MATRIX
RELOADED【マトリックス・リローデッド】

キアヌ・リーブス(ネオ)ネオ ローレンス・フィッシュバーン(モーフィアス)モーフィアス
キャリー=アン・モス(トリニティー)トリニティ ヒューゴ・ウィービング(エージェント・スミス)エージェント・スミス
ジャダ・ピンケット・スミス(ナイオビ)ナイオビ モニカ・ベルッチ(パーセフォニー)バーセフォニー

(セラフ)
(ジー)
(ロック司令官)
(リンク)
(メロビンジアン)
(ゴースト)
(キッド)
(ラマ) 
(ベイン)
(サティー)
(トレインマン)
(予言者/オラクル)
(ミフネ)

人間の住む世界は、機械(プログラム)がつくりあげたイメージであり、仮想現実である―。
この仮想現実は「マトリックス」とよばれ、この巨大システムのなかで、人は気付かぬうちに機械に支配され、管理されながら生きている。この真実を知った一部の人間たちは、仮想現実の外(つまり現実世界)に暮らしていた。彼らの望みは、再び人類が機械の管理下から解放されること。人類解放の救世主として、一人の男が浮上する。それが主人公ネオであった。

ネオは、表向きは一流ソフトウエアメーカーのプログラマー、裏では数々のコンピュータ犯罪にかかわるハッカーの顔をもつ。彼が人類を機械の世界から解放する救世主であると信じて疑わない船長モーフィアスは、ネオを現実世界へと導く。

マシンと人類の戦いは続いていた。人間界が仮想現実であるという真実を受け入れたネオは、自分が救世主かどうかはわからないまま、人類最後のとりでであるザイオンを救うべく奔走する。
第2章で実態をあらわにする「ザイオン」とは、機械に支配されない人間たちが地底に築き上げた街である。
ここに暮らす人々は、100年もの間彼らを滅ぼそうとする機械たちと戦ってきた。
そして今再び、ザイオンは絶体絶命の危機に直面する。250万に及ぶ敵がこの街を絶滅させようと迫っていた。

預言者はネオに、ザイオンの運命を変えるには、マトリックスのプログラムソースにアクセスし、書き換える必要があると告げる。ネオ、モーフィアス、トリニティーの3人は、ソースに通じるドアへの鍵を握る男、キー・メーカーを探し出す。キー・メーカーは、世界に一つだけあるそのドアの在処(ありか)を告げ、ドアを空けられるのは救世主だけ、しかも救世主が通るその間しかドアは開かないと話す。
一同はこのドアのある建物に侵入する計画をたてるが計画は失敗し、トリニティーはネオを助ける べく、自ら危険を冒してマトリックスへと乗り込む。一方ネオたちが到達した最後のドアの前に待ち構えていたのは、エージェント・スミスとそのコピーたちだった。モーフィアスはネオの身代わりとなってスミスらを阻止し、ネオはついにドアを開ける。

ドアのなかでネオを待っていたのは、マトリックスをつくったという設計者だった。
救世主の使命さえ、機械のシステムによってつくられたものであったことが判明し、ネオには二つの選択肢が与えられる。一つは、現在のプログラムソースを初期化し、新たなザイオンを再建すること。
もう一つは、今危機にさらされているトリニティーを救いにマトリックスに入ること。その際ザイオンは消滅し、全人類が死滅することになる。ネオは迷わず感情に従い、トリニティーを救いにマトリックスに入る。
ネオの力でトリニティーはよみがえるが、予言が真実ではなかったことを知った一同は絶望感に覆われる。
そして、ザイオン壊滅の知らせをもった船が到着する―。

001 午前0時、タイムカードをチェックし警備員達が交代する。その時、どこからかバイクのエンジン音が響いてくる。向かいのビルの屋上から飛び込んできたバイクがビルに突っ込んだ。大音響とともに爆炎が上がり、あたりは火の海になった。バイクにまたがっていたのはトリニティだった。その場にいた警備員を次々と倒すと、携帯電話を取り出した。
  トリニティ 「入った。」
  トリニティがビルの窓を突き破り飛び出してくる。彼女は落下しながら拳銃を乱射する。その後を追うようにエージェントが銃を撃って来る。その一発がトリニティの胸を撃ちぬいた。彼女はそのまま急落下した。

そこでネオは目を覚ました。傍らにはトリニティが静かに眠っている。

船の操舵室で舵を握っているのはモーフィアスである。その横に通信員のリンクが居る。

  モーフィアス 「もうすぐつくな。」
  リンク 「本当に大丈夫ですか?」
  モーフィアス 「言っただろちゃんとうまくいく。」
  リンク 「わかってます船長・・。ただ、かなりの数のセンティネルが見えるんで・・。」
  モーフィアス 「リンク」
  リンク 「はい船長。」
010 モーフィアス 「事情が事情だ。私は君がこの船に志願した理由を完全には理解できていない。だが、この仕事を続けたいなら一つ言わなければならない。」
  リンク 「何です?」
  モーフィアス 「私を信じろ。」
  リンク 「はい船長。信じます。・・・・信じています。」
  モーフィアス 「頼んだぞ。・・メインの電源をハードドライブに繋げ。侵入の準備だ。」
  リンク 「わかりました。」
  船室のドアが開いてトリニティが入ってくる。中にはネオが一人で椅子に座っている。
  トリニティ 「まだ眠れないの?・・・話してくれない?」
  ネオ 「別に・・ただの夢だよ。」
  トリニティ 「何か心配があるなら・・・。」
020 ネオ 「俺はただ、自分の役割を知りたくて・・それだけだ・・・。分かれば良いのにな・・・。」
  トリニティ 「きっと連絡がある。・・彼女からね。」
  リンク 「着いたよ。」
  トリニティ 「行く準備できてる?」
  リンク 「もう遅刻だよ・・。」
  机の上に写真が広げられる。秘密基地会合所。ナイオビが話している。
ナイオビ 「地熱データからオシリスの最後の通信が確認された。・・・機械たちは掘ってる・・。地表から真っ直ぐにザイオンに向かってる。」

「司令部の推測じゃ時速100メートルで進んでる。もうすぐ地下2000メートル。」

「オシリスのスキャン結果は多分あってる。25万のセンティネルが居るわ。」

会合所でざわめきが起こる。そこにモーファイスの声が響いた。
モーフィアス 「子供を含めザイオンの一人に一機のセンティネル。わたしにはいかにも機械が考えそうな事に思えるが?」
ナイオビ 「モーフィアス。あなたも来てくれたのね。」
030 モーフィアス 「ナイオビ・・遅れて申し訳ないが、みんなも知っての通り、侵入に安全な場所を見つけるのにますます難しくなっている。」
N(男) 「ナイオビが正しければ、72時間後にさらに25万の敵・・。」

「俺達はどうすればいいんだ?」

ナイオビ 「わたし達はロック司令官の命令に従う。侵入可能レベルから離れてザイオンに戻る。」
モーフィアス 「司令官には25万のセンティネルの攻撃を阻止する計画があるのか?」
ナイオビ 「戦術については今、策定中。」
モーフィアス 「なるほどそうだろう・・。」
会合所の外に黒塗りの車が静かに停車する。会合所で、ネオが異変に気付いた。
トリニティ 「何かしら・・?」
ネオ 「わからない・・。」
モーフィアス 「誰か一人に手を貸してもらいたい・・・。わたしと同じように信じる者も信じない者もいる。だが信じる者は戦いの終わりが近いと知っている。まもなく預言は実現する。だが、そのためにはまず、預言者の助言が必要だ。」
040 車のヘッドライトを背に男が立っている。男の影が戸にだんだん近づいてくる。
モーフィアス 「わたしの船は充電すれば、36時間以内に戻ってこられる。敵はまだこの深さにも来ていない。」
ナイオビ 「自分の言ってる事が分かってる?」
モーフィアス 「わたし達の位置に一隻残って欲しいと言っている。預言者が連絡してきた時に備えてだ。」
N(男) 「違うね、俺達の一人に命令違反をしろと言っている。」
モーフィアス 「そうだ、そのとおり。だが今、我々がここにいる理由は服従するのが苦手だからじゃないのか?」
N(男) 「で、君はザイオンに戻ったら、司令官に営倉にぶち込まれないか?」
モーフィアス 「それは無い。」
N(男) 「ふっ・・ったく、モーフィアス。あんた変わんねえな。・・・俺が引き受けよう、どうなるか見ものだ。36時間だぜ。」
戸を叩く音がする。覗き窓を開けると、ヘッドライトが濃い男の影をつくっている。
050 N(エージェント) 「ネオを探している。」
N(男) 「聞いた事ねえな。」
N(エージェント) 「彼に渡したい物がある。プレゼントだ。・・自由にしてもらった礼だ。」
男が小さな封筒を覗き窓から手渡す。
N(男) 「何でもいいさ、さっさと消えうせろ。」
ネオ 「誰だ?」
N(男) 「何で来たの知ってんです?」

「これをあなたに・・って。」

封筒の中にレシーバイヤホンが入っていた。
N(男) 「自由にしてもらったと・・。」

「何かまずい事ですか・・?」

ネオ 「会合は終わりだ、出口へ引きあげろ。エージェントが来た。」

「行け。」

060 ドアを強大な力で叩く音がする。何発目かにドアが破られた。外にエージェントが3人立っていた。
ネオ 「やあ、よく来たな。」
エージェントが3人がかりで一斉にネオに襲いかかる。ネオはそれを軽々と防ぎ、攻撃を仕掛ける。空中を華麗に舞い、浮遊し、うち倒していく。

あっという間にけりがついた。ネオは身を屈めると一気に上空へ飛び上がり、その姿はあっという間に見えなくなった。

モーフィアス 「さっきはどう言う事だ?」
リンク 「分かりません。エージェントが突然現れたんです。コードもみんな変です。見たことも無い暗号です。」
トリニティ 「ネオは平気?」
リンク 「平気も平気。船長にも見せたかった。」
モーフィアス 「今どこにいる?」
リンク 「スーパーマンやってます。」
満月が浮かぶ雲の上を突っ切るように、雲を巻いて飛ぶネオの姿があった。ネオはそのまま直角に急上昇し、今度は一気に急降下すると、ビルの屋上へ降り立った。
070 ネオ 「・・どこにいる・・。」
リンク 「こちらネブカデネザル接近中。ゲートVの通過許可を求める。」
ザイオンの管制塔の指示に従い、ネブカデネザルはベイZへ着艦した。
モーフィアス 「ミフネ船長、わたしを営倉に案内しに来たのですか?」
N(男) 「ロック司令官が来いと・・・。直ちに・・お話を伺いたいそうです。」
モーフィアス 「リンク。」
リンク 「はい。」
モーフィアス 「できるだけ早く船が出発できるようにしておけ。」
リンク 「わかりました。」
モーフィアスはミフネ船長達の後をついて歩いていった。
080 ネオ 「ふたりには何かあるのか?」
トリニティ 「モーフィアスとロック?・・・ナイオビよ。」
ネオ 「ナイオビ船長か?」
トリニティ 「以前、モーフィアスと付き合ってた。今はロックとよ。」
ネオ 「どうしたんだ?」
トリニティ 「モーフィアスが預言者に会った。それから全てが変わった。」
ネオ 「ああ・・ありそうなことだ。」
ロック司令官の部屋。モーフィアスが入って来る。
ロック 「モーフィアス・・。」
モーフィアス 「ロック司令官・・。」
090 ロック 「他の船長達と話をして君に釈明の機会を与える事にした。」
モーフィアス 「釈明が必要な行動をとった覚えはありませんが。」
ロック 「君はザイオンへ戻れと命令を受けてた。」
モーフィアス 「そうです。」
ロック 「なのに船を一隻残してきた。」
モーフィアス 「充電の必要が無ければ自分が残っていました。」
ロック 「なら君は任務に違反したと認めるわけだな。」
モーフィアス 「預言者からの連絡を待つにはマトリックスにとどまる必要があります。」
ロック 「そんなたわごと聞きたくない!預言者だのお告げだの救世主だの知るか!わたしに重要なのはこの街を敵の破壊から護る事。そのためには命令に従う兵士が必要だ。」
モーフィアス 「お言葉ですが司令官。街を救う望みは一つだけです。」
100 ロック 「何だ?」
モーフィアス 「ネオです。」
ロック 「いいかげんにしろモーフィアス!みんながお前のように信じてはいないぞ!」
モーフィアス 「他人がどう思おうとかまいません。」
ロック 「君を任務から解くように評議会に進言する。」
モーフィアス 「それは司令官の権限ですか?」
ロック 「もしわたしに決められるなら、一生船に乗れないようにしてやるところだ。」
モーフィアス 「では、感謝しなくては。あなたにその権限は無い。」
そこへハーマン評議員が入ってきた。落ち着いた恰幅の良い老人だった。
ロック 「ハーマン評議員。」
110 ハーマン 「司令官。」

「船長。」

モーフィアス 「はい、評議員。」
ハーマン 「評議会に言われ今夜の集まりで話をする。艦隊がいることや、飛び交う噂について説明せねば・・。みんなは状況を知る必要がある。」
ロック 「もちろんです評議員。ですが、事の次第によっては慎重な扱いが必要かと思います。パニックは起こしたくありません。」
ハーマン 「その通り。パニックは誰もが望んでない。」

「船長はどう思う?・・・何を話せばいい?」

モーフィアス 「真実です。パニックは起きません。恐れなど無いからです。敵はザイオンには到達できません。」
ハーマン 「なぜそんなに自信がある。」
モーフィアス 「現実を見てください。評議員。この6ヶ月に解放した人間の数は、過去6年間を上回ります。この攻撃は敵が必死だからです。預言の実現は近いと信じています。戦いは終わります。」
ハーマン 「わたしもそう願うよ。」
モーフィアス 「これは願う問題ではないと思います。これは単に時間の問題です。」
120 その夜。巨大な地下空洞にたくさんの人々が集まっている。それを前にハーマン評議員の祈りの言葉が始まった。
ハーマン 「今夜たたえよう。男たちを。女たちを。我々の兵士たちを。戦士たち。夫たちを、妻たちを。兄弟、姉妹たち、子供たちを。失われていった者たちを思いだそう。救出できた者たちのことを感謝しよう。今、彼らは共にある。そして祈りの最後に紹介したい者がいる。彼は長いことここで話をしていない。だが、我々が聞かなければならない事を語ってくれる。では、モーフィアスだ。」
名前が呼ばれると、集まった者たちから歓声が上がる。それは波となってうねりとなって洞窟を震わせた。
モーフィアス 「ザイオンよ!聴いてくれ!」

「真実はみんなが聞いている通りだ。機械たちは軍を結集し、まさにこの瞬間、この街に向かって前進を続けている。間違いなく我々の前には困難な時が待ち構えている。」

「だがそれに備えたいと思うなら、まず我々は、恐怖に打ち勝たねばならない。そして今ここに、こうしている私は、偽り無く畏れていない。何故か!信じられない事を信じているからか?」

「違う!何も畏れず、私がここに立っているのは覚えているからだ。私の先にある道が私をここへ導いたのではなく、私の歩んだ道が私を導いたと。」

「我々が100年間機械と戦い抜いた事を私は覚えている。この100年に機械は軍を送り我々を潰そうとした事を覚えている。1世紀に及ぶ長い戦いが過ぎた今、一番大事なことは何か覚えている。」

「我々は生きている!」

「今夜、我々は機械の軍に対してメッセージを送ろう。今夜この洞窟を揺るがそう。今夜、この鉄と岩のホールを揺さぶり決意の地響きを轟かせよう。真っ赤に溶ける地球の核から黒い空に至るまで。そして今夜、機械たちにはっきりと思い知らせよう。ここはザイオンだ!我々は決して恐れない。」

歓声が洞窟中に轟き地響きとなって充満した。

戻ってきたモーフィアスにナイオビが話しかける。

ナイオビ 「私、覚えてる。あなたは昔よく踊ってた。そしてあなたはとても上手だった。」
モーフィアス 「世の中には存在するんだ。決して変わらないものが。ナイオビ船長。」
ロック 「ナイオビ。」
振り向くとロックがナイオビをじっと見つめている。
モーファイス 「・・・変わるものもあるが・・・。」
130 暑く激しい踊が洞窟内にいつまでも続いている。生けるものの魂の躍動の踊だった。

gUへ続く

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