オリジナル台本
BLUE COSMOS
ライ | 《男》特殊犯罪調査機構(SCCO)の調査員(26歳)
ダンシングマーメイドの調査に来る。その時、マーシェルに出遭う。2人は互いを意識するが運命が2人を引き裂く。調査能力はずば抜けている。だが一匹狼的性格で単独行動をとることが多い。 |
ユキト | 《男》特殊犯罪調査機構(SCCO)の調査員(25歳)
ライと一緒に調査に来る。飄々としたつかみ所のない男 |
デラッド | 《男》特殊犯罪調査機構(SCCO)の調査局長(58歳)
ライの上司。ロマンスグレイの紳士。一見固そうだが、なかなか冗談の通じるオジ様である。 |
リンカ | 《女》特殊犯罪調査機構(SCCO)の調査員(22歳)
地球にいるライの恋人。ひたすら待ちつづける悲しいさだめ・・・。優しい、つくすタイプである。 |
マーシェル | 《女》ダンシングマーメイド(19歳)
謎多い少女。彼女は人間か・・サイボーグか・・。ライを一目見て恋に落ちる(いまどき珍しい)寂しげな眼が印象的・・。 |
ガーバレイ | 《男》(48歳)サイバーブローカーのボス・・いわゆるブラックマーケットの元締め |
ルミエナ | 《女》空間演舞堂イカロスのオーナー ガーバレイの愛人(26歳) 艶やかな妖しい雰囲気を持つ女性 |
ナレーション |
第4話 永劫の彼方へ
第1話 | 第2話 | 第3話 | 第4話 |
001 | リンカ | 「綺麗な星・・。空なんて眺めるのって何年ぶりかしら・・・わたしとライは、孤児院で出会ったの・・。」
「わたしが入院したときにはもう、ライは居たのよ。ライはとっても正義感が強くって、曲がった事が大嫌いだった。将来、大人になったら警察官になるんだって言ってた。まさか特殊犯罪調査機構なんかに入るなんて思ってもみなかったわ。ライと私は4つ違いでライがお兄さんだった。孤児院でなかなか馴染めずいじめられてた私をライがかばってくれたわ。」 |
002 | N | どこか遠い目で星をながめながら話すリンカの顔をマーシェルはじっと見つめていた。 |
003 | リンカ | 「あ・・ごめんなさいね。見ず知らずのあなたに、こんな事喋ったりして。」 |
004 | マーシェル | 『そんな事無い・・ライの温かさ、強さを知る事が出来ました・・。』 |
005 | N | マーシェルの思いは声に出す事はできなかった。 |
006 | リンカ | 「わたし、ライが好き・・。たとえ以前のように戻らなくても。今のライを愛してる。私・・ライと結婚しようと思うの。そして、この場所でいつまでも二人で暮らしていくの・・。」 |
007 | マーシェル | 『ああ・・こんなにも、深く、強くライを愛してる女性が居る・・。私がここに来たのは間違いだったの・・。彼女とライの育んでできた愛の時間・・それは私が入る隙間も無いほど長く、そして強いもの・・。でも・・・わたし・・・・ライが・・好き・・いいえ・・愛してる。この気持ち・・・抑える事・・出来ない・・。』 |
008 | リンカ | 「ごめんなさい・・いきなりあったあなたにこんな事、話したりして。でも、これは私の覚悟・・私の愛し方なの・・。いつも言っちゃってから・・しまった・・って思うことがあるけど・・。ごめんなさいね、さ、もう中へ入って寝ましょう。」 |
009 | N | 満天の星は静かに瞬いている。平和で穏やかに・・リンカの願いとは裏腹に恐怖が襲ってくるのであった。
空間演舞堂イカロス。ルミエナがユキトの発するパルスの途切れたのを察知した。 |
010 | ルミエナ | 「・・・死んだのね・・・使えない男だったわね・・・。」 |
011 | ガーバレイ | 「まだ、見つける事が出来ないのか!一体いつまでかかっているんだ!さっさと探し出せ!・・どこにいるのだ・・私のマーシェル・・。」 |
012 | ルミエナ | 「ガーバレイ・・待ってなさい。私があなたの心の重りを取り除いてあげる。そうしたら、あなたはきっと私だけを見、私だけを愛してくれるようになる・・あなたは私だけのもの・・。」 |
013 | N | しばらく平穏な日々が続いた。リンカはライとの穏やかな生活がいつまでも続いて欲しいと心から願っていた。
ライはコテージハウスの外の丸太に腰をかけてじっと空を眺めている |
014 | ライ | 「俺がリンカと過ごし始めてもう半年・・でも俺はまだなにも思い出さない・・俺が一体誰で、何をしてたのか・・俺はここでリンカと過ごす事を望んでいるのか・・・。」 |
015 | N | その時、上空を引き裂く轟音が響いた。 |
016 | ライ | 「な・・なんの音だ。」 |
017 | N | 突然、空から飛来した飛行艇からレーザービームが発射される。レーザーはあたりの物を撃ちぬき吹き飛ばしていく。ライは咄嗟にリンカに跳びつくと覆い被さるように床へ腹ばいになった。 |
018 | ライ | 「大丈夫!俺がいる!安心しろ!リンカ!」 |
019 | N | 舞い降りた飛行艇からルミエナが現れた。屋根や壁を撃ち抜かれたコテージハウスの中へルミエナが入ってくる。 |
020 | ルミエナ | 「あらあら、綺麗に吹き飛んじゃったわね。」 |
021 | ライ | 「だ・・誰だ、お前は?」 |
022 | ルミエナ | 「あら・・あなたは?・・珍しい男がいるじゃない。私を覚えてないの?」 |
023 | ライ | 「な・・なんだと?!」 |
024 | ルミエナ | 「ライ・グランダーク・・こんな所で会うなんて・・・。ここにあなたのお友達が来たでしょう?」 |
025 | ライ | 「俺はお前なんか知らない!ここに何のようだ!」 |
026 | ルミエナ | 「ここにマーシェルが居るはず。あなたの昔のパートナーがマーシェルを探してここへ来たでしょ正直に言いなさい。そして・・殺した・・と。」 |
027 | ライ | 「マーシェル?だれだそれは。それにおれは誰とも会っていない!」 |
028 | ルミエナ | 「まあ良いわ・・取るに足らない人間がひとり消えただけ・・もっとも、あれが人間だったといえるかどうかは疑問だけどね・・。」
「それにしても・・ライ・・あなた・・記憶が無いようね。・・ホホホホホ・・楽しい事があるものね・・そう、あのライ・グランダークが記憶喪失で只の男になってるなんて。ここであなたも死になさい。」 |
029 | N | ルミエナが手にしたレイガンで狙い撃つ。レーザーが壁を焦がし天井を焼き、家具をを吹き飛ばしていく。 |
030 | リンカ | 「ライ!これを使って!!」 |
031 | N | リンカがライにレイガンを放り投げる。その一瞬の行動の隙をレーザーが襲った。レーザーはリンカの腹部を貫通した。衝撃でリンカが吹っ飛び床に転がった。 |
032 | ライ | 「リンカ!!くそ!!」 |
033 | N | ライが狙い撃ったレーザービームがレイガンを持つルミエナの手を焦がし、胸を撃ちぬいた。 |
034 | ルミエナ | 「うぐ!・・・くぁっはぁ・・・・ガ・・ガーバレイ・・・。」 |
035 | N | ルミエナはよろめくきながら飛行艇に乗り込み、急発進させた。砂埃が巻き上がる。ライはルミエナを追うのをあきらめ、撃たれたリンカのもとへ走った。 |
036 | ライ | 「リンカ!大丈夫か!!」 |
037 | N | 「リンカの腹部から大量の血が流れ出している。ライが体を揺すると、僅かに目を開いた。 |
038 | リンカ | 「ライ・・無事だったのね・・よかった・・あなたが助かって本当に良かった・・また、元気になったら私とここで一緒に・・。」 |
039 | ライ | 「リンカ!リンカ!!」 |
040 | N | マーシェルが湖から戻ってきた。そして目の前に広がる惨状に絶句し、自分を責めた。 |
041 | マーシェル | 『・・なんてこと・・私のせいだ・・・私が逃げたりしたから・・なんてこと、どうすれば良いの・・。』 |
042 | N | 空間演舞堂イカロスの中央管制室。ルミエナが苦しそうな息をしている。そこへガーバレイが入ってきた。 |
043 | ガーバレイ | 「・・ルミエナ!今まで一体どこへ行っていたんだ!」 |
044 | ルミエナ | 「ガ・・ガーバレイ・・。」 |
045 | ガーバレイ | 「ん・・なんの匂いだ・・これは血の匂い・・。」
「どうした!何があったんだルミエナ!」 |
046 | ルミエナ | 「ん・・く・・。」 |
047 | ガーバレイ | 「こ・・これは!ルミエナ!お前撃たれてるのか!!」 |
048 | ルミエナ | 「ガーバレイ・・私の愛した男・・。」 |
049 | ガーバレイ | 「誰にやられた・・ルミエナ!」 |
050 | ルミエナ | 「うう・・っく・・」 |
051 | N | 力無くガーバレイへ体を預けるルミエナ・・その体は胸から流れ出た血によってぐっしょりと濡れていた。 |
052 | ルミエナ | 「ごめんなさい・・ガーバレイ・・あなたに謝らなければいけないことがあるの・・。」
「マーシェルのこと・・・マーシェルを逃がしたのは私・・。」 |
053 | ガーバレイ | 「な・・なんだと・・何故だ・・ルミエナ・・。」 |
054 | ルミエナ | 「私はあなたに振り向いて欲しかった。でも、あなたはいつもマーシェルの事ばかり。私の事など眼中になかった。」 |
055 | ガーバレイ | 「ルミエナ・・死ぬな、ルミエナ!」 |
056 | ルミエナ | 「私は・・あなたに愛して欲しかった・・・。マーシェルさえいなければ・・・わたしの心はマーシェルに対する憎悪でいっぱいだった・・。」
「でも・・・それがますますあなたがマーシェルの事を強く想う結果になっていたなんて・・。」 「あぁ・・・ガーバレイ・・私に死ぬなと言ってくれるのね・・。いまやっと私はあなたの腕の中にいる。」 |
057 | ガーバレイ | 「死なせはしない!お前を死なせはしない・・」 |
058 | ルミエナ | 「待って・・・私を機械に変えるのはやめて・・・ガーバレイ・・・人間として死んで逝きたいの・・。」
「いいの・・このままで・・。ガーバレイ・・お願い・・最期に私にキスをして。あなたのその腕の中で、あなたのその胸に抱かれていたい・・。」 |
059 | N | ガーバレイは静かにルミエナにキスをした。ルミエナの目から涙が紅い血の跡を引き、頬を伝った。 |
060 | ルミエナ | 「あ・・りがとう・・。」 |
061 | ガーバレイ | 「っは・・ルミエナ・・ルミエナ・・ルミエナぁ!!」 |
062 | N | 病院にて、医師がライに告げた。
《せりふ・医師》 |
063 | ライ | 「リンカは・・助かりますよね。先生。」 |
064 | N | 《せりふ・医師》 「「この24時間が山ですね。・・失礼します。」 医師がライに頭を下げて部屋を出て行った。 ドアの外にはマーシェルが立っていた。マーシェルはドアの外にもれてくるライの言葉を聞いていた。 |
065 | ライ | 「リンカ・・君と俺との想い出はこの半年しかない・・。本当はもっとず〜〜っと前から知っているって君は言ってたな。俺もどこか君に懐かしい故郷の匂いを感じていた。」
「記憶を無くした俺に君はずっと尽してくれたね。俺はそんな君に最悪の結末を迎えさせてしまった・・。俺は・・君の望む全てを受け入れる。これから先の人生はすべて君のためだけに使おう。ここに誓うよ。リンカ。ずっといつまでも君だけを見つめているよ。」 |
066 | N | マーシェルの瞳に涙が浮かび、ぽろぽろとこぼれ落ちた。 |
067 | マーシェル | 『ライ・・リンカさんを幸せにしてあげて・・。さようなら。ライ。』 |
068 | N | 走り去るマーシェルとすれ違いにデラッドが病室に入ってきた。 |
069 | デラッド | 「大変だったな、ライ。襲ったのはルミエナと言ってたそうだな。」 |
070 | ライ | 「確かそう言っていてました・・。僕の知らない・・女の人でした。」 |
071 | デラッド | 「で・・ライも応戦したんだな?」 |
072 | ライ | 「リンカの投げてくれたレイガンを無意識に撃っていました・・。」 |
073 | デラッド | 「ルミエナにあたったんだな?」 |
074 | ライ | 「リンカを守るのに夢中で・・・覚えてないんです・・。 |
075 | デラッド | 「そうか・・悪かったな・・。実はSCCOに対して報復してやると通信が入ったのでな。おそらくルミエナはライの撃ったレイガンで死んだんだろう・・・。」 |
076 | ライ | 「・・・僕の撃ったレイガンが・・そのルミエナって人を殺した・・・。」 |
077 | デラッド | 「お前は、リンカ君を守るためにレイガンを撃ったのだ。撃たなければふたりとも死んでいたんだ・・。自分を責めるんじゃない。」 |
078 | N | その時リンカの唇が動いた。 |
079 | リンカ | 「ん・・うん・・・。」 |
080 | ライ | 「リ・・ンカ・・。」 |
081 | リンカ | 「・・ん・・・・っ・・あ・・ラ・イ。」 |
082 | ライ | 「リンカ・・助かった・・助かったんだな・・リンカ!」 |
083 | リンカ | 「わたし・・」 |
084 | ライ | 「よかった・・リンカ。」 |
085 | デラッド | 「おお、気がついたのか。良かった良かった。」 |
086 | N | 届いた通信の発信源を探知したSCCOはガーバレイの本拠地、空間円舞堂イカロスを急襲した。
《せりふ・特捜部隊班長》 《せりふ・特捜部隊班長》 班員が一斉に中央制御室へ走りこむ。そこには誰も人影が無かった。 《せりふ・特捜部隊班長》 |
087 | デラッド | 「ガーバレイは逃げたか・・だが捕まるのも時間の問題だろう・・・。組織は崩壊・・取りあえず終わったか・・。」 |
088 | N | それから3ヵ月後。いまだガーバレイの行方はようとして知れなかった。ライは窓に映った無数の星ぼしを眺めた。ここはコスモマリアージ。宇宙空間に浮かぶ教会である。
《せりふ・牧師》 その時、コスモマリアージを大きな衝撃が襲った。 |
089 | ライ | 「うわ!」 |
090 | リンカ | 「きゃ!!」 |
091 | N | ライはよろけて壁に頭を強打した。 |
092 | デラッド | 「な・・いったいどうしたんだ!」 |
093 | N | 操舵室ではいきなり撃ちこまれた砲撃に驚き慌てていた。
《せりふ・支配人》 次々撃ちこまれる砲撃に、コスモマリアージは炎に包まれていた。 その時、ガーバレイの声が教会中に響き渡った。 |
094 | ガーバレイ | 「ライ・グランダーク!俺はお前とその仲間達に報復するためにやってきた。お前に殺されたルミエナの無念を晴らすためにな!!」 |
095 | ライ | 「う・・う〜〜〜ん・・・・。」 |
096 | リンカ | 「ライ、しっかりして。大丈夫?」 |
097 | ライ | 「ん・・あぁ・・ここは・・リンカ!・・俺はどうして・・なぜこんな・・。」 |
098 | リンカ | 「ライ・・記憶・・戻ったの?」 |
099 | ライ | 「記憶を・・リンカ、俺はSCCOのライ・グランダーク・。」 |
100 | N | 砲弾が近くで爆発し、教会が大きく揺れた。 |
101 | リンカ | 「きゃっつ!」 |
102 | ライ | 「この騒ぎは一体!」 |
103 | デラッド | 「ライ!ガーバレイだ!ガーバレイが巨大戦闘艦でここを攻撃してるんだ!」 |
104 | ライ | 「局長・・応戦できないんですか!?」 |
105 | デラッド | 「無理だ・・教会だからな・・って・・ライ・・お前・・・。」 |
106 | ライ | 「ええ。」 |
107 | デラッド | 「そうか!よかった。」 |
108 | ライ | 「しかし・・この状態じゃ、いつまでも持たんな。ん・・あれは?」 |
109 | デラッド | 「なんだ・・あの金色に光る小さな飛行物体は・・。」 |
110 | ライ | 「あ・・れは・・。」 |
111 | デラッド | 「ライ!どこへ!」 |
112 | ライ | 「あれは・・あれは・・間違い無い!!マーシェル!!」 |
113 | ガーバレイ | 「マーシェル・・マーシェルなのか・・探して探して見つける事が出来なかったマーシェルが、今、俺を制止しようと向かってくるのか。」
「・・はははは!!その小さな体でこの巨大戦闘艦にどうやって歯向かうつもりだ!小ざかしい!!今となってはお前はただの邪魔者にすぎん!蜂の巣にしてやるわ!!」 |
114 | N | 巨大戦闘艦の砲門がキキキキ・・・と音を立てて動く。それに一向ひるまず金色に輝くマーシェルが向かっていく。ライはガラスを叩いて叫んだ。 |
115 | ライ | 「やめろ!!マーシェル!!やめるんだ!!!」 |
116 | N | レーザ砲が容赦無く金色に輝くマーシェルの体を貫いて行く。 |
117 | ライ | 「マーシェル!!!!」 |
118 | ガーバレイ | 「はははは!!!!死ね!!死ね!!!死んでしまえ!!!!」 |
119 | ライ | 「マーシェル!!!。」 |
120 | マーシェル | 『・・ライ・・・私はあなたを愛してる・・ほんの束の間の恋だったけど・・私は幸せだった・・遠い星の彼方からいつまでもあなたを見ているわ。」
「リンカさんといつまでも幸せにね・・さようなら・・わたしの愛したライ・グランダーク・・。」 |
121 | ガーバレイ | 「来るな・・・来るな・・・来るなあ!!!!」 |
122 | N | 激しい衝撃と光が宇宙空間を包み込んだ。衝撃波がコスモマリアージを木の葉のように揺らした。ライはその中でぐっと体を支え、マーシェルが光に変わっていくのを見つめていた。 |
123 | ライ | 「マーシェル・・・う・・くくく・・・。」 |
124 | リンカ | 「ライ・・。」 |
125 | N | やがて宇宙空間に静寂が戻った・・星が静かに瞬いている。まるで何事も無かったかのように・・いつまでもいつまでも・・静かに瞬いていた・・・。
キャストは ♂ ★ガーバレイ : |
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