ヘルシング
★コミック第1巻より★

登場キャラクター

アーカード アーカード

真の正統な吸血鬼。日光は天敵ではなく、単に嫌いなだけである。主食は人血であるが、普段は輸血用の血液パックをストローで飲み、また同属である吸血鬼の血を吸う事もある。稀に夢を見る事があり、その際には血の涙を流している。 
セラス・ヴィクトリア セラス・ヴィクトリア

元婦警。「チェダース村事件」でアーカードに吸血鬼化された。この事件はチェダース村に赴任していた牧師(吸血鬼)によって起こされた大量殺人事件であり、この時人質に取られた彼女を、牧師ごと撃ち倒したアーカードが血の契約を行ったことにより吸血鬼になった。書類上では行方不明扱いとなっている。 
インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング

ヘルシング家当主にして英国国教騎士団局長にして円卓会議の一人。通称インテグラ。10年前、父親の死に乗じてヘルシング機関を牛耳ろうとした叔父を殺し、ヘルシング家及びヘルシング機関、そしてアーカードの主人としての権利を継承した。
ウォルター・C(クム)・ドルネーズ ウォルター・C(クム)・ドルネーズ 

ヘルシング家の老執事。先代ヘルシング卿の頃よりヘルシング家に仕える片眼鏡の老人。「死神ウォルター」の異名を持ち、かつてはヘルシングのゴミ処理係と呼ばれて吸血鬼狩りを行っていた。得物は極細の鋼線であり、これを自在に操ることであらゆる物を切断し、時にはこれを編みこむことでアーカードの銃攻撃すら防ぐ盾としても活用する。
アレクサンド・アンデルセン アレクサンド・アンデルセン

イスカリオテ所属の神父。ヘルシング機関におけるアーカードの様な存在で、対化物用の鬼札と言われる聖堂騎士(パラディン)」「銃剣(バイヨネット)」「天使の塵(エンジェルダスト)」「殺し屋」「首切り判事」など数多くの異名を持ち、その正体は判然としない。生身の人間でありながら、生物工学の粋を凝らした自己再生能力(リジェネレーション)と回復法術により、頭を銃で撃たれても瞬時に再生する。

今、声劇で話題沸騰中のヘルシング。
その余波にあやかろうと、物語の始まりの部分を台本化してみました。
物語の導入部、ヘルシングの世界を楽しいなと感じたら哲也さんのHPにある
ヘルシングの台本を堪能してください。
哲也さんの熱と魂のこもった台本がこちらにあります。 
http://tetsuya.art-studio.cc/

第4話 SWORD DANSER @〜B 男4 女2 ナレション1 合計7
登場人物
 インテグラ(女) セラス(女) アーカード(男) 老神父(男) アンデルセン神父(男) ウォルター(男) ナレーション(男)
ナレーション ローマ近郊、カトリック系孤児院。フェルディナントルークス院
けんかをする子供たちに温厚な顔つきで優しく諭す神父が居る。
アンデルセン神父 「一体どうしたというのです」
「暴力を友達にふるうなんていけません!!そんな事では2人とも天国に行けませんよ!!」

「いいですか?暴力を振るって良い相手はバケモノドモと異教徒共だけです」
老神父 「アンデルセン神父」
ナレーション 「老神父がアンデルセンの名を呼び近づいてくる。アンデルセン神父は子供たちを部屋に戻るように言い含めると、老神父に向き直った。先ほどまでの温厚な顔から一変し、ふてぶてしさが顔を覆っていた。
アンデルセン神父 「何の御用ですか?一体どうしたというのですか」
老神父 「ここの所おかしな事件が頻発しているだろう。特に英国でだ」
アンデルセン神父 「ええ、良く隠蔽しているようですが」
老神父 「バンパイアだ」
アンデルセン神父 「ほう・・・」
10 ナレーション アンデルセン神父の眼が一点を見つめ鋭い光を放つ。獲物を求めるハンターの目つきである。
老神父 「英国内で連続してバンパイアが出現している。その数は異常だ・・・明らかに」
アンデルセン神父 「結構なコトじゃないですか。英国のプロテスタント共がたくさん死んだんでしょう」
老神父 「そうでもない・・・『英国国教騎士団(ヘルシング)』知っているな?」

「連中、思ったより上手くやっているようだぞ。現に被害は最小に抑えているようだ」
アンデルセン神父 「はは・・・あんな素人集団、我々に比べればまるで幼稚園だ」
「カトリックは!ヴァチカンは!そして『我々』は!連中よりはるか昔から『奴ら』と闘争を続けて来たのですから!!」


「で、私は?」
「英国内のモメ事だったら連中に任せておけば良いではないですか?」
老神父 「・・・英国・・・ならだ」
アンデルセン神父 「!!・・・ほう・・・すると?」
老神父 「今度、起きた地点はアイルランドだ」
「北アイルランド地方都市ベイドリック」

「『ヘルシング』が動き出している。我々とてそれを黙ってみている訳にはいかん」
アンデルセン神父 「自領土だといわんばかりに土足で機関員を派遣するとは、あいも変わらず厚顔無恥な連中ですな」
老神父 「あの地は、プロテスタントの物ではない。カトリックの土地だ!!」

「『バンパイアども』は我々のエモノだ。奴らに先んじられるワケにはいかんのだよ。アンデルセン」
20 アンデルセン神父 「もし、ヘルシングと衝突した際は?」
老神父 「我々は唯一絶対の神の地上代行者だ。異端どもの挑戦を引く訳にはいかん」
ナレーション アンデルセン神父の顔が不気味に歪む。

北アイルランド地方都市ベイドリック ベイドリック近郊8月15日
天空には満月が輝いている。夜空に重い銃声が響き渡っている。

廃屋の中に食屍鬼(グール)の群れがうろついている。アーカードとセラスがその掃討(そうとう)に来ている。
セラス 「相手は人形・・・人間じゃなく、かぼちゃ同然、ただの人形・・・狙って撃って一発で終わり」
ナレーション セラスの撃つ大口径の銃砲の弾を受け、グールが血しぶきを吹き上げ、内蔵をぶちまけ、散り散りの肉片となって飛び散っていく。その様子を、階段に腰をおろしアーカードが観察している。
アーカード 「思ったよりやる・・・そうでなくては血族にしてやった意味が無い」

「婦警ーッ、狙うなら確実に心臓か頭をぶち抜け。奴らとて好きこのんでグールになった訳ではない」
「一度こうなってしまった人間を元に戻す方法はない」
「速やかにぶち殺してやるのがこいつらの為ってもんだ」
ナレーション グールを撃ちぬき、吹き飛ばし、その血が屋敷中に飛び散る。そのうちセラスの中にある、快感が増殖していた。殺戮の衝動、セラスの心は今、獲物を撃ち、殲滅し、踏み潰し血肉を狩る、その喜びが充満していた。
アーカード 「ほぉ・・・どうやらわかってきたようだな。我々『夜族(ミディアン)』というモノが・・・」

「さぁ!!雑魚は片付けたのだ。さっさと宿主であるバンパイアも探し出して片付けるぞ・・・」
ナレーション セラスの心が揺れていた。手についたグールの血を見つめながら、セラスはゆっくりと舌を伸ばし血をすすろうとしていた。
その時、セラスの喉に長大な銃剣が深々と突き立ち、根元まで貫通した。セラスが悲鳴を上げる。それと時を同じくして後方から10数本の銃剣フが飛来し、セラスの身体を次々に串刺しにした。
護符が宙を舞い、壁に打ち付けられ、結界を形成していく。


ギシギシと古びた階段の踏み板を鳴らしながら人影が降りてくる。
窓の月明かりを背にして男は不気味な笑みを浮かべると両手に持つ、ご太い銃剣を十字に構えた。
アンデルセン神父 「我らは神の代理人、神罰の地上代行者」
「我らが使命は我が神に逆らう愚者を、その肉の最後の一片までも絶滅すること・・・Amen(エイメン)」
30 ナレーション ロンドン、HELLSING(ヘルシング)本部

(局員せりふ)
「局長!!ヘルシング局長!!」
「ヴァチカンの情報官からの報告です!!」
「ヴァチカンが・・・特務局、第13課イスカリオテ機関が動いています!」
インテグラ 「イスカリオテ第13課・・・カトリックの絶滅機関か?兵力は!?」
ナレーション (局員せりふ)
「派遣兵力は唯一人!」
「『聖堂騎士(パラデイン)』アレクサンド・アンデルセン神父!!」
インテグラ 「イスカリオテ第13課・・・・!!」
「ヴァチカンの非公式特務実行部隊・・・!!」

「ヴァチカンの持つ唯一にして最強の戦力・・・イスカリオテ(ユダ)の名を持つ存在しないはずの第13課・・・悪魔退治、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナルたち・・・」
ナレーション (局員せりふ)
「しかし、何故あの町に連中が・・・」
「ベイドリックは協定の緩衝(かんしょう)地帯のこっち側です。我々プロテスタントの土地だ」
「重大な協定違反です!!」
インテグラ 「連中はそんな事どうでもいいのさ・・・プロテスタントとカトリックの境界ぎりぎりの所にヴァンパイアがいて暴れている。いるのなら絶滅させる手段も方法も選ばないそれが連中だ」

「問題は協定違反だけではない・・・アーカード達だ」
「もし、あいつらと第13課のアンデルセン神父が鉢合わせになったらどうなる?」
「絶対にヤバい」

「ウォルター!!」
ナレーション インテグラは卓上のインターホンを手に取ると、ウォルターを呼び出した。
ウォルター 「はい、お嬢様」

「報告はすでに受けたまわっております」
インテグラ 「ヴァチカンと連絡を取りたい!!手は無いか!?」
ウォルター 「すでにカンタンベリー大司教を通じてヴァチカンと連絡を取りつつあります。それとこれは独断で準備いたしましたが戦闘部隊2個小隊を待機させておきました」
40 インテグラ 「さすがだウォルター、装備は!?」
ウォルター 「重装です」
「下手をすると、あのアンデルセン神父とやり合うハメになるかもしれません」

「アレクサンド・アンデルセン神父・・・『聖堂騎士(パラデイン)』アンデルセン。『殺し屋』アンデルセン。『銃剣(パラデイン)』アンデルセン。『首斬(くびきり)判事』アンデルセン。『天使の塵(エンゼルダスト)』アンデルセン」
「出身・人種・年齢全てが不明・・・判っているのは、この数々のあだ名の他一ツだけ・・・」

「彼が化物専門の戦闘屋であるという事です」
「我々にとって化物に対する切り札がアルカードである様に、彼もヴァチカン第13課対『化物』の切り札であるという事です」
インテグラ 「・・・私も直ぐベイドリックに行く」
「ヴァチカンとの交渉はウォルターに任せる」

「部隊は待機させておけ。命令あるまで絶対に動かしてはいけない。下手をするとヴァチカンと抗争になる恐れがある」
ウォルター 「承知いたしておりますお嬢さま。くれぐれもお気をつけてください」
インテグラ 「銃と剣と、それと護衛を2名・・・」

「化物殺しのあの『聖堂騎士(パラデイン)』が、あの絶滅主義者がアーカードたちを目の前にして何もしないはずがない!」
ナレーション 空高く満月が煌々と地上を照らし出している。その蒼い光を背に受けアンデルセン神父がゆっくりと歩を進める。両手にはご太く、長大な銃剣が握られており、その銃剣は月の光を受け冴え冴えと光っていた。
アンデルセン神父 「良い月だなバケモノ共・・・」

「ずいぶんとまぁ、可愛らしい声をあげて苦しむのだねお嬢ちゃん。そんな程度ではおまえ達は死ねんよ」

「心臓には一本たりとも突き刺していないのだから・・・久しぶりのヴァンパイア狩りだ。楽しませて頂かなければね」
アーカード 「・・・ヴァチカン第13課・・・特務機関イスカリオテ・・・!!」
アンデルセン神父 「その通りだヘルシングの犬共」

「おまえがアーカードか。ヴァンパイアの分際でありながら人間に味方し、ヴァンパイアを狩るヘルシングのゴミ処理屋」
ナレーション 「アンデルセンとアーカード、互いにゆっくりと歩を進め、その間合いを詰めて行く。
50 アーカード 「ここにいたヴァンパイアはどうした」
アンデルセン神父 「とうの昔に始末したよ。とんだ雑魚だった、楽しむ間すらありはしない・・・」
ナレーション ギシギシと床を軋ませながら、互いに歩を進め、背中を合わせて立った。静かだが重く淀んだ空気が充満する。
アンデルセン神父 「残っているのは・・・貴様らだけ」
アーカード 「そうかい」
ナレーション 同時に動いた。アーカードが銃口を向ける。アンデルセンが、銃剣でアーカードの首を突き刺す。ひるまずアーカードの銃がアンデルセンの額の真ん中を撃ち抜く。鮮血をまき散らし、アンデルセンが吹っ飛び壁に激突する。
セラス 「マスター!!」
アーカード 「しゃべるな、婦警」
「夜に正面から不意もうたずにヴァンパイアに戦いを仕掛けるとは・・・勇敢な神父だな・・・だが愚か者だ」
「だが・・・人間としてはやる方か・・・」

「この剣・・・生意気に全て教会で祝福儀礼をほどこされている・・・こいつで斬られると我々でもやっかいだ」
「我々でもコレでやられたら傷をふさぐことが出来ん」
「今、抜いてやる動くな」
セラス 「マ・・・マスター・・・」
アーカード 「喋るなと言っている」
60 ナレーション セラスの眼に、アーカードの後ろに立つ不気味な影に釘付けになっていた。
セラスが悲鳴に似た叫び声をあげる。
後ろからアンデルセンの持つ銃剣がアーカードを刺し貫いたのだ。アーカードは飛び退き、拳銃をアンデルセンにむけて連射する。アンデルセンは吹っ飛ぶが、勢い良く飛び起きると銃剣でアーカードの両手を銃剣で窓枠に突き刺して固定した。
睨みあう二人。アンデルセンの額の銃創が瞬く間に閉じて行く。
アーカード 「・・・・再生者(リジェネーター)・・・・!!」
アンデルセン神父 「そうだ!!、我々人類が貴様らと戦うために作り出した技術だ」
ナレーション アーカードの全身に銃剣が突き立てられる。アンデルセンは狂ったように笑った。

インテグラと護衛を載せた移送用ヘリが着陸する。
インテグラ 「今はヴァチカンと争っている場合ではない!もし、アーカード達が戦闘に至っているなら止めねばならん!」
「急げ!!」
ナレーション ゴリゴリと骨を切断する音が不気味にこだまする。
アンデルセンは、切り取ったアーカードの頭を両手で掴み月明かりに照らした。
アンデルセン神父 「ククククク・・・クククハハハハハ・・・」
「これが・・・こんなモノがヘルシングの切り札?まるでお話にならない・・・」
ナレーション 振り向いたアンデルセンは瀕死のセラスの姿が消えているのも見てにやりと笑った。
アンデルセン神父 「ほう、あのダメージでまだ動けるとは・・・どうやら、あの娘を少し甘く見ていたようだ」
ナレーション セラスは、血だらけの身体を引きずるように廊下を歩いている。背中から突き出ている銃剣を後ろ手に引き抜く。鮮血が吹きだし、セラスの顔が苦痛に歪む。
70 セラス 「はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・・・」
ナレーション 目の前に銃剣で串刺しにされたアーカードの頭が飛んでくる。
セラス 「アッ・・アッ・・・アーカード様ッ」
アンデルセン神父 「どこに行こうと言うのかね・・どこにも逃げられはせんよ」

「ダスト トゥ ダスト・・・チリはチリに」
「チリにすぎないおまえらはチリに還れ」
セラス 「逃げなきゃ・・・にッ・・・逃げなきゃ・・・脱出してインテグラ局長に報告しないと・・・もう全然、あたしじゃ手がつけられない・・・・」
アンデルセン神父 「ははははははッ、逃げろ逃げろヴァンパイア!!ははははははは」
セラス 「・・・あ・・・で・・出口・・・」
ナレーション セラスが手を伸ばす。その時、激しい電撃が走りセラスの手をはじいた。
セラス 「なっ・・・ええ!!・・・何コレ・・・」
アンデルセン神父 「それが『結界』だ小娘。お前たちミディアンズにそれを突破する事は不可能だ」
「おとなしく皆殺しにされろ・・・『バケモノ』め」
80 ナレーション 周囲を取り囲む護符を見てセラスはパニックを起こした。その時、アーカードの思念がセラスの脳に語りかける。
アーカード 『慌てふためいている場合か、婦警』
セラス 「あっ、あ・・・アーカード様ッ!?」
ナレーション アーカードの頭がドロドロと溶け、床に真赤な血の池を作り出す。その池はまるで意思があるかのようにうねうねと流れ出し文字を描いていく。
アーカード 『私の血を飲め・・・婦警』
『そうすれば、お前は使役されるためのヴァンパイアではなくなる。本当の意味での我々の一族になるのだ』
『自分の意志で血液を喰らい自分の力で夜を歩く不死の血族(ノーライフキング)に・・・』
『私の血を飲め、婦警・・・いや・・・セラス・ヴィクトリア!!』
ナレーション セラスは背中にゾクリとする悪寒を感じた。いつの間にかセラスの後ろにアンデルセンが銃剣を手に立っていた。
アンデルセン神父 「終わりだ・・・」
ナレーション アンデルセンの振り上げる銃剣を銃弾が粉々に撃ち砕いた。
インテグラ 「その娘はうちらの身内だ。何をしてくれるんだアンデルセン神父!?」
アンデルセン神父 「ヘルシング局長、サー・インテグラル・ウィンゲーツ・ヘルシング・・・局長自らお出ましとはせいの出るこったな」
90 インテグラ 「アンデルセン神父・・・!!これは重大な協定違反だぞ!ここは我々の管轄のハズだ!!」
「直ぐに退きたまえ!!でなければヴァチカンと我々の間で重大な危機となる!!」
「いくら、あの第13課とて、こんな無理は通りはしない!!」
アンデルセン神父 「退く!?退くだと!?我々が!?我々神罰の地上代行イスカリオテの第13課が!?」

「ナメるなよ売女(ベイベロン)、我々が貴様ら汚らわしいプロテスタント共に引くとでも思うか!?」
ナレーション インテグラの護衛が銃を発射、アンデルセンの銃剣が一閃する。護衛2人の顔が真横に斬れ飛ぶ。血しぶきが吹き上がり、腕が宙に舞う。アンデルセンは勢いを保ったままインテグラ目掛けて突っ走る。アンデルセンの振るった銃剣をインテグラの剣が受けとめギリギリとつばぜり合う。
インテグラ 「生物工学の粋をこらした自己再生能力!!おまけに回復法術かッ!!・・・ッ・・・化物めッ」
アンデルセン神父 「おまえたちそろいもそろって弱すぎるな・・・話にならん」

「貴様ら御自慢の処理屋アーカード!!首ィ落として、くびり殺してやったぞ?」
インテグラ 「首を落とした?・・・それだけか?」
アンデルセン神父 「な・・・に?」
セラス 「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・インテグラ様から手を離せッ!!化物ッ!!」
アンデルセン神父 「クックククククク・・・」
インテグラ 「お前に勝ち目は無いぞアンデルセン。大人しく身を引いた方が身のタメだぞ」
100 アンデルセン神父 「何をバカな・・・おまえたち等、まとめて今・・・」
インテグラ 「なら早くする事だ。モタモタしてると、くびり殺したはずの者がよみがえるぞ」
アンデルセン神父 「な・・・に?」
ナレーション 倒れているアーカードの身体にコウモリが群れ飛ぶ。
インテグラ 「首を切った?心臓を突いた?そこいらのヴァンパイアと彼を一緒にするなよ。そんなモノでは死なない!」
「貴様が対化物法技術の結晶であるように、彼はヘルシング一族が100年間かけて栄々と作り上げた最強のアンデット、吸血鬼アーカード」
ナレーション 頭を切り取られ、心臓を貫かれ死んだと思われたアーカードが再び元の姿をとり始めた。
インテグラ 「さぁ、どうする・・・アンデルセン!!」
アンデルセン神父 「なる程・・・これでは今の装備では殺しきれん」

「また会おう、王立国教騎士団ヘルシング・・・次は皆殺しだ」
ナレーション アンデルセンの姿が掻き消すように消えていった。
インテグラ 「大丈夫か、アーカード」
110 アーカード 「首をもがれたのは久し振りだ。あれがアンデルセン神父か」
インテグラ 「協定違反による越境戦闘。機関員に対する攻撃・殺傷行為、ヴァチカンに対する大変な貸しになる」
「しかし今は、連中と争っている場合ではないんだ。ここのヴァンパイアも調べてみればそうだと思うが、重大な事がわかった」


「どうなのアーカード。彼女は?少し使えるようになったの?」
アーカード 「ああ婦警?・・・普通」
セラス 「マ・・・マスター・・・もう『婦警』はやめてください。私にはセラス・ヴィクトリアという名前が・・・」
アーカード 「うるさい、この臆病者・・・おまえなんか『婦警』だ」
セラス 「そッ・・・そんな〜〜〜ッ」
アーカード 「おまえの様なハンパな者に名前などいるか」

劇 終

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