犬夜叉−鉄砕牙と天生牙−

原作 高橋 留美子

★第1章 殺生丸登場編★


犬夜叉
妖怪の父と人間の母から生まれた半妖の少年。いつも妖怪の力と人間の心の間で揺れている。鉄砕牙を武器にカンと力ずくで戦う。

日暮かごめ
現代からタイムスリップして来た中学3年生。じつは桔梗の生まれ変わり。

殺生丸
犬夜叉の腹違いの兄。純粋な妖怪のため、妖力や身体能力は犬夜叉を上回る。優雅にセンスよく戦い、穴がない。
邪見 殺生丸と行動する家来の妖怪。

冥加
ノミ妖怪。逃げ足が速い。
無女 飢えや戦で子を失った母の無念の魂が寄り固まってできた妖怪

 

001 由緒ある神社の娘、日暮かごめは、ごく普通の中学3年生である。しかし、15歳の誕生日に突如妖怪が現れ、神社境内の井戸へと引き込まれる。気が付くと、時代は戦国の世・・そこで出会ったのが、半妖の少年、犬夜叉だった。

犬夜叉は50年間封印されていたのだが、かごめにより解き放たれることになる。自由を得た犬夜叉は、かごめの持つ『四魂の玉』(しこんのたま)を手に入れて完全な妖怪になろうとするが、妖怪との戦いの最中に玉が砕け散ってしまう。

妖力を高める四魂の玉は、邪悪な妖怪の手に入ると危険なことに。犬夜叉とかごめは、玉のかけらを集める旅へと出発した。

山あいの平地に陣を張っている侍の一団がいる。そこへ雅やかな装束をまとった美しい男が現れた。男はいきなり侍大将の首を引きちぎった。首をもがれた胴体から血飛沫が吹き上がった。

  殺生丸 「きさまら邪魔だ。この場を去れ」

「邪見。人頭杖(にんとうじょう)を・・・」

  邪見 「へ・・へへえ・・・。えへへ・・ごめんなさいよ」
  邪見と呼ばれた小さな男が、侍たちの脇を抜け現れると、翁と女の顔がついた杖を地面に突き立てた。すると、その杖の女の顔がピクピクと動いたかと思うと、その口から甲高い声を発した。
  邪見 「女の顔が鳴きましてございます。ここはお探しの墓ではございませんな」
  殺生丸 「そうか・・・」
  侍たちが刀を手に2人の男を取り囲んだ。
  殺生丸 「うん?・・なんだ人間ども、まだいたのか・・。うっとうしい。邪見、貴様に任せた」
  邪見 「へへえ。ひへへへへ・・人頭杖の力、とくとごろうじろ」
010 邪見が杖を振りかざす。翁の顔の口がカパッと開き、真っ赤な紅蓮の業火が噴出してきた。それは、一気に侍たちを飲み込み、瞬く間に焼き尽くしていった。
  邪見 「ひへっ、跡形も無いわ」
  船に乗る2人の男の姿がある。櫓を漕いでいるのは邪見である。邪見が男に話し掛ける。
  邪見 「殺生丸さま・・・」
  殺生丸 「なんだ?」
  邪見 「お墓のありか・・犬夜叉なら知っているのでは?」
  殺生丸 「犬夜叉・・・」
  いきなり殺生丸と呼ばれた男が邪見を船から川へ叩き落とした。バシャバシャともがく邪見。
  邪見 「ぷわっ・・ぷわっぷわっ・・」
  殺生丸 「胸くそ悪い。半妖のことなど思い出させるな」
020 邪見 「あううっ・・お許しを・・プワァ・・」
  殺生丸 「第一、やつは生きてはおらん。封印されたと聞いているぞ」
  邪見 「で・・ですから、その封印が、解かれたと・・ブクブクブク・・」
  殺生丸 「なに?」
  朝もやの中を、小さくはねているノミ妖怪の冥加ジジイがいた。
  冥加 「ひい・・ひいひい・・もう、三日も歩きづめじゃ・・・一休みするかの」
  その時、冥加ジジイの後ろに迫る巨大な車輪の影・・・。
  日暮かごめ 「ん?・・なんか轢いたみたいな・・・気のせいかな」
  犬夜叉 「傷の手当てだあ?」
  犬夜叉は村のはずれの木の枝に寝転び、かごめの言葉を遮った。
030 犬夜叉 「いらねーよ、んなもん」
  日暮かごめ 「だめよ。酷いケガしてたじゃない・・降りて」
  犬夜叉 「ふん」
  日暮かごめ 「おすわり!」
  犬夜叉は木の枝から落下し、地面に張り付いた。かごめが犬夜叉に馬乗りになり、着物を脱がせようとしている。
  犬夜叉 「降りろ」
  日暮かごめ 「きゃっ」
  犬夜叉 「おれの体は特別だってのがわかんねーのか」
  犬夜叉が着物の襟をはだけてかごめに傷のあった場所を見せる。
  日暮かごめ 「え・・・もう治ってる・・?」

「刀傷が跡形も無いなんて・・普通じゃないけど妖怪じゃない・・・半妖・・半妖っていったい・・」

040 犬夜叉 「いでっ!」
  日暮かごめ 「ん?」
  冥加 「お懐かしい・・犬夜叉さ・・・」
  犬夜叉は胸に吸い付き血を吸っている虫を叩いた。ブチ・・っと音がする。
  犬夜叉 「ん?・・なんでい、ノミじじいの冥加じゃねえか」
  日暮かごめ 「ノミ・・・?」
  犬夜叉 「おれのおやじの墓をあばこうとしてるやつがいる?」
  冥加 「この冥加、墓守として居ても立ってもいられず・・」
  犬夜叉 「墓を捨てて逃げて来たのかよ」
  冥加 「犬夜叉さまの父上様は、西国一の強くて立派な大妖怪でいらした・・・なにより美味しい血をしておられた」
050 日暮かごめ 「へえ?じゃ、おかあさんは?」
  犬夜叉 「うるせえな。死んだよ。とっくの昔に」
  冥加 「しかし、母上様も大変お美しい・・・」
  犬夜叉の親指が冥加ジジイを襲う。ブチ・・っと音がする。

犬夜叉は、そのまま小屋から出て行った。

  日暮かごめ 「あ、ちょっと・・・なんで・・なんか気にさわること・・あたし・・おかあさんのこと聞いただけ・・よね」

「お父さんが妖怪で、犬夜叉は半妖・・・まさか・・・犬夜叉のお母さんて、人間・・・だったりして・・」

  犬夜叉は木の枝に腰をおろし、腕組みをして月を眺めている。木の根元にかごめの姿があった。かごめは犬夜叉を見つめている。
  日暮かごめ 「そうだわ、お母さんが人間なら半妖・・・半分・・人間・・・?」

「な・・なに!?この感じ・・・」

  かごめは背中にゾクッと悪寒が走るのを感じた。その時、犬夜叉がかごめの上に降ってきた。そのままかごめの頭をつかむと地面へ押さえ込んだ。
  犬夜叉 「伏せろっ」
  日暮かごめ 「犬夜叉・・・」
060 犬夜叉 「わかるか!?すげえ妖気だ・・」
  日暮かごめ 「牛車(ぎっしゃ)」
  かごめは、見上げた月を背に中空を走る牛車を見つけた。御簾(みす)が風になぶられ、はらりと開いた。牛車の中に美しい女の姿があった。
  日暮かごめ 「女の人・・・」
  犬夜叉 「お・・おふくろ・・・?」
  牛車の女も犬夜叉に気づいた。
  無女 「犬夜叉・・・」
  日暮かごめ 「どういうこと!?確か犬夜叉のお母さんは死んだって・・・」
  その時、暗雲の中から3本指の巨大な鬼の手が伸び出てくると、牛車を鷲掴みにしバキバキと握りつぶした。その後には、鬼の手の中に、女の姿だけが残っていた。

犬夜叉は、駆け出した。その足元に、火炎が襲いかかる。

  殺生丸 「邪見、殺すのは話がすんでからだ」
070 犬夜叉 「てっ・・てめえっ、殺生丸か!?」
  殺生丸 「ほお・・感心に覚えていたか・・この兄の顔を・・・」
  日暮かごめ 「あ・・・兄!?」
  殺生丸がかごめの姿を見とがめる。
  殺生丸 「ん・・?・・人間の女ではないか・・・」
  日暮かごめ 「なっ・・なによっ・・」
  殺生丸 「犬夜叉よ・・・きさまは人間とつるんでいるのがまことよく似合う」

「人間などという卑しき生き物を母に持つ半妖・・・一族の恥さらし者が・・・」

  日暮かごめ 「やっぱり・・・犬夜叉のお母さんは、人間・・・」
  犬夜叉 「殺生丸。てめえ・・そんなこと言うためにわざわざ来やがったのか」
  殺生丸 「うつけ者。私はそれほど暇ではない。」

「父上の墓のありか・・きさまに聞こうと思ってな」

080 犬夜叉 「おやじの墓だあ?」

「知るか、んなもん」

  殺生丸 「そうか・・・ならば仕方がない。きさまの母が苦しむだけ・・」
  鬼の指が女の体をミシミシと締め上げていく。
  日暮かごめ 「い・・犬夜叉!」
  犬夜叉 「けっ!ばかかてめえ。おふくろはとっくの昔に死んでるんだ。そんなまやかし・・・」
  殺生丸 「わからぬやつだな。だからわざわざきさまの母の魂を・・・死者の国から連れてきてやったのではないか。体まで与えて・・・」
  犬夜叉 「なっ・・・」
  無女 「犬・・・夜叉・・・」
  犬夜叉 「まやかしじゃ・・ねえのか!?」
  無女 「母に・・・かまうな・・・どうせ一度は滅びた身・・・」
090 鬼の指がますますきつく女を締め上げていく。
  犬夜叉 「ちくしょう。散魂鉄爪!!(さんこんてっそう)」
  犬夜叉の爪が鬼の腕を切り刻む。女は鬼の手から離れて地上へ落ちていった。
  日暮かごめ 「だ、大丈夫ですか!?」
  犬夜叉 「かごめ!おふくろ連れて逃げろ!!」
  殺生丸 「逃がしはせぬ!!」
  鬼の腕に乗った殺生丸が犬夜叉を襲う。
  無女 「犬夜叉!」
  女が手をかざす。手と手の間に光があふれ、大きく広がると犬夜叉とかごめを包み込んでいった。鬼の腕の上からそれを見る、殺生丸と邪見。

薄桃色の霧が流れている。甘いにおいに犬夜叉が目を開けた。はすの花が咲き乱れる川のほとりに犬夜叉とかごめがいた。かごめはまだ眠ったままだ。

  犬夜叉 「ここは・・」
100 霧の中から女が現れた。
  無女 「この世とあの世の堺・・・母はここからあの世に戻ります。」

「犬夜叉・・・すっかり大きくなりましたな」

  犬夜叉 「そりゃあな・・おふくろが死んだ時はまだ、ほんのガキだったから・・」
  無女 「すみません、辛い思いをしたのでしょう」
  犬夜叉 「別に、お袋のせいじゃねえさ」
  無女 「犬夜叉・・・」
  日暮かごめ 「うっ・・・あ・・・犬夜叉とお母さん・・・無事だったんだ・・」
  かごめは二人の姿を見つけてほっとした・・しかし、それもつかの間、犬夜叉と話す女の顔が、川の流れる水面(みなも)に映っていなかったのである。
  日暮かごめ 「顔が・・・映ってない!・・あれは・・・お母さんじゃない!?」

「・・・こ・・・声が出ない・・・犬夜叉・・・・」

  無女 「犬夜叉・・・母はもうあの世に戻らねば・・・」
110 犬夜叉 「あ、ああ・・・行くのか・・」
  無女 「犬夜叉、水面を見てごらん」
  犬夜叉 「あ・・・?おれが・・ガキだった頃の姿・・・!?」
  無女 「覚えていますか犬夜叉。おまえが幼い頃・・・母がこうして抱いてあげたこと・・」
  女が犬夜叉を後ろから抱きすくめる。その姿が水面に映った。
  犬夜叉 「おっ・・・おまえは・・・」
  無女 「私のかわいい坊や・・・さあ、いい子だ・・・心まで抱きしめてあげようね」
  犬夜叉 「なにもんだてめえ・・」
  犬夜叉は女の方へ向き直り、女の着物の裾を掴んだ。

女の手が犬夜叉の背中に溶け込むように滑り込んでいく。

  無女 「もう・・・離さない・・私とひとつになりなさい・・」
120 犬夜叉 「ち・・・ちくしょう・・・この女・・・」
  日暮かごめ 「犬夜叉・・・くっ・・なんで・・・体が動かない・・」

「・・なっ・・・これは・・・」

  かごめが見たもの、それは、妖気渦巻く、腐臭漂う沼地の縁に腰をおろし、犬夜叉を抱きすくめる女の姿だった。
  日暮かごめ 「なにもかもまやかしだったんだわ!」
  冥加 「かごめっ。しっかりせんかい!わしじゃ、ノミじじいの冥加じゃ。かわいそうに・・金縛りで動けんのか・・」
  生暖かい、風が吹き抜ける。冥加ジジイは、かごめのほっぺたに張り付き血を吸い始めた。

その時、かごめの手が動いた・・・。ブチ・・っと音がする。

  日暮かごめ 「ありがとー。なんか動けるようになったみたい」
  無女 「坊や・・・・私の坊や・・・」
  女に抱きすくめられた犬夜叉の体が半分女と同化している。そこへ邪見が船を漕ぎ着けて来た。
  邪見 「くぉら無女(むおんな)!いきなり吸い殺してどうするーっ!」
130 無女 「邪見さま・・・」
  邪見 「探り出したのだろうな?犬夜叉と・・・・殺生丸さまの父君の墓のありか」
  日暮かごめ 「あの邪見とかいうやつ・・・殺生丸の手下・・・」
  無女 「思い出して犬夜叉・・父上のお墓はどこ?」
  犬夜叉 「知ら・・ねえ・・・」
  無女 「もっとよく、思い出して・・・母に心の中を見せてごらん」
  犬夜叉 「右の・・・黒真珠・・・」
  邪見 「右の黒真珠?それじゃわからぬ」
  無女 「邪見さま・・・これ以上探ってはこの子の魂が壊れまする・・」
  邪見 「構わぬ、やれ!さもないとこのわしが殺生丸さまのおしかりを・・・」
140 日暮かごめ 「この、小悪党!」
  かごめが邪見を踏みつけ、川の中へ蹴りこんだ。勢いよく川へ飛び込む邪見。

かごめは、無女の元へ走っていく。

  日暮かごめ 「犬夜叉をはなして!」
  無女 「いやじゃ!」
  日暮かごめ 「どんどん吸い込まれていく・・・どうすれば・・・」
  冥加 「かごめ、犬夜叉さまの魂を起こしせい!」
  日暮かごめ 「え!?」
  冥加 「この無女という妖怪、飢えや戦で子を失った母たちの魂が寄り集まってできたもの」

「無女の術に抱きこまれた魂を起こせば、体もはなれるはず」

  日暮かごめ 「魂を起こすって・・・どうすれば・・」
  ずるずるずる・・と、犬夜叉の体が無女の体に吸い込まれていく。
150 無女 「嬉しや・・・もうすぐおまえは母と一つ・・・」
  日暮かごめ 「間に合わな・・・あっ!」
  水面に無女に抱かれる幼少の犬夜叉の姿が映っていた。
  日暮かごめ 「あの子供・・・犬夜叉!?あれが無女の術の正体・・・あの像を消せば!!」
  かごめは棒を使って水面に波を起こし、水面に映った像を打ち消した。

像が消えると、無女の術も消えた。犬夜叉の体がべりべりと音を立て無女から剥がれて出てくる。

  日暮かごめ 「犬夜叉!」

「だっ・・大丈夫・・・?」

  犬夜叉 「ちっ・・ちくしょう・・・ちくしょう」
  殺生丸 「犬夜叉よ。墓のありかがわかったぞ」
  殺生丸の手が犬夜叉の首を掴み、グイッと引っ張り起こした。
  日暮かごめ 「あ・・・・!」
160 殺生丸 「まさかこんなところにあろうとは・・この殺生丸も見抜けなんだわ」
  犬夜叉 「殺生丸・・てめえ・・・」
  殺生丸 「父上も妙なところに墓を隠したものよ。」

「右の黒真珠・・・か。おそらく父上は骸をあばかれぬために、そこに墓を封じたのであろうな」

  犬夜叉 「てめえ・・・さっきからなにわけのわかんねえことを・・・」
  殺生丸 「知らぬうちに託されたのか・・・?ならばこの兄とともに・・・父上の墓参りでもしてみるか!?」
  殺生丸の右手の2本の指が、犬夜叉の右目に突き立った。
  冥加 「犬夜叉さま」
  殺生丸の右手がゆっくりと引き抜かれる。指先に漆黒の光を放つ黒真珠が光っていた。犬夜叉の右目から血が糸を引くように流れている。
  日暮かごめ 「やめてーっ」
  殺生丸 「ふっ・・いくら地中を探っても見つからなかったわけだ・・」

「墓の手がかりはただひとつ・・見えるが見えぬ場所・・”真の墓守”は決して見ることのできぬ場所・・それがきさまの右眼に封じ込まれた黒真珠だったとはな・・」

170 日暮かごめ 「あれが・・・お墓・・」
  犬夜叉 「くっ・・・てめえ・・そんなことのために、ニセのおふくろまで仕立てやがって・・・」

「許さねえ!!」

  犬夜叉が殺生丸に襲いかかる。殺生丸はふわりと、まるで空気に舞うかのように軽やかに跳躍する。

殺生丸は右手の爪をとぎらせて、犬夜叉めがけて振るった。その時、無女が犬夜叉をかばうように飛び込んでくる。無女は、殺生丸の爪によってバラバラに切り裂かれて散らばった。

  冥加 「無女・・・」
  日暮かごめ 「犬夜叉をかばった・・・?」
  冥加 「無女は、母が子を思う情念の妖怪・・子を守ろうとするのも、また、無女の性なんじゃ」
  無女 「坊・・・や・・・」
  殺生丸 「くだらんやつだ」
  殺生丸の足が無女の頭を踏み砕いた。無女の頭はまるで粘土細工のようにもろく砕け散った。
  日暮かごめ 「あ・・・ちょっとあんた・・・」
180 冥加 「わっ、かごめっ・・逆らうなっ、わしらまで殺される」
  日暮かごめ 「だって・・」
  邪見 「せ・・殺生丸さま・・人頭丈(にんとうじょう)取り戻しましてございます」
  殺生丸 「・・・今度なくしたら殺すぞ」

「ふっ、この時を待ちわびたぞ・・」

  殺生丸は人頭杖を振り上げると地面に置いた黒真珠へ杖の先を突き当てた。すると杖についている翁の面が口を大きく開いて笑った。
  邪見 「翁の顔が笑った・・・墓が開きまする」
  黒真珠から黒い光の渦が湧き上がる。それは殺生丸、邪見を包みこむと殺生丸と邪見の姿が消えた。
  冥加 「犬夜叉さま、入口が閉じる前に早くあとを・・・」

「殺生丸さまは父君の財宝を独り占めなさる気・・」

  犬夜叉 「・・・そんなもんに興味はねえ」
  冥加 「そ、そんなっ、もったいない・・・」
190 犬夜叉 「うるせえな、だれが行かねえと言った!」

「殺生丸の野郎・・ぶち殺してやる!かごめ、危ねえからおまえはここで待って・・・」

「ん!?」

  かごめが収縮し消え去ろうとしている黒い光の渦に手を突っ込んで犬夜叉を待っていた。
  日暮かごめ 「なにグズグズしてんのよっ!」
  犬夜叉 「おいっ、中には殺生丸が・・・」
194 日暮かごめ 「だから、一発殴りに行くんじゃない」

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