ダンシングマーメイドの調査に来る。その時、マーシェルに出遭う。２人は互いを意識するが運命が２人を引き裂く。調査能力はずば抜けている。だが一匹狼的性格で単独行動をとることが多い。

ライと一緒に調査に来る。飄々としたつかみ所のない男

ライの上司。ロマンスグレイの紳士。一見固そうだが、なかなか冗談の通じるオジ様である。

地球にいるライの恋人。ひたすら待ちつづける悲しいさだめ・・・。優しい、つくすタイプである。

謎多い少女。彼女は人間か・・サイボーグか・・。ライを一目見て恋に落ちる（いまどき珍しい）寂しげな眼が印象的・・。

艶やかな妖しい雰囲気を持つ女性

ライは両手をガラスに押し当てて、少女を見つめる。少女も目にいっぱい涙をため、ライを見つめていた。

ライのレイガンが白光を放った。その光の帯はガラスケースの面を歪曲するように走っていった。

「動くなよ・・。」

その顔はどこかで見覚えがある。ライは傍らのマーシェルを見た。そして思った。全てマーシェルと同じ顔をしていていると。しかし、その血の通わない蒼白の顔は狂気を思わせるものがあった。

マーメイドダンサーは背中のプラグをズルズルと引きずりながら部屋の中へ入ってくる。ライは手にもつレイガンをダンサーに放った。

バシっと火花が散って一個のダンサーの頭がもげて床に転がった。続けて２発３発、ライはレイガンを撃った。その度に赤い火花を上げてダンサーの胸に穴が開き腕が吹っ飛んだ。

「よし、強行突破するからな、手を離すなよ。マーシェル！」

こちらはイカロスの中央管制室である。中央のパネルスクリーンを見つめながら歯噛みしている男の姿があった。

「マーシェル・・私のマーシェル。お前は私の一番大事な宝物だ。どこにも行かせやしない。誰にも渡しはしない。お前は私だけのものだ。」

ライが飛行艇にたどり着く。ユキトも飛行艇へと走る。その時一条のレーザーがユキトの右の太ももを貫いた。声をあげてその場に転がるユキト。苦痛に顔を歪めて太ももを押さえている。

「お前の横にいる・そう・・ルミエナさんだっけな？・・あんたの事は覚えてるぜ。いい女だからな。」

「私は、醜いものは嫌いだ。だから、お前達の肉片が飛び散ってあたりを血で汚すのは我慢がならない。そこでだ、交換条件といこうじゃないか。お前の連れている、マーシェルを渡せば、お前達をここから逃してやろう。」

「お前達の命の保証と引き換えに、マーシェルをこちらに渡せ。」

「ユキト・・飛行艇まで俺が背負ってやる。」

ライは飛行艇のハッチを開き転がり込むように飛び乗った。そして、一気にエンジンを点火しジェットエンジンの熱風を発着場へ吐き出した。熱気と風圧にあおられて手下達が吹き飛ばされていく。

ライ達を乗せた飛行艇は発着場を後にして宇宙空間へと飛び出していった。

その頃、マーシェルは捕らえられて独居房にいれられていた。マーシェルは悲しげな瞳で小さな四角い窓から、無数の星の瞬く宇宙空間を眺めていた。その瞳からきらりと光る一条の涙がこぼれおちる。

「私を助けるために命をかけてくれた人・・。わたしの心を捉えて放さない・・。あの人の眼。あの人の顔。あの人の姿・・たった一度会っただけなのに・・この気持ちは何なの・・。」

「あの人のことを思うだけで胸がきゅんとなって切なくなってくる・・もう一度・・あの人に会いたい・・・。」

ガーバレイがイカロスの中央管制室で外の様子をモニターしている。

「馬鹿だ・・私は馬鹿だ・・私のせいで、彼が攻撃を受けてる・・・。あの時、彼と一緒に行けば、あの艇は攻撃されなかったんだわ・・・。」

「出して〜〜！！開けて！！ここから出して！！」

「ライ、死ぬつもりか！！」

その時、飛行艇に大きな振動が襲った。ライは思いっきり頭を強打しその場へ倒れこんだ。次第に意識が薄れて行く。ライを乗せた飛行艇はもくもくと黒煙を吐きながら宇宙の底へと落ちていった。その様子を見ていたガーバレイは狂気の笑いをあげていた。

「さあ・・逃げなさい、マーシェル！逃げて、逃げて・・生きながらに地獄に落ちるが良いわ。」

落ちて行く飛行艇の前方に巨大な岩隗が漂流している。舵を失った船は、静かにその最期を迎えようとしていた。

マーシェルの身体をクッションにしながら、飛行艇は岩隗へめり込んで行く。マーシェルの身体は、推進装置を全開させて金色に輝いている。


宇宙の闇に静寂が戻った。あたりはひしゃげ崩れた飛行艇の残骸と岩隗の塊が大きく渦を巻くように漂っている。

暗く冷たい宇宙空間の闇の中に、一艘の飛行艇が漂流していた。それは、激しい衝突のため左舷がぐっしゃりとひしゃげ大きく歪んでいた。

無数にひびの入った硬化ガラスの窓の中に僅かに動く人影があった。その人影はマーシェルだった。マーシェルは倒れて動かないライの身体をじっと抱きしめていた。

『ライ・グランダーク・・・・あなたを抱く（いだく）この胸の鼓動を・・。まだ１度・・いえ、これで２度目の出合いでしかないけれど・・・・あなたが好き・・身体中が熱く火照ってくる・・。』

「う・・あ・・・・うう・・・。」

『声が・・声が出ない・・なぜ・・・？？』

マーシェルの頬に涙が流れた。再びライは目を閉じた。

はるか前方でチカチカと光が明滅する。その光が細かくひび割れた窓で乱反射し、宝石のように輝いた。

艇の外へでたマーシェルは、再びその身体を輝かせ始めた。きらきらと真珠のような艶と輝きを発しながら光が宇宙空間に広がって行く。

『あっ！艦が！！こっちへ機首を向けたわ！！やった！これでライは助かるわ。』