SPASE ADVENTURE
COBRA

刺青の女 編

001 左腕にサイコ・ガンを持つ男、コブラ。大宇宙を駆け巡る一匹狼だ。未知の財宝と危険な冒険を求めて宇宙をさすらう海賊だ。宇宙の裏社会でその名を知らない者はいない。

キャプテン・ネルソンの隠し財宝を求めて、その秘密を握る三つ子の姉妹を探すことになった。一人目はジェーン。そして、二人目はキャサリン。しかし、二人ともギルドの手にかかって死んでしまった。

そして三人目の刺青の女は女だけの海賊スノウ・ゴリラの一員であるという情報を得たコブラは、第三の女、ドミニクを求めてスノウ・ゴリラのアジトへ潜入した。

格闘技場で、コブラは探す刺青の女を見つけた。ここでコブラは彼女から模範訓練を申し込まれた。

  コブラ 「面白そうだな。オレもプロレスは大好きなんだ。得意技はコブラ・ツイストでね」

『とはいえ、どうやってあの刺青を写真に・・・』

  ドミニク 「いくわよ!」
  コブラ 「いつでもいいぜ・・あれ、どっかへいっちゃった・・」
  女の姿を一瞬見失ったコブラの顔面に、女の飛びげりが炸裂した。吹っ飛ぶコブラ。
  コブラ 「ま・・・待てよ、ちょっと用事を思い出した。今日は引き分けってことでこの次に改めて・・」

「てーーーーって言ってるのに〜〜〜っ」

  言ってる間に、回しげりがコブラを襲う。
  コブラ 「じゃじゃ馬め〜〜っ、おとなしく写真を撮らせてくれそうに無いな!・・ちっと、荒っぽいが・・」
  コブラは女の左腕を掴むと思いっきり投げ上げた。宙に舞う女。女の背中の刺青があらわになる。すかさずコブラはベルトのバックルの写真機でそれをおさめた。

女は宙で一回転すると、スタッと綺麗に着地した。

010 ドミニク 「勝負はこれからよ!」
  サンドラ 「いいえ!勝負はあったわ。おまえの負けよロイヤル少佐!」

「そしてもう一つのゲームも終わりよ。フフフ・・・銀河パトロールの犬めが!」

  ドミニク 「犬・・・!?」
  サンドラ 「フッフフ・・とぼけるのはおよし!!ミスター・Jの持ってきた指令書で何もかもわかっているのよ。おまえがギルドの動きを探るため潜入してきたスパイだってことはね!」

「見るがいい、おまえと一緒に潜入してきた他の二人は既に口を割ったわ!」

  サンドラの指差すほうに、二人の女が立っていた。その周りにはスノウ・ゴリラがレイウガンを手に立っていた。
  ドミニク 「フフフ・・・さすがギルドの調査網ね。負けたわ」
  サンドラ 「負け犬の処刑方法はもうご存知だったわね」
  二人の女たちにピラゲーターが大きな口を開けて鋼鉄の巨大な牙を剥き出しにして迫ってくる。ピラゲーターが女たちに襲い掛かった。鋼鉄の牙は女たちの柔らかな皮膚を裂き、肉を引きちぎり、骨を砕き、あっという間に、食い尽くしていた。そしてそれは、くるりと向きを変え、ドミニク目掛けて向かってきた。ピラゲーターが大きな口から牙を剥き出して宙を跳んで来た。

ピラゲーターが火を噴き上げ、次々爆発を起こしていく。驚いて振り向くドミニクの目に左腕のサイコ・ガンを構えて立つコブラの姿が映った。

  コブラ 『ちくしょうめ・・勝手に手が動いちまった・・』
  サンドラ 「あ・・あれは・サ・・サイコ・ガン!」
020 コブラ 「ちぇっ、上手くいっていたのにバレちゃったみたいだな」
  サンドラ 「お・・・おまえは!?・・コブラ!!」
  スノウ・ゴリラが一斉にレイガンを撃つ。コブラもサイコ・ガンで反撃する。
  コブラ 「やれやれ、よりによって銀河パトロール隊員を助けるとは・・・おれもやきが回ったか!」
  コブラは右手のリストバンドから小さな銛を天井めがけて撃ち出すと、そのまま身を躍らせた。コブラの体が宙を滑っていく。コブラはロイヤル少佐を連れて非常用ハッチへ躍りこむと、サイコ・ガンで開閉装置を破壊した。
  ドミニク 『・・・この男がコブラ・・・なぜわたしを・・・』
  サンドラ 「チッ!開閉装置を壊されている!」

「非常態勢!あの二人をこの基地から生かして出すんじゃないよ!」

  非常警戒音が基地全体にこだましている。コブラとドミニクはジェットスキーの発進口目指して、通路を走っていた。
  ドミニク 「なぜわたしを助けたの?」
  コブラ 「そのかわいいおシリがかじられるのを見てられなくてね!」
030 ドミニク 「スキーはできる?」
  コブラ 「できるかだって?オレがオリンピックに出れば金メダルでオセロができるぜ」
  ドミニク 「せも、気をつけて!これはジェットスキーよ。軽く300キロはでるのよ!」

「パワー全開で行くわよ!」

  コブラ 「OK!飛ばしましょ!」
  コブラとドミニクの履いたジェットスキーの噴出ノズルから青白い炎が吹き出た。薄暗い発進通路にジャットファイアが青白く照り映える。ジェットスキーはぐんぐんスピードを上げていく。しばらくすると目の前に射出口がみえて来た。そのまま一気に外へ躍り出る。目の前をブリザードが猛烈な勢いで吹き荒れていた。
  ドミニク 「コブラ、直ぐに追っ手が来るわよ!」
  コブラ 「なあに、ヤツラにとって皮肉なことにこの人工ブリザードがオレ達を隠してくれているよ」
  滑るコブラとドミニクのそばをレーザービームが過ぎていく。
  コブラ 「どうやらおいでなすったぜ!・・お〜〜お、うじゃうじゃいること」
  ドミニク 「狙いが正確だわ。ヤツら、スターライトスコープをつけてるのよ」
040 コブラ 「そんなものは・・・この、サイコ・ガンには・・・必要ないぜーーーっ!」
  コブラに放つ、サイコ・ガンのエネルギー波は次々と、スノウ・ゴリラを撃ち抜いていく。
  コブラ 『気配さえつかめばサイコ・ガンは目をつぶっても当たるんだ。さあ、撃って来い!それでおまえたちの居場所がわかるぜ!』
  ドミニク 「だめだわコブラ!相手が多すぎる!!」
  コブラ 「いえてる!」
  サンドラ 「ワァハハハハ、バカめ!追い詰めたぞ。その先はクレパスだ!」
  ドミニク 「だめよ!そっちにはクレパスがあるわ」
  コブラ 「わかってるさ、そこがオレたちの逃げ場所だ」
  前方に巨大なクレパスが大きく口を開いて待っている。その手前に一本の旗が小さくはためいている。
  コブラ 「あったぞ!あれだ!!いいか、あの旗を目印に跳ぶんだ!」
050 ドミニク 「無理よ!いくらジェットスキーでも、あの巨大なクレパスは跳び越せないわ」
  コブラ 「じゃ、撃ち殺されるかい」
  ドミニク 「わかったわやってみましょう」
  コブラトドミニクは、クレパスめがけて身を躍らせた。二人の体が巨大なクレパスの裂け目の上を跳んで行く。クレパスの中ほどでジェットスキーは失速、二人はクレパスの中へ落ちていった。
  サンドラ 「ファハハハハ・・・手間が省けたわ!自分からクレパスへ飛び込み自殺とはね」
  クレパスを覗き込み高笑いするサンドラの前に落ちたはずのコブラとドミニクの姿が浮かび上がってきた。それはどんどん上昇していく。やがて目の前に、タートル号の姿が浮かび上がった。

タートル号が、クレパスの下に潜んでコブラとドミニクをその背に乗せていたのだった。

タートル号は、サンドラたちスノウ・ゴリラを尻目に眼下に見えるクレパスをあとにして飛び去っていった。

宇宙空間を飛行するタートル号。操縦席からアーマロイド・レディーの声がする。

  レディ 「無事にルールジュ星の引力圏から脱出したわ。そちらはどう?何かわかって、コブラ?」
  コブラ 「非常によーくわかったつもり・・・あれはまさに宇宙一のヒップだね」
  ドミニク 「えっ」
  コブラ 「いやーっ、そのーっ・・つい見とれちゃってね・・・」
060 ドミニク 「まあーっ、それで本気に調べてるつもり・・・」
  コブラ 「もちろん、ちゃーんと調べてますよ」
  ドミニク 「じゃ、刺青の秘密はわかったのね」
  コブラ 「まあね、あとはこいつをコンピューターにかけてみるだけだ」
  コブラは右手の中のデジタルテープを放りながら言った。
  コブラ 「一つ聞いておきたいんだがね。銀河パトロールのあんたとしては最終兵器が見つかったらどうするつもりだい」
  ドミニク 「銀河パトロールの管理にまかせるわ」
  コブラ 「管理ねえ・・パトロールの権力が強大になるというわけだな」
  ドミニク 「あなたこそどうするつもり。自由奔放をもってなる無法者コブラが宇宙の帝王にでもなろうっていうの」
  コブラ 「・・・・そいつも悪くないな」
070 コブラに連れられ入った部屋には、部屋の中央にグランドピアノの形をしたマシンが置かれていた。
  ドミニク 「演奏会でも始めるつもりなの?」
  コブラ 「こいつは最新式のコンピューターでね。趣味いいだろう?」

「じゃ、ぼちぼちいくとするかな」

  コブラが鍵盤型キーを弾くと、軽やかなメロディーとともに、モニター画面に刺青が映し出された。
  コブラ 「あれがジェーンの刺青。・・おーーっ、今日は調子いいこと」

「そして次はキャシーの刺青。そして最後はキミのだドミニク!!」

「さて・・キミたちロイヤル姉妹の刺青を重ねてみるとだな・・・ほらね、なんと真っ黒け。なにがなんだかわかりゃしない」

  ドミニク 「ふざけないでよ。他に方法は見つけたんでしょう」
  コブラ 「まあ、まあ、そう慌てるなって・・・オレもねはじめは、この三つをただ合わせりゃ地図になると思ってたんだが・・・ところがもう一つ仕掛けがしてあったんだな。光の三原色は知ってるね」
  ドミニク 「光の・・・赤・緑・青よ。それが何か・・・!?」
  コブラ 「そいつが解くカギさ!どんな色彩でも赤・緑・青の三つの色を適当に混ぜることによって作り出すことができる・・・」

「カラーテレビのブラウン管の画面がそうだ。拡大してみると三つの色の粒子から成り立っている・・・」

  ドミニク 「わかったわ!つまり刺青をそれぞれ着色して・・それを重ね合わせればカラー写真が出来上がると言うわけね!」
080 コブラ 「三つの刺青に三色を・・・その組み合わせは六通りできるわけだが・・・正しい組み合わせをコンピューターがはじき出してくれた」

「刺青をカラーフィルターを通して着色する。まず、ジェーンは赤!キャシーは緑!!そしてキミのは青だ!こいつを一つに合わせる!」

  モニターに映った刺青の部分に、くっきりと星間座標地図が現れた。
  コブラ 「まさに完璧な地図だぜ!上半分は星の座標を示し、下のはその星の経緯と緯度をあらわしている。その接点がネルソンの隠した最終兵器の位置だ!」
  ドミニク 「で・・・その星は?」
  コブラ 「そいつが割合と近いんだね・・・砂の惑星ザドスだ!!」

「最終兵器か・・ジェーンもキャシーもこいつのために死んだ・・・オレはそいつを探し出してこの手で叩き壊してやる!」

  惑星ザドスの上空を飛行するタートル号。地上は砂嵐によって視界が遮られていた。
  コブラ 「東経120度4分、北緯30度81分か・・・あの地図が正しけりゃ、ここら辺ってことになるがなあ〜〜っ」
  レディ 「でも・・こんな所にピラミッドなんて・・・」
  コブラ 「まてよ・・・!!」
  レディ 「あれは?」
090 コブラ  「どうやらプリンじゃなさそうだな」
  レディ 「そうよ、刺青の地図が示すピラミッドだわっ!!」
  コブラ 「おったまげたね、こりゃエジプトのピラミッドとうりふたつだぜ」
  ドミニク 「とうとう見つけたのよわたしたち!あそこに最終兵器が眠っているんだわ」
  その時、タートル号のはるか上空より、幾条ものレーザービームが降り注ぎ、タートル号へ着弾した。
  コブラ 「お・・おい、今のはなんだい。ノックの音にしちゃ派手過ぎるぜ」
  レディ 「コブラ、レーダーを見て!上空に宇宙船が!?」
  ドミニク 「そ・・そのタイプは・・!?・・スノウ・ゴリラのサイドワインダー・・・」
  コブラ 「なにっ、スノウ・ゴリラだって!?」
  サンドラ 「フッフフフ・・コブラよ、礼を言うわ。わざわざ最終兵器の位置まで案内していただいたことをね」
100 コブラ  「その声は・・・サンドラ!!」
  サンドラ 「あら、憶えていてくれたのね・・ホッホホホホホ・・」
  コブラ 「驚いたぜ、こんなところで美人の知り合いに会えるとはおもわなかった。どうやってつけて来た?交番で聞いたわけじゃなさそうだな」
  サンドラ 「フフフ・・・ドミニクの耳たぶの中には超マイクロ発信機が仕込まれてるのよ。もっとも本人は気づかなかったでしょうがね」
  ドミニク 「なんですって!」
  サンドラ 「スノウ・ゴリラに入った者は全て寝ている間に手術されるっていうわけ・・」
  コブラ 「ご苦労なこったな。ルルージュ星からずっとつけて来たってわけか・・・」
  サンドラ 「そう!おまえたちは泳がされていたのよ。最終兵器を見つけてくれるまでね」

「しかし、もう用はない。その役目は終わったわ!」

  サンドラの乗ったスノウ・ゴリラの船からレーザービームが連射される。
  コブラ 「ちぇっなめんない!この船には宇宙船艦が丸ごと買えるほどの金をかけてあるんだぞ」

「そこいらの船とは違うって事を見せてやるぜ!」

110 「コブラが操縦席のレバーを引いた。タートル号の船体がチカチカッと明滅し、一瞬、その姿が消えた。間髪を居れず、タートル号の船体はスノウ・ゴリラの船の後方に現れた。
  サンドラ 「信じられない・・一体何がおきたというの!我々はヤツの後方にぴったりとついていたはず・・」
  コブラ 「ヤッコさん反加速装置を知らなかったようだな。タートル号は減速なしで瞬時に空間に停止できるのさ!おまえたちはオレたちを追い越したんだよ」

「お返しだ受け取れ!!」

  タートル号からビーム砲を発射。レーザービームは青白い軌跡を描いてスノウ・ゴリラの船のエンジンを直撃した。被弾し火を吹き上げるスノウ・ゴリラ艦。失速しながら、ふらふらと地上の砂漠へ不時着していった。着地の寸前、船底のハッチから戦車ブラック・シープが飛び出してくる。船はそのまま砂丘へ突っ込み、爆発炎上した。
  コブラ 「なんだあ・・ありゃ!・・・やばい、潜り始めるぞ」

「・・・ちぇっ・・見失っちゃったい・・・」

  ドミニク 「ああっ!コブラ戦車に気を取られていたわ!見て!サンドラがピラミッドへ向かっている」
  コブラ 「反転しろ!あいつが先に最終兵器を手に入れたらおしまいだぞ!」
  ピラミッドの入口の前に立つサンドラ。タートル号の攻撃を部下に指示し、サンドラはピラミッドの中へと入っていった。ピラミッドに接近したタートル号は砂に潜ったブラック・シープから砲撃を受ける。タートル号は、砂を掻き分けるように地上すれすれを飛行し、ピラミッド入口を塞ぐような格好で停止した。
  コブラ 「ほっ!うまい具合に入口の前を塞いだぜ。防御シールドをはれ!ヤツらを中に入れるなよ」
  ドミニク 「シールドのエネルギーはどのくらいもつの?」
120 レディ  「2・・30分ってところね。こうなれば彼に賭けるしかないわ」

「最終兵器を手に入れて戻ってくるのは・・コブラか!?それともサンドラか!?」

その4−1 劇 終 その4−2へ続く・・。★クリックしてみるあるカ?

inserted by FC2 system