ラストサムライ

主演 トム・クルーズ 渡辺 謙

あらすじ

19世紀末。南北戦争の英雄、オールグレンは、原住民討伐戦に失望し、酒に溺れる日々を送っていた。

そんな彼が、近代化を目指す日本政府に軍隊の教官として招かれる。

初めて侍と戦いを交えた日、負傷したオールグレンは捕えられ、勝元の村へ運ばれた。

勝元は、天皇に忠義を捧げながら、武士の根絶を目論む官軍に反旗を翻していた。

異国の村で、侍の生活を目の当たりにしたオールグレンは、やがて、その静かで強い精神に心を動かされていく。

gT(7名)
「台本中の(M)はモノローグの意」

001 グレアム(M) 日本は剣で創られたという。古(いにしえ)の神が剣を海につけ、それを引き上げると四つの雫が滴り落ち、それが日本列島になったそうな。

私が思うに、日本を創ったのは、ひと一握りの勇敢な男たち。彼らは今や忘れられたこの言葉に命を捧げた。

”名誉”に。

(タイトルコール)『ラスト・サムライ』

  OP 58秒
 

1867年サンフランシスコ。ウインチェスター社の新型銃のレセプション会場。

  N(司会) 「紳士淑女の皆さん!ウインチェスター社は陸軍ご用達の全米一の銃器メーカー。本日は建国100年を祝って真の英雄をご紹介します。誰よりも多くの勲章に輝く歴戦の勇士。

ゲティスバーグの戦いでは栄えある名誉勲章を手にした勇者。第7騎兵隊に所属し、獰猛なインディアンと戦い勝利を収めました。

それでは皆さん、ご紹介します。ネイサン・・オールグレン大尉!」

  司会の男の大袈裟な紹介とおもに、会場から拍手が沸き起こる。しかし、ネイサン・オールグレン大尉の姿は会場へ現れない。司会者の再度の呼び出しにも応じなかった。客達がざわめき始める。
  N(司会) 「少々、お待ちください。」
  司会者は奥へ引っ込み、オールグレンを急かした。
  N(司会) 「オールグレン!舞台に出ろ!これが最後だ。今日限りでクビだからな!早くしろ!!我慢にも限界がある。」
  オールグレンは銃を持ち、酔った足取りで壇上へあがった。拍手が沸きあがる。
  オールグレン 「身に余るご紹介をどうも。お集まりの諸君、ご覧あれ。これが西部を制する銃です。

思い返せば数え切れぬほどの・・猛りたつ敵の軍勢に・・・四方を囲まれた。この銃が無ければ、間違いなく悲惨な最期を遂げたでしょう。

いいですか?奴らは実に恐るべき敵だ。奴らに屈していれば私の頭皮はきれいに剥かれ、ハゲ頭と化していたでしょう。

リトル・ビッグホーンで殺された戦友たち。衣服を剥ぎ取られ切り刻まれ、陽の下で朽ちていった。

この銃は、’73年型、レバーアクション方式の”トラッパー”7連射式で狙いは正確。射程距離は400メートル。命中するとどうなるか・・胴体に20センチの風穴が開く。見事にね・・・。弾の装填なしに5〜7人の敵を倒せる。特許取得の装弾口、滑らかな引き金・・」

010 突然、オールグレンは銃を会場内に向け、引き金を引いた。会場内は騒然となった。
  オールグレン 「犠牲者に感謝を捧げよう。彼らの死を代償に銃は改良され、売り上げも伸びた。ご注文はマッケイブ氏に!・・ではこれで・・。」
  オールグレンは会場を出て行った。

会場の裏口をでた所でゼブロン・ガントが立って、はやすように拍手を打った。

  ガント 「さすが大尉、たいした役者だ。」
  オールグレン 「生きてたのか」
  ガント 「ええ、この通り・・リトル・ビッグホーンへ誘われたが・・”冗談じゃない”と断りましたよ。」

「運強いでしょう?・・それより、いい話があるんです。・・・今の仕事はクビでは?」

  オールグレン 「どんな仕事だ?」
  ガント 「大尉にしか出来ない仕事・・男の仕事です。芝居を続けるなら話は別ですがね。」
  ガントに連れられてやってきたレストランに男たちは待っていた。
  バグリー大佐 「ネイサン!」
020 ガント 「とりあえず話を聞いて」(小声)
  バグリー大佐 「久しぶりだな。・・・日本から来られた大村氏だ。お連れの名前は発音が難しい。」

「掛けてくれ。」

「日本は今、近代国家に生まれ変わろうとしている。大村氏は軍隊を養成する専門家を雇いに来られた。成果次第で天皇は米国に武器の独占発売権を下さる。」

  オールグレン 「私はウィンチェスター社と契約が・・。”契約の拘束”というものをご存知で?」
  大村 「その契約で、あなたが得ている報酬は週に25ドル。我々は月に400ドル払おう。」
  オールグレン 「500ドル、一人頭でだ。仕事を完了した時点で更に500ドル。私以外に何人”英雄”の候補者が?」
  ガント 「誰と戦うつもりですか?」
  大村 「名は勝元盛次(かつもともりつぐ)以前は天皇の師範役で”侍”だ。」
  ガント 「サムライ?」
  大村 「言うなれば”戦士”だ。」
  バグリー大佐 「大村氏は我々の反徒征伐にお詳しい。」
030 オールグレン 「本当に?」
  バグリー大佐 「君の本のことも。彼の”部族考察”がシャイアン族の掃討に一役を・・。」
  オールグレン 「ククク・・ハハハハハハ・・。」
  大村 「何かおかしいことでも?」
  オールグレン 「一緒に戦った仲間と再会できて・・感極まってね。(失笑しながら)・・フフ・・ハハハハ・・」

「・・・・失礼・・ちょっと手洗いに・・・。」

  バグリー大佐 「ご心配なく。私から話します。」
  席を立ったオールグレンを追って、バグリー大佐が後を追った。その背中に大村の声が掛けられる。
  大村 「バグリー大佐。彼の上官だと聞いてあなたに頼んだのだ。説き伏せる約束だろ?」
  バグリー大佐 「大丈夫、すぐ話をつけます。」

「ネイサン。・・私は命令に従ったまでだ。戦場では・・・過去は水に流そう・・。」

  オールグレン 「日本人を殺せと言うなら殺す。」
040 バグリー大佐 「殺せなどと・・・」
  オールグレン 「それとも殺すのは日本人の敵か?南軍、スー族、シャイアン族・・。月500ドルなら誰でも殺す。」

「言っておくが・・相手が貴様なら無料(ただ)で殺す。」

  バグリー大佐は一瞬、目を見張ったあと、きびすを返し、大村たちの待つテーブルへと戻っていった。

大海(たいかい)を渡る蒸気船。船上にはオールグレンの姿があった。

  オールグレン(M) 「1876年7月12日、大海の広がりは心を癒す。過去も無く、未来も無い。だが一方で目の前の現実がのしかかる。反旗を翻した者の制圧にまたも向かうのだ。どうやらこれが俺の天職らしい。運命の導く道は皮肉なものだ。」
  オールグレンは静かに軍服の袖に腕を通していく。鏡に映る自分の姿をじっと見つめる。オールグレンに過去の拭い去れない記憶が脳裏を駆け巡っていく。

騎兵隊がシャイアン族の村を襲撃する。武器を持たない女、子供達にも情け容赦なく銃弾の雨が降り注ぎ次々と血を噴き上げて人が死んでいく。

船はやがて横浜港へと入港した。港にサイモン・グレアムが出迎えに来ていた。

  グレアム 「オールグレン大尉かな?サイモン・グレアムだ。」
  人力車に乗って横浜の町を進むオールグレンたち。街は人々であふれ、活気に満ちていた。
  グレアム 「20年前は死んだような町だったのに、今はこれだ。天皇は性急に西欧化を望み、侍は”性急すぎる”と怒る。古い時代と近代のせめぎ合いだ。大村は西欧の専門家を手当たり次第招き入れてる。」

「フランスの法律家、ドイツの技術者、オランダの建築家。そして米国からは軍人。私は数年前、英国貿易使節団についてきてすぐクビになった。誰も本音を言わない国ではっきり物を言いすぎてね。今は嘘の発言も忠実に通訳するよ。」

  石段を登るオールグレンとバグリー大佐は軍服に身を包んでいる。グレアムもシルクハットに燕尾服で汗を拭き拭き登ってくる。
  グレアム 「天皇は一般人に姿を見せない。これは異例の名誉で謁見(えっけん)には作法がある。話し掛けたら答え、天皇が立ったら低く頭を下げる。久しぶりの礼服で落ち着かん。・・腹も出たし・・」
050 天皇の謁見の間。御簾の向こうに天皇が座っている。
  グレアム 「お辞儀して(小声)」
  大村 「天皇陛下が歓迎の意を。”米国政府の力添えに感謝し、米国のように調和のとれた国作りを目指したい”と。」
  天皇 「大村、アメリカには元々、そこで暮らしていた民がいるというが、直接、戦ったことはあるのか?」
  大村 「”インディアンたちと、戦ったことはあるのか?”。」
  バグリー大佐 「ございます。実に野蛮な敵で・・・。」
  天皇 「オルグレン大尉に聞いて欲しい。その民は戦の前、鷲の羽で飾り、顔に色を塗るというが本当か?恐怖心は無いのか?」
  大村 「オールグレン大尉へのご下問だ。”彼らは鷲の羽で身を飾り、顔に色を塗り戦に赴くのか?恐れを知らぬのか?”」
  オールグレン 「彼らは勇敢です。」
  御簾の奥で天皇が椅子から立ち上がり外へと姿を現した。
060 グレアム 「お辞儀を」(小声)
  天皇 「ありがたく思います。」
  オールグレンを見つめ浅く頭を下げると、天皇は再び御簾の奥へと入っていった。
  グレアム 「そのまま一歩下がって・・。そのまま下がって・・向きを変える・・。」
  オールグレンたちは謁見の間を去った。

有象無象の百姓の集まりの軍隊に、ガントの檄が飛ぶ。

  ガント 「背筋を正して立て!さもないとお前らのケツを蹴っ飛ばすぞ!」
  オールグレン 「ご苦労、軍曹。」
  ガント 「言葉が通じればうまくいきます。」
  オールグレン(M) 「1876年7月22日、半年で軍人時代の3年分の報酬をもらい東洋人を兵士に育てる。彼らは皆、徴集兵で銃など持った事も無い農民。指揮官の長谷川大将は小柄だが部下の尊敬を集めていた。」
  オールグレン 「閣下はその侍・・勝元の事をご存知で?」
070 グレアム 「勝元のことについてもっと知りたい。」
  N(長谷川) 「彼はかつて陛下の師であり・・・。」
  オールグレン(M) 「彼は勝元と一派の動向に詳しく今後役に立ちそうだった。」
  オールグレン 「彼らの武器は?」
  N(長谷川) 「勝元は侍の道を知るものたちに崇められておる。今さら飛び道具は使わんだろう。」
  グレアム 「”勝元は銃を使うようなマネはしない”と言ってる。」
  オールグレン 「銃を使わない?」
  グレアム 「武士の世界の英雄だからな。」
  オールグレン 「閣下と彼は?」
  グレアム 「天皇のためにともに戦った仲だ。」
080 オールグレン 「侍と戦った?」
  グレアム 「彼も・・侍だ。」
  その夜、オールグレンの部屋。浮世絵の武士の絵をオールグレンは見ている。その傍らでグレアムが喋っている。
  グレアム 「勝元は自らの刀を天皇に預けた男だ。”侍の魂”といわれる刀をね。侍には矛盾が多い。いつか本に書くつもりだ。」
  ガント 「いまだに鎧を着る連中だ。」
  グレアム 「君らアイルランド人が腰布姿のころ、侍は熟達した戦士だった。」
  オールグレン 「彼らの戦術を知りたい。」
  グレアム 「その本も翻訳する予定だ。」
  ガント 「ブラックフット語のように大尉は日本語も覚えるさ。」
  グレアム 「本当に?言語に興味があるとは・・。一言二言ブラックフット語を・・。”こんにちは”とか”さよなら”とか・・・”舌をチョン切り釜ゆでにしろ”は?」
090 オールグレンがグレアムに鋭い視線を向ける。それを感じたガントがやんわりと話の終了を告げる。
  ガント 「明日は早い、休みましょう。」
  グレアム 「彼らは頭の皮を剥ぐそうだがどうやって?」
  グレアムは一向に気付いていない。ガントはオールグレンをちらりと見、グレアムを睨んだ。
  オールグレン 「あんたに強い憎しみを持つ人間が・・あんたを突き倒して髪をつかむ。」
  グレアム 「フォオ・・ホホ・・。」
  オールグレン 「そして錆びたナイフで頭皮を剥ぎ取っていく。想像してみてくれ、目の前に手が伸び・・・。」
  オールグレンはグレアムの髪の毛を掴みあげ、左手に持つナイフを突き当て、声を殺して言った。
  オールグレン 「髪を引っ張られ、皮を剥がれる痛みが神経を裂く・・。グレアム君・・・本の翻訳の完成は?」
  グレアム 「すぐに・・・・。侍に興味があるとは嬉しい・・。」
100 オールグレン 「侍などいい。敵を知りたいだけだ。」
  グレアム 「不眠不休で翻訳を進めよう。・・・酒でも・・・お休みなさい・・。」
  ガント 「大尉?」
  オールグレンの脳裏に再びあの惨状がよみがえって来る。指揮をとっているのはバグリー大佐だった。
  バグリー大佐 「これは報復戦だ。」
  オールグレン 「何の罪もない部族に報復を?」
  バグリー大佐 「黙って進め。」
  騎兵隊が静かに朝もやに隠れるように馬を進める。そして、一気に集落へなだれ込んでいった。飛び交う悲鳴と銃弾。逃げ惑う子供達。馬上のバグリー大佐の銃が火を吹く。目の前に死体の山が築かれる。幼子を抱いた母が銃弾に倒れた。男たちも次つぎに撃ち倒されていく。皆殺しだった。

翌朝、オールグレンとガントが軍隊の銃の訓練をしている。一斉にまとへ向かって銃弾を発射するがどれひとつまとにあたらなかった。

  オールグレン 「同じ方向に撃つだけマシだな・・。」
  ガント 「まったくですな。」
110 一人の兵士の横につくオールグレン。
  オールグレン 「床尾は肩に当てるんだ。照準をよく合わせて。ゆっくり・・撃て。」
  弾はまとの中心を貫いた。
  オールグレン 「よし、よくできた。」
  大村 「ネイサン!」
  バグリー大佐 「勝元が鉄道を襲ったそうだ。」
  大村 「自由に行き来できん国は国家ではない。阻止しろ。私の鉄道は国の最優先事項だ。」
  オールグレン 「無理です。」
  バグリー大佐 「敵は銃も持たず弓と矢で戦う蛮人どもだぞ。」
  オールグレン 「1000年の戦いの歴史を持つ連中だ。」
120 バグリー大佐 「こちらには銃砲があり兵力も勝る。反乱者を討伐するのだ。追い詰めて始末しろ。」
  オールグレンはおもむろに歩き出すと射撃練習のまとの前に立った。
  オールグレン 「グレアム君!俺を狙えと言え!」
  グレアム 「何ですと?」
  オールグレン 「その男に言え。」
  オールグレンは胸のホルスターから拳銃を抜いた。そして、先ほど銃の扱いを教授した男に拳銃を向けた。
  オールグレン 「俺を撃たなければ俺が殺す!」
  ガント 「大尉・・それは・・・。」
  オールグレンの銃が火を吹き、男の足元の土が跳ね飛んだ。
  オールグレン 「早く言え!言うんだ!!」
130 グレアム 「撃たなければ、あの銃で撃たれるぞ。早く!」
  オールグレン 「やれ!」
  再び銃が火を吹く。男の笠が跳ね飛んだ。男は、震える手で銃に弾をこめ構える。
  オールグレン 「何してる!早くしろ!!」
  オールグレンの銃と男の銃が相対する。男は震える指で引き金を引いた。弾はオールグレンをはるかそれ、後ろの砂だわらに命中した。オールグレンは険しい表情で男に近づき、小さく肩を叩くと、バグリー大佐の前に立った。
  オールグレン 「戦いは無理だ。」
  バグリー大佐 「明朝6時に出発だ!」
  大村の鉄道事業が進む。線路の敷設に邪魔になる集落の家々を焼き払って工事は進んでいる。その脇を寄せ集めの兵士達が銃剣を肩に隊列を作って進んでいく。
  グレアム 「1600キロの鉄道が2年弱で敷かれた。驚くべきことだ。」
  オールグレン 「経営者は大村か?」
140 グレアム 「サムライを始末した後はね。・・・勝元をそうやって捜す?」
  オールグレン 「向こうが我々を見つけるよ。」
  1876年 吉野の国。バグリー大佐率いる軍隊は奥深い山の中にいた。山の中は濃い霧が立ち込め、日の光も届かなかった。馬上からオールグレンが指揮をとっている。
  オールグレン 「第二中隊、続いて行け!第三、第四中隊、続け!その場で待機!!」

「長谷川は?」

  グレアム 「”勝元とは戦わない”と」
  長谷川は馬を止め、動く気配はなかった。
  オールグレン 「行くぞ!」
  バグリー大佐 「大尉!実戦は任務外だ!」
  オールグレン 「では、誰が指揮を?」
  バグリー大佐 「士官がいる。退(ひ)くぞ。」
150 オールグレン 「・・・どうせ退却だ・・・。着剣しろ!!」
  バグリー大佐 「グレアム君、後方へ。」
  グレアム 「分かった・・。」
  バグリー大佐とグレアムは隊の後方へと退いた。
  オールグレン 「軍曹、後方へ行き補給列車の状況を見て来い。」
  ガントは無視し、銃に弾を込めている。
  オールグレン 「軍曹、命令だぞ。」
  ガント 「はい、大佐。」
  オールグレン 「では行け。・・・行け!!」
  ガント 「失礼ながら・・・”クソ食らえ”です!」
160 その時、林の中に法螺貝の音が低く山全体を被うように響き渡った。
  オールグレン 「装填!」
  みな、一斉に弾込めを始めるが、戦場での緊張感から、上手く弾を込める事が出来ない。その時、男たちのときの声が山を震わせた。法螺貝が鳴り響く。男たちの声に続いて甲冑の打ち合う音と、馬の蹄の音が地響きを立てて打ち迫ってくる。霧の中から、鎧兜に身を包み馬にまたがった侍たちが現れた。
  オールグレン 「射撃用意!」

「号令を待て!」

  侍たちを乗せた馬がぐんぐん近づいてくる。その圧倒的な重圧に気圧されて、兵達が次々に引き金を引いた。
  オールグレン 「撃つな!」
  時、既に遅し。恐怖に駆られた兵達は次々に弾を撃っていく。当然のように弾は、侍には当たらない。弾を撃ち果たし、次の弾を込める余裕さえない。兵達はてんでバラバラに逃げ去っていく。侍たちの猛進が続く。
  オールグレン 「下がるな!一斉射撃!!」
  侍たちの進撃は止まらない。次々、馬で突き進み兵達をなぎ倒していく。阿鼻叫喚の惨劇だった。
  挿入曲 35秒
  オールグレン 「少尉!撤退だ!」
170 オールグレンは兵達を逃がすため、先頭に立ち攻め込む侍たちを迎え討っていた。腰のサーベルで侍たちの刀に対抗している。逃げずに銃を撃っていたガントが侍の放った槍に貫かれた。
  オールグレン 「ガント!」
172 侍の刀が倒れたガントの胸を刺し貫いた。馬上から振り落とされたオールグレンが槍を振り回し侍と戦っている。

次々襲いかかる侍たち。侍の刀がオールグレンの左の肩を貫いた。

侍たちに囲まれたオールグレンはふらふらになりながらも、槍を振り回して抵抗している。だが、とうとう疲れ果てその場に倒れ付してしまった。赤い鎧兜に身を包んだ侍が歩みより、止めを討ちに刀を振るった。油断した侍の喉を、オールグレンの持つ槍が貫いた。血を吹き出し、侍が倒れ込んだ。

侍たちが一斉に襲いかかった。

gUへ続く

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