地球へ・・・
【ソルジャー・ブルー編】

 原作:竹宮恵子

ジョミー・マーキス・シン 育英都市アタラクシアの少年。
14歳まで普通の人間として育ったが、ブルーに潜在能力を見込まれ、ミュウの仲間になる
ソルジャー・ブルー ミュウ達からの絶大な信頼を得る、リーダー的な存在
身体的には弱い面をもつため、ジョミーにミュウの未来を託す
フィシス ジョミーと同じくソルジャー・ブルーに見出された盲目の女性。占いで未来を読むことができる
■ストーリー
 
はるか遠い未来――育英都市“アタラクシア”で暮らす少年ジョミー・マーキス・シンは、14歳の誕生日“目覚めの日”を迎えようとしていた。
 その日に成人検査を無事に終えれば大人として認められ、両親のもとを離れるのが社会のルールであった。しかし、プレイランドに足をのばしたジョミーは、そこでアタラクシアの真実を知る。
 “目覚めの日”が近づくにつれ、何度も見た同じ夢……そこに現れる美しい少女少年たちは実在し、ジョミーは彼らと同じ超能力をもつ“ミュウ”だったのだ。ジョミーはもう後戻りできない。
 彼を後継者に選んだ《ミュウ》のリーダー、ソルジャー・ブルーの悲願は、いまジョミーに託されようとしていた……。
世界観と用語

【アタラクシア】
ジョミーが暮らす育英都市。実は地球《テラ》から2000光年離れた惑星で、子どもが14歳になったとき、テラの大人として適正か検査するための星だった。

【地球《テラ》】
はるか宇宙の果てにある人類の故郷。環境破壊が進行して毒素が蓄積された結果、地表から緑は失われ、海から魚影も消えて滅亡寸前に陥った。地球再生のため、人類の大半は植民惑星へと移住している。

【S.D(スペリオルドミナント)時代】
地球滅亡を救うために施行された管理体制時代の総称。コントロールは惑星移住の推奨、人口管理、出産規制、自然分娩の禁止など多岐にわたり、完全な生命管理社会となっている。

【ミュウ】
管理社会の中から生まれてきた新たな人類の種族。ESP(超能力)をもち、思念による遠隔会話や念動力のほか、様々な能力を獲得している。それと引き替えに、身体能力の一部が阻害されているミュウも多い。

001 ありとあらゆる地に住みつき、ありとあらゆる自然を克服してきたホモ・サピエンスたちは、もう長い長い時代、天敵の存在を知らず、わが世の春をほしいままにしていた。

完璧に管理されたメガロポリス。宇宙への発展。ワープ航法を可能にした人類は、欠乏する資源を求めて三千光年、四千光年を飛び越えて行った。
しかし、急速に衰え始めた地球自体の生命力だけは、どんな研究も空しくとりもどすことができなかったのである。

大気は汚染され、緑は自然に育たなくなって久しく、地下には分解不可能な毒素がたまり、生命の源・・海からは魚影が消えて行った。
老い行く地球を足もとに、なすすべもない人類は、何度も移住の計画を立てては破棄し、ついに人間たちこそが地球を窒息させるのだという結論に達した。

地球を遺棄するくらいなら、人間たちの変革をも辞さないと・・・。

そして、他星移民の奨励、出産規制の後、S・D時代に入る。
特殊政治体制(スペリオルドミネーション)・・・それは完全な生命管理の社会体制であった・・・・。

002 地中深く、静かに潜行しその目覚めの時を待っているミュウの船の中。

ソルジャー・ブルーがフィシスのいる「天体の間」へやってきた。

プロローグ

 
003 ソルジャー・ブルー 「フィシス」
004 フィシス 「これは・・・ようこそソルジャー」
005 ソルジャー・ブルー 「・・・フィシス。あいかわらずこの『天体の間』にいりびたっているようだね」

「まだこの船は地の底深く潜んでいるというのに。きみの目には、この舷窓(げんそう)から岩肌を通り越して・・・何が見える?」

006 年若き預言者フィシス。盲いた瞳で夜ごと日ごと、ターフルの上のカードを繰る。そしてなお、年若い指導者ソルジャーブルー。命かけて同胞のために星の宇宙(そら)を渡る。
007 フィシス 「・・・・地球(てら)の未来が・・・」

「地球(てら)の未来が私のターフルに描かれて見えるのです。

008 ソルジャー・ブルー 「地球(てら)の・・・?では、そこへ向かわんとするわれわれの未来は?・・・われらミュウたちの・・・?」
009 フィシス 「われらに・・・獅子に目覚めが訪れます。なにか大きな力がわれらの源流にそそぎこみます」
010 ソルジャー・ブルー 「もういい!占いは・・・いつでもそれだ。抽象的でとらえ所がない」

「力とは何だ!?武器か・・それとも人材か?それを得れば宇宙へ飛びたてるのか!?」

011 フィシス 「どうなさいました。あせっておいでに?あなたらしくもない」
012 ソルジャー・ブルー 「・・・時期を待つのにあきただけだ・・・・・」
013 船体を重く、深くゆっくりと、エンジンの振動が包み込む。
014 フィシス 『ソルジャー・・・』
015 ソルジャー・ブルー 「この岩肌の向こうに、フィシス、きみは宇宙を見るといったな」
016 フィシス 『あなたのテレパシーがほそい・・・・』
017 ソルジャー・ブルー 「・・・・・地球(てら)も見えるか?」
018 フィシス 『ほそい・・・・・ほそい・・・・!』
019 ソルジャー・ブルー 「われわれは・・・地球(てら)と戦うことになるのだろうか・・・」

「地球(てら)は・・・・遠い。せめて一度、この肉眼でとらえたかった」

「こうやって地の底にもぐってから・・・もう何年になるのだろう。フィシス。きみは憶えているか?」

020 フィシス 「ソルジャー!?」
021 ソルジャー・ブルー 「いったいいつから、われわれは年を取るのをやめたろう?」

「なぜ地球(てら)をなつかしむのだろう?・・・われわれはそこを見たこともないというのに?」

022 フィシス 『・・・涙・・・!・・ソルジャーの涙・・50年もまえに一度みたきりの・・・』
023 ソルジャー・ブルー 「フィシス。きみの地球(てら)をまた・・・・見せてくれないか」
024 フィシス 「いいですわ・・・・」
025 ソルジャー・ブルー 「きみは試験管(テストチューブ)から生れたにもかかわらず卵子の提供者である母親の地球(てら)での記憶をそのまま受け継いでいるという」

「その記憶の中の地球(てら)は・・・どこのだれが学んだより確かな存在を感じさせる・・・」

026 フィシス 「・・・手を絡めて・・・私に心をゆだねて。テレパシーウェーブをあわせて・・」

「・・・・・銀河系です。見えますか?」

027 ソルジャー・ブルー 「・・・ああ」
028 フィシス 「ゆっくりと徐々に心を開いて・・・・」

「これはたぶん私の母が地球(てら)へ渡った時の記憶です。あまり鮮明ではありませんが・・」

029 ソルジャー・ブルー 「そんなことはない・・・美しいよ」
030 フィシスの見せるイメージビジョンは銀河系の中へ向かってぐんぐん拡大させていく。やがて眼の前に熱く輝く恒星がその姿を現した。
031 ソルジャー・ブルー 「ああ・・太陽!・・そこまで翔ぶにはぼくの命はもう短い」

「だれかにゆだねなければ・・ぼくの命、ぼくの記憶・・ぼくの未来を生きる者!・・・だれか・・・・」

032 ソルジャーブルーは意識を失いその場に崩れ落ちた。驚いたフィシスがソルジャーを呼びつづける。

そこで不意に夢から現実へ引き戻された。ベッドの上で大きな声を上げて起き上がったのはジョミー・マーキス・シンだった。

 
033 ジョミー(M) 【・・・ぼくは、ジョミー・マーキス・シン、14歳。正式には明日が”目覚めの日”だ。
034 ジョミー・マーキス・シン 「くっそぉ・・・フウ!」
035 ジョミー(M) 【秒速三万キロで急降下したような吐き気!」
036 ジョミー・マーキス・シン 「また、ヘンなSFもどきの夢をみちまった・・ちくしょう。完全に夢に悪酔いしてら・・ぼくのベッドの完全睡眠装置(サウンド・スリーパー)いかれてんのかな」
037 ジョミー(M) 【”目覚めの日”前後は体質の変化でコンディションが狂うという。そのせいかどうか知らないが、ここ数ヶ月・・・三日に一度の割合で同じ夢を見る】

【学校でそのことを話したら案外に人気があった。しかし・・案の定、マザーには気にいられなかったらしく学校帰りをとっつかまって、ESP検査】

【ぼくはどうやらエネルギーのありあまった不良児童でこの検査にはしょっちゅうひっぱりだされていた】

038 N(検査官達) 【検査官A】
「・・・とくに異常は見られませんな大丈夫でしょう」

【検査官B】
「いや、変化初期のミュウならこんなテストには耐えられませんよ。連中はとてつもなくデリケートですから」

【検査官C】
「でもあんな夢をみるなんて変ですな!たぶん完全睡眠装置(サウンド・スリーパー)の故障ですな。チェックさせましょう」

【検査官A】
「・・しかし、いつもながらあの子の神経はタフですな」

039 S・D336年・・・ミュウが発見されて以来、ユニバーサル・コントロールでは、あわててESP検査を制定した。

ミュウの特徴はESP(エスパー)であること・・・そして感情過多であること。何が原因で普通の子供がミュウに変化するかは究明されていない。

040 ジョミー・マーキス・シン 「ただいまマム!なんか食べさせてよ」
041 ジョミーの母 「ジョミーなの!?」

「ジョミー!新しい服をあつらえたのよ。着てごらん」

「ほらごらん。ちょっといいでしょう!おまえあしたは”目覚めの日”だからね・・・どうしたのジョミー?」

042 ジョミー・マーキス・シン 『そうだった・・・あしたは”目覚めの日”ぼくは14歳になるんだった・・』
043 ジョミーの母 「だれでも”目覚めの日”は特別休暇で学校はお休みですもの。おまえもどこか出かけるでしょう?」
044 ジョミー・マーキス・シン 「マム・・・・マムは平気なの・・寂しくないの?」

「ぼくがもし、あした行っても・・・いなくなってしまっても・・・いやじゃない?」

045 ジョミーの母 「まあ・・・・ジョニー・・・・・そんなことを心配するなんて学校でいったい何をならってるの?いやね」

「”目覚めの日”のことはちゃんと詳しく知ってるでしょうに・・・。さあ!早くお風呂にはいっていらっしゃいな。パパももう帰ってくるわ」

046 ”目覚めの日”

幼年育英都市”アタラクシア”では、成人の日にあたっている。
S・D(スペリオルドミナント)に紀元改定があってのち、ユニヴァーサル・コントロールでは、堕落、腐敗する一方の『世界』を救うため特殊統治体制にはいった。
端的にいえば、それは大人社会と子供の育英社会とをわけてしまうことだった。

子供は婚姻によってつくられることはなくなり、すべて完璧なコンピュータ・コントロールによってつくられる。そしてアタラクシアで適当な保父・保母が子供一人につき一組選ばれた。
今日では精巧なアンドロイド・ロボットによる育児も可能となっている。

子供たちは常にユニヴァーサル・コントロールの徹底した監督のもとに健全な生活をし、必要な教育を受け悪いものいっさいから隔離されて大人社会の『清浄化』に役だつ『純潔』な子供として育成される。

047 ジョミーの母 「アロー・・・ユニヴァーサル・コントロールですか?・・・・」

「息子が・・・ええ・・・・ハイ・・・どうも情緒不安定で。いま風呂場に・・・ハイ・・・・おりますけれど・・」

048 ”目覚めの日”とは大人社会のことを何も知らされずに育った子供が、直接、大脳へのコンタクトによる成人検査でそのシステムをはじめて教えられ、それぞれの能力に合わせて『社会』の中に散っていく日のことである。
049 ジョミーの母 「名前はジョミー・マーキス・シン。明日で14歳になります。ナンバーはA・D06223・・・・」
050 優秀なる子はさらに教育を受けて重要なポストへ。

残りは健全な市民となって社会を構成する。成人検査は必ずしも”目覚めの日”に行なわれるわけではない。ユニヴァーサル・コントロールの判断によって”目覚めの日”の前後一年間にもっとも理想的にコンタクトのとれる機会が選ばれる。

成人検査で一度目で合格するものが86%、二度目で合格する者9%、三度目に至る者2%・・・。
最後の3%は知的障害者及びコンタクト失敗によって脱落・発狂した者である。

051 ジョミー・マーキス・シン 「・・フウ!喉が渇いた」

「あれ?・・マム!ねぇ、マム!オレンジスカッシュが切れてるよォ」

052 突然、ジョミーがヘタッと脱衣室の床に座り込み、意識を失った。

部屋の中へ入り込んできた数人の男たちによって、ジョミーは寝室へかつぎ込まれた。

053 ジョミーの母 「・・・どうなるんですの?」
054 N(検査官) 「どうって・・・むろん深層心理テストですよ」

「30通りばかりの心理探査と質疑応答です。拷問なんかじゃありません。その反応をみて思想分析と感情分析をするんです。危険因子があるかどうか」

055 ジョミー(M) 【・・・きっとその夜のぼくの悲鳴は母には聞こえなかったろう。声さえも発することを許さぬ恐怖のどん底に・・ぼくはいたのだから】

【ベッドの上に静かに横たえられたまま、突然にしんまで黒々と凍りつく心理攻撃を受け、精神(こころ)さえも放棄してしまいたくなるほどの、すさまじい劣等意識の泥沼に引きずりこまれていたのだから!】

056 N(検査官) 「どこにも異常はなかった。・・・・大丈夫、これで明日は正常に目を覚ますだろう」

「人騒がせな子だまったく。”目覚める”ことを寂しいとか、いやだとかいうことは、成長・・つまりは大人を拒否することだ」

「ま、どうせ、そうとは知らず言ったのだろうが・・・もっとも危険な意思表明じゃよ・・・」

「政治批判と同じ扱いだな・・そうなると深層心理テストまで受けさせられる。ヘタをすれば発狂してたろう」

「お大事にな、奥さん。明日になればショックは忘れておるはずじゃ」

057 深い意識の底に沈んでいるジョミーの心は、暗く混沌とした精神の海を、ゆらゆらと揺らめきながら尚も深く沈んでいく。全身に絡まる不快なもので身動きできなくなっている。ジョミーは自分を見つめる青く澄んだ瞳の青年の姿を見つけた。
058 ジョミー・マーキス・シン 『・・・・ダレ?』

『ソコニイルノハ・・ダレ・・・・』

059 ソルジャー・ブルー 『ジョミー・・・うれしいよ・・・・きみのテレパシーはまた強くなってる。ぼくがきみの名を知ることができたのもそのせいだ』

『・・・だが、きみのテレパシーは潜在していてまだ表にはあらわれていない。だから今までどんなESP検査にもひっかからなかった』

『しかし突然、深層心理テストを受けることになった時はもうだめだとあきらめた。それが・・・それがどうだ。きみは前にもまして強くなっている』

『きみはまさにソルジャーだ!戦士・・・・きみはソルジャーだ。忘れるな・・・』

060 翌朝、急に大人びたような表情でジョミーは両親に挨拶をした。
061 ジョミー・マーキス・シン 「マム、じゃあ行ってきます。パパも元気で」
062 ジョミーの母 「気をつけてね!」

「な・・・なんだかあの子・・突然大きくなったみたい。ぞっとしたわ・・・・!」

063 ジョミーの後ろ姿を見送りながら母が胸を押さえた。
064 ジョミー・マーキス・シン 『昨日みた夢・・あれは何だったんだろう・・・・何かとてつもなく重要なことだった気がする』

『みんな学校の方へ向かって行く。いつも変わらず大人しい顔で。ぼくは一人・・どこへ行けばいい・・・』

『子供連れの大人たちがたくさん・・・そうか・・・プレイランドが近いんだ』

『なぜ・・・!?・・・なぜ涙がでるんだろう・・・かなしくてむなしい・・なぜ?・・なぜ!?・・なぜ!』

『行ってみようか・・プレイランドへ・・昔乗ったメリーゴーランドはまだあるだろうか。マムの手をしっかり握って乗ったコースターは・・・』

065 N(オペレーター) 「・・・こちらユニヴァーサル・コントロール。かの問題児、ジョミー・マーキス・シンの成人検査を・・場所はファナティックプレイランド。警察局はただちに直行せよ》
066 ソルジャー・ブルー 「・・・・ジョミーは今どこに・・・・?」
067 フィシス 「プレイランドへはいるところです。ソルジャー」
068 ソルジャー・ブルー 「映像は?」
069 フィシス 「ユニヴァーサル・コントロールのTV電波をキャッチ。この船のキャビン全てへ中継しています」
070 ソルジャー・ブルー 『わが同胞に告ぐ。わが同胞に告ぐ。今からユニヴァーサル・コントロールの・・・”成人検査”を妨害し、ジョミー・マーキス・シン14歳を同胞に迎える。注視せよ』

『プレイランドの入口にある、なきネズミの檻がある。公表では”火星で捕獲飼育される新種の小動物”であるが、あれはわれらミュウの開発した生きもの。ごくわずかながらテレパシーを持ち、テレパシーを中継することができる』

071 N(ミュウ) 「ジョミー・マーキス・シン・・きみが、わが指導者ソルジャー・ブルーからのメッセージをこのなきネズミから受けとることを心から・・・祈る」
072 なきネズミの檻の前、ジョミーの瞳を覗き込むように、なきネズミの瞳が見つめた。その時、ジョミーの脳裏に声が響いた。

≪・・・出たい・・この檻の外へ出たい・・・故郷(ふるさと)・・地球(テラ)へ・・・ジョミーきみも地球(テラ)の子だ・・・地球(テラ)へ・・帰ろう・・共に・・・もうこんな檻から出たい・・・・≫

073 ジョミー・マーキス・シン 『・・・思念波・・・エネルギー!?・・・いまのはどこかで聞いた声・・・いや・・声じゃない・・・なんだ・・・!?』

『なきぬれた心のひだが感じられる・・・』

『そうだかわいそうだ・・・檻に入れられた動物にみんな疑問を持たないんだろうか・・いつだっけか・・・檻の動物を的にパチンコをやる子供がいて、その遊びはきびしく禁止されたけど・・・なぜいけないのか、誰も教えてくれなかった』

『罰がこわくて【いけない遊び】と覚えこんだだけ・・』

074 ソルジャー・ブルー 『そうだジョミー・・・動物を檻に入れる事こそがいけないとは誰も教えない。将来、社会という檻に入った時”檻”が意識されては困るからだ。ジョミー、疑問は持ちたまえ・・いくつも、いくつも・・・できるだけ多くの疑問を!』
075 地下ロードコースターに乗り込み、ジョミーは人工鍾乳洞の中へ滑り込んでいった。
076 N(ミュウ) 「ジョミー・マーキス・シン予定通り地下鍾乳洞へ入りました。検査用ヘルメットも着用しています」
077 ミュウの船の中では、成人検査をうけるジョミーの姿をモニターの中に見つめながら、子供たちが口々に話している。そこへ、老齢の教授(プロフェッサー)がやってくると、子供たちに優しく話しかけた。
078 N(教授) 「・・・幸運だな、きみたちは・・・」

「ユニヴァーサルの教育を知らずにESPエリートとしてここで生まれ育ったとは・・・・。見世物まがいの気持ちで見るのじゃないよ。この船の中に住んでいる多くの古顔のミュウたちは、みんな・・・あのおそろしい検査をぬけてここへ集まってきたのだ」

「きみ達の父も・・母も・・・地球(テラ)へ・・帰るために!・・・いくつも検査を見てきたよ。できるなら私はもう見たくない・・・・」

079 ソルジャー・ブルー 『ジョミー・!!・・ぼくがいま行く・・きみの成長をずっと見てきた・・・。今度こそぼくのようにひ弱でない、強い心も体も完全な指導者をこの地球(テラ)への船に迎えるために、きみというダイナマイトを・・・ジョミー!!きみを爆発させてやる!』

続 終

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