがあるはずでございます」
  アンドレ 「正気かオスカル。俺のオスカルがちゃらちゃらドレスなんか着て、男どもと踊るっていうのか」

「へん、オスカルがドレスなど着てみろ。のっぽの案山子に布きれ被せるようなもんさ。見られるもんか。ははは・・・」

020 乳母 「アンドレ、ちょっとおいで」
  アンドレ 「はいはい、はーい」
  乳母 「アンドレ」
  アンドレ 「はいはい」
  乳母 「ご覧よ、お嬢様のドレス姿」
  アンドレ 「はいはい」
  N 祖母に促されて階段に足をかけたアンドレは踊り場に立つオスカルに目が釘付けになった。

その夜、舞踏会場に現れた謎の美女に客たちの関心は集中した。

オスカルがゆっくりと視線を巡らすと、フェルゼンがいた。オスカルはフェルゼンの側まで歩み寄るが、その脇を通り抜けた。

  フェルゼン 「どこかで見たことが?」

「奥様、一曲お相手を。」

  N オスカルは無言で頷く。楽団がメヌエットを演奏する。踊る二人に賞賛の声があがった。
  フェルゼン 「伯爵夫人、お国はどちらなのですか。私はあなたにたいへんよく似た人を知っているのです。美しい人でやはりブロンドの髪で、心優しく教養も高く、自分の思想のためには命もかけるような。普段は金モールの軍服に薫る肌を包み、さながら氷の花のように男性のまなざしを拒む。私の一番大切な美しい友達・・」
030 N オスカルがよろけて倒れそうになるのをフェルゼンは手首をつかんで引き寄せると、背中を支えた。オスカルはうっとりとしてフェルゼンを見上げる。フェルゼンもオスカルの吸い込まれそうに青い瞳に惹きつけられていた。
  フェルゼン 「もしや・・あなたは?」
  N オスカルはするりとフェルゼンの腕から抜けるとその場から走り去った。
  オスカル 「フェルゼンの腕が私を抱いた、フェルゼンの瞳が私を包み、その唇が私を語った。諦められる・・これで・・これで私は諦められる・・・」
  N 夜、貴族の館では舞踏会が催されている。庭に忍んでいた黒装束の男が鈎のついた投げ縄を屋根飾りにひっかけると、するすると石の壁を上った。二階の窓から進入すると、宝石箱から宝石を盗み出した。停めていた馬に身軽に飛び乗ると風のように走り去った。

ジャルジェ邸、 乳母が鍵の束をじゃらじゃらいわせながら家中の戸締まりをしている。

  乳母 「ええと・・ああそうそう、裏口裏口・・と」
  オスカル 「どうしたばあや、馬鹿に厳重に戸締まりをしているじゃないか」
  乳母 「そりゃあ、お嬢様、このごろは物騒で物騒で」
  オスカル 「黒い騎士か・・」
  乳母 「ええ、ええ、それも貴族の館だけを狙うという噂・・」

「まあえらいことで・・まったくもう・・いやな世の中になってきたもんですよねえ・・」

040 オスカル 「アンドレはどうした?姿が見えないようだが」
  乳母 「おや、今夜もおりませんか?どうしたんでしょう、あの子・・この頃、夜になるとどこか行ってしまって」
  N アンドレが帰ってきた。馬を厩舎にいれると、屋敷へ入り玄関の鍵をかけた。自室へ引き上げようとしていたオスカルがアンドレを呼び止めた。
  オスカル 「アンドレ」
  アンドレ 「ん?」
  オスカル 「遅くまでどうした?」
  アンドレ 「ああ、ちょっと遠乗りしてね」
  オスカル 「こんな寒い晩にか?」
  アンドレ 「気持ちが落ち着くんだ」
  N オスカルはアンドレの上着のポケットから首飾りが覗いているのに気づいた。
050 アンドレ 「じゃあ、おやすみオスカル」
  オスカル 「おやすみ」
  N オスカルの胸に黒い不安が厚い雲のように垂れ込めた。
  アンドレ 「何?全部の貴族の舞踏会の日程表を作れって?」
  オスカル 「ああ、これからは舞踏会という舞踏会には必ず顔をだす」
  アンドレ 「いったい、どういう風のふきまわしだ」
  オスカル 「黒い騎士があらわれるのを待つんだ。奴はきっと舞踏会を狙っている」
  アンドレ 「わかった。さっそく日程表を作ろう。しかし、オスカル黒い騎士のことは警察が・・」
  オスカル 「日程表を急いでくれ。できるだけ早く始めたい」
  アンドレ 「うん」
060 N ジャルジェ邸、バルコニーでオスカルとアンドレは朝のお茶を飲んでいた。
  アンドレ 「あー、舞踏会もいいが、こう連日連夜ではさすがにまいります」
  オスカル 「今夜はこのリストによるとダンギャン侯爵家だな」
  アンドレ 「ふーう、オスカル」
  オスカル 「うん?」
  アンドレ 「こうまでして、捕らえる必要があるのかな。誰に危害を加えるわけでもないし、噂では金品を貧しい者に分け与えているとも聞く」
  オスカル 「盗人は盗人だ、放っておくわけにはいくまい」
  アンドレ 「まあ、それはそうだが」
  N 夜、オスカルがアンドレを探している。
  オスカル 「アンドレ、アンドレ!」
070 乳母 「お嬢様・・」
  オスカル 「ばあや、アンドレを見なかったか?舞踏会に行く時間なんだが」
  乳母 「はい、それがあの・・先ほど一、二時間外へ出てくると・・」
  オスカル 「何?」
  乳母 「それで・・戻るまでどうかお嬢様にお待ちいただくようにと言い残しまして・・」
  オスカル 「そうか・・わかった・・よい、今夜の舞踏会には一人で行ってみよう」
  乳母 「お嬢様・・おひとりではこの夜道・・まったくもう、大事なお嬢様をほっぽってどこ行っちまったんだろうね、アンドレめは・・馬鹿息子!」
  N 舞踏会会場に現れた黒い騎士は巨大なシャンデリアに飛び乗り、反動をつけて揺らすと、天窓のガラスを破って庭へ飛び降りた。
  オスカル 「「おのれ!」

「パリへ逃げ込む気だな。」

  N オスカルは黒い騎士を追ってパリの町中へやってきた。
080 オスカル 「あれは・・パレ・ロワイヤル・・オルレアン公の居城!」
  N オルレアン公は時期王権を狙う国王の従兄であり、その居城パレ・ロワイヤルには密かに反国王派が集まっているという噂があった。
  オスカル 「だが・・しかし、まさか・・ここに黒い騎士が・・」
  N ジャルジュ邸、広間。オスカルがアンドレを詰問している。
  オスカル 「どこへ行っていた。あの時だ。一、二時間出かけると言ってどこへ行っていた。あの時だけではない。遠乗りをすると言っては度々出かけている。いったい、どこへだ?何をしている。いや、責めるつもりはないんだ、ただ・・ただ、私は真実が知りたい」
  アンドレ 「知っていたよ。俺を疑っていたのは。案内しよう俺が遠乗りへ出かけるところへ」
  N アンドレは畑の真ん中にある小さな教会へとオスカルを導いた。
  アンドレ 「あの農夫相手の小さな教会が俺の遠乗りの場所だ。中へ入って驚くなよ、オスカル。あの中には貴族もいれば農民もいる。新しい時代を知ろうとする。」

「今フランス人民はその97%が第三身分と呼ばれる農民、商人、職人だ。そして貴族ではない全ての人々その97%の人は重い税金をとられ、毎日のパンにも事欠いている。誰がその税金を使うのか。それは残りのわずか3%の貴族たちだ。97%がわずか3%の特定の階級のために。そんな事が許されるだろうか」

「神はすべての人を平等に作りたもうたはずだ。勉強会、とでもいえばいいのかな。週に二、三度あの教会で開かれるんだ。俺はつい最近まで自分が鈍感で楽天家だと思っていた。でも、その俺にも何かが聞こえて来るんだ。新しい時代の音が、ごおごおって。俺は貴族の家で育ち、貴族のために働いている。でも、貴族ではない。せめて新しい時代が何であるかを知ろうとする権利くらいはあると思っている」

  オスカル 「黒い騎士はその新しい時代への代表者だとでもいうのか」
  アンドレ 「そうは言ってはいないさ。おまえの言うように盗人は盗人だからなあ。だが、貴族への民衆の気持ちを代弁していることは事実だ」
090 オスカル 「会ってみたい。捕らえてあの仮面を剥がしてみたい。ただの盗人なのかそうではないのか。おまえは好きにしろ、無理強いはしない」
  N 黒装束に身を包んだオスカルは鏡の前で仮面を付けようとした
  アンドレ 「その金髪じゃ無理だな。黒い騎士の偽物になっておびき寄せようという魂胆なんだろう。アイディアはいいが、実行は難しい。体つきも少しほっそりしている。その点、俺ならぴったりだ」
  N アンドレはナイフを取り出すと、自分の髪を切った。 黒い騎士の装束を身につけたアンドレはオスカルに尋ねた。
  アンドレ 「どうだオスカル、おまえの見た黒い騎士と比べて」
  オスカル 「うん、夜ならば見間違う」
  アンドレ 「ふっふっふっ」
  N アンドレは大げさな身振りで姫君に傅く騎士のようにオスカルの前で膝を折った。

アンドレ扮する偽黒い騎士は次から次へと貴族の屋敷を襲った、それにオスカルも常に同行していた。ジャルジェ邸、 アンドレはクロゼットを開けて口笛を吹いた。中には連夜の収穫がぎっしりと納めてある。

  アンドレ 「なあオスカル、俺には盗人の才能があるのかなあ」
  オスカル 「しかしその盗んだ宝石、黒い騎士を捕らえた後は持ち主に返さねばな。騎士は騎士らしく、礼儀正しくな」
100 アンドレ 「わかってます」
  オスカル 「この仕事が終われば勉強会へでもどこへでも毎日行くがよい」
  アンドレ 「はっきり言っておくがオスカル。時代の流れは貴族には不利だ」
  オスカル 「その時は遠慮はいらん、おまえは貴族ではないのだから」
  N アンドレはオスカルの背中に心の中で話しかけた。
  アンドレ 『何を言うか、オスカル。俺が自分のためにだけ時代を見ようとしているとでもいうのか。俺がおまえを見捨てると思っているのか。オスカル、俺はおまえのためにも・・』
  オスカル 「アンドレ、そろそろ日暮れだ、用意をしよう」
  N カラスが窓辺に立っていたオスカルを襲い、彼女は手にしていた茶碗を取り落とした。茶碗の欠片が床の上に散らばり床に舞い降りた黒い羽根がオスカルの不安を掻きたてた。
  アンドレ 「大丈夫かオスカル」
  オスカル 「ああ、たいしたことはない・・しかし・・何かいやなかんじだ・・大切なものを失うような・・」
110 アンドレ 「はは、何を言っている」
  N 城に侵入したアンドレは今夜も宝石を盗み出すことに成功した。
  アンドレ 「ふふふ、才能あるどころじゃないね。天才かもしれんぞ、俺は」
  N そこへ黒い騎士が現れる。2人の黒い騎士が対峙する。
  アンドレ 「ついに出てきてくれたか、意外と遅かったな、本物さんよ」
  N 気配を感じて振り向くと、そこには馬に乗ったオスカルが銃を構えていた。
  オスカル 「これまでだ、おとなしくしろ」
  N 黒い騎士はアンドレに斬りかかる。二人は激しく斬り結ぶ。黒い騎士の剣がアンドレの左目を掠めた。
  アンドレ 「うあっ!」
  オスカル 「アンドレ!」
120 アンドレ 「目、目が・・」
  N 夜が明けようとしていた。ジャルジェ邸は静寂に包まれていた。 寝台に横たわるアンドレの目を医師が診察している。傍らにはオスカルと乳母がつきそっている。
  医師 「うむ・・傷は浅くはない。よろしいですな、指示があるまでは決して包帯は取らぬように。さもないと、永久に片目を失明するかもしれませんぞ」
  乳母 「先生、片目くらいなくたって男は大丈夫でございますよね」
  医師 「おばあちゃん。まだ失明と決まったわけじゃありませんよ。元気だしなさい」
  N 左目に包帯を巻き横たわるアンドレの痛々しい姿をオスカルは枕辺で見つめていた。アンドレは閉じていた右目を開けると言った。
  アンドレ 「黒い騎士はどうした?」
  オスカル 「残念ながら取り逃がした」
  アンドレ 「なぜだ、なぜ捕まなかった。さんざん苦労してやっとつかんだチャンスだったのに」
  オスカル 「馬鹿を言うな、アンドレ。おまえをほっておいて、奴を追えるはずがない」

「夜明けだ、アンドレ」

130 アンドレ 「おまえの目でなくてよかった・・ほんとうに・・」
  N 窓の外を見ていたオスカルはその言葉にアンドレを振り返った。穏やかに微笑むその顔を見て、オスカルは言葉をつまらせた。
  オスカル 「アンドレ・・」
  N 数日後、アンドレの部屋では部屋を暗くして医師がアンドレの診察をしていた。医師はアンドレの目の前で、ろうそくの火を左右に揺らしながら尋ねた。
  医師 「どうかね、何か見えるかね?」
  アンドレ 「はい、ぼんやりと・・少し」
  乳母 「あの、先生・・どうなんでございましょう」
  医師 「消毒をして包帯をしますから、それが終わったらカーテンを開けるように」
  N アンドレの治療を見守りながら、オスカルは以前黒い騎士を追ってパレ・ロワイヤルへたどり着いたことを思い出していた。
  オスカル 「パレ・ロワイヤルか・・ひとつ、乗り込んでみるか・・」
140 N 二日後。夕刻、アンドレは医師の指示どおり左目を消毒していた。
  乳母 「アンドレ、手伝おうか?」
  アンドレ 「いいよ、それより誰かにオスカルの馬を洗うように言ってくれ。俺、当分できそうにないから」
  乳母 「そのオスカル様なんだけどね、もう二日もお戻りにならないんだよ」
  アンドレ 「何?」
  乳母 「パレ・ロワイヤルを正式訪問なさった日からご連絡もなく。使いを走らせたら、オスカル様はその日のうちにお帰りになったとのご返事・・」
  アンドレ 「パレ・ロワイヤルだと・・」
  N パレ・ロワイヤル、石牢にオスカルは監禁されている。鉄の扉の外には黒い騎士がいる。黒い騎士はオスカルに、ジャルジェ将軍宛の手紙として、オスカルの命と引き換えに銃500丁を渡すことを書けとオスカルに強要した。
  オスカル 「私を甘く見るな。本当に私がそんな手紙を書くとでも思っているのか」
  N 寝台に横になっていたアンドレはいても立ってもいられず、鏡の前に立つと包帯に手をかけた。医師の言葉が頭をよぎった。
150 医師 「指示があるまでは決して包帯は取らぬように。さもないと、永久に片目を失明するかもしれませんぞ」
  N 解かれた包帯が床にわだかまる。アンドレはそっと右目を開けた。火の灯された燭台に目をやると、ロウソクが幾重にもぶれて見えた。

アンドレは黒い騎士の装束を身に纏うと、パレ・ロワイヤルを目指した。アンドレは鉄柵を身軽に乗り越えると、地下へ通じる扉から館の内部に潜入することに成功した。

見張りの男が立っていた。アンドレは後ろから男を殴り倒すと、物陰に引きずり込んで鍵束を奪った。オスカルの捕らわれている牢を探し、明かりの漏れている扉に気づく。

扉の覗き穴から吊り寝台に寝ているオスカルを確認すると掛けられた軍服をめくった。軍服の下にあったのは毛布を丸めたダミーだった。アンドレの死角に潜んでいたオスカルが飛びかかった。アンドレは間一髪でそれをかわした。

  アンドレ 「ま、待て、オスカル。俺だ、俺だよ」
  オスカル 「アンドレ」
  アンドレ 「まったく、もう。危うく首を折られるところだ。」

「待て、オスカル。誰か来る。」

  オスカル 「黒い騎士だ。よし、アンドレ銃を貸せ」
  アンドレ 「えっ!」
  オスカル 「ここまで乗り込んだんだ。奴を連れ帰る」
  N オスカルが逃げたことを確認した黒い騎士は後を追うが、目の前にいきなり黒い騎士姿のアンドレが現れて、愕然とした。その隙にオスカルが黒い騎士の背後から近づき、背中に銃を突きつけた。
  オスカル 「銃を捨てろ、黒い騎士。今度は私の番だ」
160 N オスカルを後ろに乗せて、黒い騎士は騎馬でパレ・ロワイヤルの門を出た。パリの町を見下ろす小高い丘
  オスカル 「よし、ここで止まれ。アンドレを待つ」

「さあ、おまえも馬から降りろ」

  N 黒い騎士は、オスカルが武器を持たない人間を背中から撃てるような奴じゃないと言い放ちオスカルの言葉を聞かない。馬にまたがったまま、オスカルに背を向けて去っていこうとした。オスカルのピストルが火を吹いた。
  オスカル 「アンドレの目をやったのはおまえだ。今度なめた真似をしてみろ。おまえの左目に鉛玉をぶちこんでやる」
  アンドレ 「どうした、オスカル、今の銃声は・・殺したのか?」
  オスカル 「奴の仮面を剥げ。素顔を見るんだ」
  アンドレ 「よし。」

「この男・・たしか・・ロベスピエールといつも一緒にいた男・・」

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