新世紀エヴァンゲリオン
劇場版[DEATH]編
せりふ集

台本としては成立していません。
思い入れ、演りたいシーンを探してその部分の
せりふをお楽しみください。

碇シンジ 14歳
エヴァ初号機専属操縦者、サード・チルドレン
ゲンドウとユイの息子
綾波レイ 14歳
エヴァ零号機専属操縦者、ファースト・チルドレン
(シンジの母ユイのクローン)
惣流・アスカ・ラングレー 14歳
エヴァ弐号機専属操縦者、セカンド・チルドレン
葛城ミサト 特務機関ネルフ本部戦術作戦部作戦局第1課所属
赤木リツコ 特務機関ネルフ本部技術開発部技術1課所属
碇ゲンドウ 50歳前後
特務機関ネルフ最高司令官
冬月コウゾウ 60歳前後
特務機関ネルフ副司令官
加持リョウジ 31歳
特務機関ネルフ特殊監査部及び日本政府内務省調査部所属
(二重スパイ)
伊吹マヤ 特務機関ネルフ本部技術局第1課所属
(赤木リツコの直属の部下)
日向マコト 特務機関ネルフ本部作戦局第1課所属
(葛城ミサトの直属の部下)
青葉シゲル 特務機関ネルフ本部中央作戦室付オペレーター
(冬月コウゾウの部下)
鈴原トウジ 14歳
第3新東京市第壱中学校2年A組 シンジのクラスメート
エヴァ3号機操縦者、フォース・チルドレン
相田ケンスケ 14歳
第3新東京市第壱中学校2年A組 シンジのクラスメート
洞木ヒカリ 14歳
第3新東京市第壱中学校2年A組 シンジのクラスの委員長
キール・ローレンツ 67歳
特務機関ネルフの最高責任者
渚カヲル ゼーレがエヴァ弐号機のパイロットとして送り込んできたフィフス・チルドレン。(第17使徒タブリス)
赤木ナオコ ゲヒルン所属。スーパーコンピューター「MAGI」システムの開発者
(リツコの母)
碇ユイ シンジの母
2000年 南極大陸
001 A:「葛城博士の提唱したスーパーソレノイド理論ですか」
B:「あれは、あまりに突飛すぎるよ。まだ仮説の段階にすぎん代物だ」
A:「しかし、あの巨人の動力はS2理論以外では説明できません。図らずとも、既に実証済みですよ、あれは」
C:「現実に存在していたのだから、認める他あるまい」
B:「データの検証が全て終われば、そうするよ」
C:「ロンギヌスの槍は?」
A:「先週、死海からこっちに陸揚げされたままです」
C:「地下に送る前に処理は必要だろ。大丈夫か?」
B:「提供者との接触実験は来月13日の予定だ。調整は間に合うよ」
C:「今日の実験は、例のフィールドの自我境界信号だったかな?」
A:「はい」
002 キール・ローレンツ 「科学者ってぇのは、どうも自分の考えを信じすぎるからね」
003 碇ゲンドウ 「独善的ですか」
004 キール・ローレンツ 「思い込みが激しすぎるんだよ。現実を的確に把握できん連中だからな」
005 碇ゲンドウ 「そういう人種が真実を求めている。皮肉なものです」
006 キール・ローレンツ 「彼らはそんな、崇高なものではない。発見は喜びであり、理解は支配に繋がる。求めているのは、自分の気持ちよさだけだ」
007 A:「非常事態、非常事態。総員、防護服着用。第2層以下での作業員は、至急セントラルドグマ上部へ避難して下さい」
B:「表面の発光を止めろ!予定限界値を越えてる!」
A:「アダムにダイブした遺伝子は、既に物理的融合を果たしています」
C:「ATフィールドが、全て解放されていきます!」
B:「槍だ!槍を引き戻せっ!」
A:「だめだ、磁場が保てない」
C:「沈んでいくぞ!」
B:「わずかでもいい、被害を最小限に食い止めろっ!」
C:「構成原子のクウォーク単位での分解だ!急げ!」
A:「ガフの扉が開くと同時に、熱滅却処理を開始!」
B:「すごい・・歩き始めた・・」
C:「地上からも、歩行を確認!」
B:「コンマ一秒でいい!奴自身にアンチATフィールドに干渉可能な、エネルギーを絞り出させるんだ」
A:「すでに変換システムがセットされています!」
C:「カウントダウン、進行中!」
A:「S2機関と起爆装置がリンクされています。解除不能!」
C:「ハネを広げている!地上に出るぞ!」
その15年後 ―― 彼女は男に抱かれていた。
008 葛城ミサト 「リツコは今頃、いやらしい女だって軽蔑してるわね。きっと」
009 加持リョウジ 「欲情に溺れてる方が人間としてリアルだ。少しは欺けるさ」
010 葛城ミサト 「うちの諜報部を?それとも碇司令やリツコ?・・・それとも、私?」
011 加持リョウジ 「いや、自分を」
012 葛城ミサト 「他人を、でしょ」
「あなた、人のことに興味ないもの。そのくせ寂しがる。ホント、お父さんと同じね」
その9ヶ月前 ―― 彼は、星を見ていた。
013 惣流・アスカ・ラングレー 「あ〜、明日はもう日本か。お昼にはミサトが迎えに来るって言ってたし、チェッ、加持さんともしばらくお別れね。つまんないの」
014 加持リョウジ 「日本に着けば新しいボーイフレンドもいっぱいできるさ」
「サードチルドレンは男の子だって話だぞ」
015 惣流・アスカ・ラングレー 「バカなガキに興味はないわ。私が好きなのは加持さんだけよ」
その7年前 ―― 彼女は部屋を駆け抜けた。
016 惣流・アスカ・ラングレー 「ママー!!ママー!!私選ばれたの!人類を守るエリートパイロットなのよ!世界一なのよっ!」
「誰にも秘密なの。でもママにだけ教えるわねっ!いろんな人が親切にしてくれるわ。だから寂しくなんかないの!だから、パパがいなくなっても大丈夫。寂しくなんかないわ」
「だから見て!私を見て!」
「ねぇ!ママ!!」
017 赤木リツコ 「聞える。アスカ。シンクロ率、8も低下よ。いつも通り余計なことは考えずに」
018 惣流・アスカ・ラングレー 「やってるわよ!」
019 伊吹マヤ 「最近のアスカのシンクロ率、下がる一方ですね」
020 赤木リツコ 「困ったわね。この余裕のないときに・・やはりレイの零号機を優先させましょう」
021 赤木ナオコ 「所長、おはようございます。お子さん連れですか。あら・・・でも、確か男の子・・・」
022 碇ゲンドウ 「シンジではありません。知人の子を預かることになりましてね。綾波レイといいます」
023 赤木リツコ 「レイちゃん、こんにちは」
その5年後 ―― 彼女は、彼に再会した。
024 碇シンジ 「だめだ。待ち合わせは無理か。しょうがない、シェルターに行こう」
その数ヵ月後 ―― 彼は、決断を迫られていた。
025 渚カヲル 「ありがとう。シンジ君」
026 碇シンジ 「カヲル君・・・どうして・・・」
027 渚カヲル 「僕が生き続けることが僕の運命だからだよ。結果、人が滅びてもね」
「僕はこのまま死ぬこともできる。生と死は等価値なんだ。自らの死、それが唯一の絶対的自由なんだよ」
028 碇シンジ 「何を・・・カヲル君?君が何を云っているのかわかんないよ!?カヲル君」
029 渚カヲル 「遺言だよ」
「さあ僕を消してくれ。そうしなければ君らが消えることになる。滅びの時を免れて未来を与えられる生命体は一つしか選ばれないんだ」
EVANGELION : DEATH
030 A:「発進、準備!」
B:「エヴァ初号機、発進準備」
C:「主電源、接続」
A:「第1ロックボルト、外せ!」
B:「解除、確認」
C:「アンビリカル・ブリッジ、移動開始」
A:「第1拘束具、除去」「同じく、第2拘束具を除去」
B:「了解、エヴァ初号機、射出口へ」
C:「発進!!」
A:「最終安全装置、解除」
B:「エヴァンゲリオン初号機、リフト・オフ」

A:「エヴァの防御システムは!?」
B:「シグナル、作動しません」
C:「フィールド、無展開!」
A:「ダメか!?」
B:「損傷度0.8、1.7、4.6、10.5、38.2・・」

A:「状況は!?」
B:「頭部損傷!損害不明!」
C:「活動維持に、問題発生!」
B:「パイロット、反応ありません!」
C:「だめです!完全に制御不能です!」
A:「まさか・・・暴走・・・」

B:「ATフィールド!?」
C:「初号機も、ATフィールドを展開!」
B:「位相空間を中和していきます!」

A:「・・・・あれがエヴァの・・・本当の姿・・・・」

汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン テストタイプ初号機
031 葛城ミサト 「シンジ君の荷物はもう届いてると思うわ。実はあたしも先日この街に引っ越してきたばっかでね」
032 碇シンジ 「・・・あ、あの・・・おじゃまします」
033 葛城ミサト 「シンジ君。ここはあなたの家なのよ」
034 碇シンジ 「・・・た、ただいま」
035 葛城ミサト 「お帰りなさい」
036 冬月コウゾウ 「彼女は」
037 「例の調査団ただ一人の生き残りです。もう2年近く口を開いていません」
038 冬月コウゾウ 「ひどいな」
039 「それだけの地獄を見たのです。体の傷は治っても心の傷はそう簡単には癒えませんよ」
040 赤木リツコ 「ミサトさん?」
041 葛城ミサト 「そ――。葛城ミサト、よろしくね」
042 赤木リツコ 「母さん、先日葛城という娘と知り合いました。彼女は例の調査隊ただ一人の生き残りと聞きました。一時失語症になったそうですが、今はブランクを取り戻すかのようにベラベラとよく喋ります」
043 葛城ミサト 「んぐんぐんぐんぐんぐんぐぷはぁ〜ク〜〜ッ、やっぱ人生この時のために生きてるようなもんよね。ん?食べないの?結構ウマイわよ。インスタントだけど」
044 碇シンジ 「いえ、あのこういう食事、慣れてないので」
045 葛城ミサト 「だっめよっ好きキライしちゃぁ」
046 碇シンジ 「――いえ、違うんです。あの・・・・」
047 葛城ミサト 「――楽しいでしょ」
048 碇シンジ 「え?」
049 葛城ミサト 「こうして他の人と食事すんの」
050 碇シンジ 「ハ、・・・ハイ」
051 幼い葛城ミサト 「よいこでいたいの?よいこにならなきゃいけないの。パパがいないから。ママを助けて私はよいこにならなきゃいけないの。でもママの様にはなりたくない。パパがいないとき、ママは泣いてばかりだもの。ないちゃだめ。甘えちゃだめ。だから、よいこにならなきゃいけないの」
052 葛城ミサト 「でも父は嫌い。だからよいこも嫌い。もう、きらい。つかれたわ」
053 惣流・アスカ・ラングレー 「あ、ミサトっていうのは加持さんの前にあっちにいたヒト。あんまり好きじゃないんだ。生き方、ワザとらしくて」
054 碇シンジ 「葛城ミサトさん。悪い人じゃないんだ」
055 赤木リツコ 「おはよう、シンジ君。調子はどう」
056 碇シンジ 「慣れました・・・。悪くないと思います」
057 赤木リツコ 「では昨日の続き、インダクションモード始めるわよ」
058 碇シンジ:「色々あったんだ。・・・ここに来て。
       来る前は先生のところにいたんだ。
       穏やかで何もない日々だった。
       ただそこにいるだけの・・・でもそれでも良かったんだ。
       僕には何もすることがなかったから。
       生きることに僕は何もなかったから」

渚カヲル:「人間が嫌いなのかい?」

碇シンジ:「別に・・・どうでも良かったんだと思う。
       ただ、父さんは嫌いだった」

059 赤木リツコ 「目標をセンターにいれて・・・スイッチオン。落ち付いて目標をセンターに・・・」
060 碇シンジ 「スイッチ」
061 伊吹マヤ 「しかし、よく乗る気になってくれましたね。シンジ君」
062 赤木リツコ 「人の云うことにはおとなしく従う。それがあの子の処世術じゃないの?」
063 碇シンジ 「目標をセンターにいれて・・・スイッチ」
「目標をセンターにいれて・・・スイッチ」
「目標をセンターにいれて・・・スイッチ」
「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」
「うああああああああああああ・・」
064 葛城ミサト 「本日、すみわたった青空より第4の使徒襲来、初号機によりからくも撃破」

「シンジ君、起きなさい。いつまで学校休む気?初号機はもう完全に直ってるのよ。パイロットのあなたがそんな事でどうするの?シンジ君!?」

「4日前よりうっとうしい雨、続く。サンプルの解体作業、悪天候によりはかどらず。この日、他に特に記すべきことなし」
「今日は久しぶりに太陽を見るも結果として晴れ時々曇りとなる。この日も特に記すべき事項無し」

065 相田ケンスケ 「夜はいいよな。あの煩いセミが鳴かないから。小さい頃はよかったけど、毎年増えてる」
066 碇シンジ 「生態系が戻ってるって、ミサトさんが云ってた」
067 相田ケンスケ 「フウム、ミサトさんね。全く羨ましいよ。あんな綺麗なお姉さんと一緒に住んでて、エヴァンゲリオンを操縦できて」
068 葛城ミサト 「エヴァのスタンバイできてるわ。乗る?乗らないの?」
069 碇シンジ 「叱らないんですね・・・家出のこと。当然ですよね。ミサトさんは他人なんだから」
「もし僕が乗らないって云ったら、初号機はどうなるんですか」
070 葛城ミサト 「レイが乗るでしょうね。――――乗らないの」
071 碇シンジ 「そんなことできる訳ないじゃないですか。彼女に全部押し付けるなんて。大丈夫ですよ。乗りますよ」
072 葛城ミサト 「乗りたくないの」
073 碇シンジ 「そりゃそうでしょ。第一僕には向いてませんよ、そう云うの。だけど綾波や、ミサトさんやリツコさん―――」
074 葛城ミサト 「いい加減にしなさいよ。他人の事なんか関係ないでしょ!」
「嫌ならここから出て行きなさい。エヴァや私達の事は全部忘れて、元の生活に戻りなさい。あなたみたいな気持ちで乗られるのは迷惑よ!」
075 鈴木トウジ:「碇がおらんのやったら、いずれワシらもこの街から出てく事になるやろ。
        そやけどワシらは何も云われへん。
        エヴァの中で碇が苦しんでる姿を見てるからな。
        碇の事をとやかく云う奴がおったらこのワシがパンチかましたる」
076 碇シンジ 『殴られなきゃいけないのは僕だ!』
『僕は、卑怯で・・・くっ・・臆病で、うぐぐ・・・ずるくて、弱虫で・・・」
077 葛城ミサト 「シンジ君。だめよ逃げちゃ。お父さんから・・・・何よりも自分から」

「それでいいの、シンジ君?」

078 碇シンジ 「いいんです。独りの方が。どこでも同じですから」

「すごい。ビルが生えてく」

079 鈴木トウジ:「碇がおらんのやったら、いずれワシらもこの街から出てく事になるやろ。
        そやけどワシらは何も云われへん。
        エヴァの中で碇が苦しんでる姿を見てるからな」
080 葛城ミサト 「そしてあなたが守った街・・・・」

「一ついい忘れてたけど、あなたは人に誉められる立派なことをしたのよ。胸を張っていいわ。おやすみ、シンジ君―――頑張ってね」

「一時的にサードチルドレンが不調をきたす。心身の徒労が主な原因と思われる。大事を取り、4日間の休養を取らせる。現在は復帰。問題なし」

081 碇シンジ 「―――た・・・・ただいま」
082 葛城ミサト 「おかえりなさい」
083 惣流・アスカ・ラングレー 「ヘロ〜ォ」
「ミサト、元気してた?」
084 葛城ミサト 「ま、ね。あなたも、背伸びたじゃない」
085 惣流・アスカ・ラングレー 「そ、他の所もちゃんと女らしくなってるわよ」
086 葛城ミサト 「紹介するわ。エヴァンゲリオン弐号機の専属パイロット、セカンドチルドレン、惣流・アスカ・ラングレーよ」
087 渚カヲル:「恐いのかい?
       人と触れ合うのが。
       他人を知らなければ裏切られることも、互いに傷つくこともない。
       でも寂しさを忘れる事もないよ。
       人間は寂しさを永久になくすことはできない。人はひとりだからね。
       ただ、忘れることができるから人は生きていけるのさ。
       常に人間は心に痛みを感じている。
       心が痛がりだから生きるのも辛いと感じる」
088 加持リョウジ 「どうだ?碇シンジくんは?」
089 惣流・アスカ・ラングレー 「つまんない子。あんなのが選ばれたサードチルドレンだなんて。幻滅」
090 加持リョウジ 「しかし、いきなりの実戦で彼のシンクロ率は40を軽く越えたそうだ」
091 惣流・アスカ・ラングレー 『シンクロ率0』
『サードチルドレン』
『セカンドチルドレンたる資格なし』

「ちょっとつきあって!」

092 碇シンジ 「・・・・赤いんだ弐号機って」
093 惣流・アスカ・ラングレー 「違うのはカラーリングだけじゃないわ」
「所詮、零号機と初号機は開発過程のプロトタイプとテストタイプ。訓練無しのあなたなんかにいきなりシンクロするのがその証拠よ」
「けど弐号機は違うわ。これこそ実戦用に造られた世界初の、本物のエヴァンゲリオンなのよ。制式タイプのね」
094 碇シンジ 「なっ、なんだろ?」
095 惣流・アスカ・ラングレー 「爆発が近いわ」
096 碇シンジ 「――あれは?」
097 惣流・アスカ・ラングレー 「あれが!?本物の?」
敵襲 汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオンプロダクションモデル弐号機
098 惣流・アスカ・ラングレー 「シンジ。グーテンモルゲン」
099 碇シンジ 「ぐ、ぐーてんもるげん」
100 惣流・アスカ・ラングレー 「まぁーた朝から辛気臭い顔して、このアタシが声かけてんのよ。ちったあウレシソーな顔しなさいよ。で、ここにいるんでしょ。もう一人」
101 碇シンジ 「――誰が?」
102 惣流・アスカ・ラングレー 「あんたバカ?ファーストチルドレンに決まってるじゃない」
103 碇シンジ 「ああ、綾波なら」
104 惣流・アスカ・ラングレー 「ヘロゥ〜あなたがアヤナミレイね。プロトタイプのパイロット」
「あたし、アスカ。惣流・アスカ・ラングレー、エヴァ弐号機パイロット。仲良くやりましょ」
105 綾波レイ 「どうして?」
106 惣流・アスカ・ラングレー 「その方が都合がいいからよ。色々とね」
107 綾波レイ 「命令があればそうするわ」
108 惣流・アスカ・ラングレー 「―――変わった子ね」
109 伊吹マヤ 「シンクログラフ、マイナス12.8.起動指数ギリギリです」
110 赤木リツコ 「ひどいものね。昨日より更に落ちてるじゃない」
111 葛城ミサト 「アスカ、調子悪いの。2日目だし」
112 赤木リツコ 「シンクロ率は表層的な体の不調に左右されないわ。問題はもっと、深層意識にあるのよ。アスカのプライドがガタガタね」
113 葛城ミサト 「無理ないわよ。あんな負け方しちゃ。と云うより、シンジ君に負けたと思い込んでる方が大きいわね」
114 綾波レイ 「心を開かなければエヴァは動かないわ」
115 惣流・アスカ・ラングレー 「心を閉ざしてるってぇの?この私が?」
116 綾波レイ 「そう、エヴァには心がある」
117 惣流・アスカ・ラングレー 「あの人形に?」
118 綾波レイ 「わかってるはずよ」
119 惣流・アスカ・ラングレー 「はん!あんたから話しかけてくるなんて明日は雪かしらね。何よ!私がエヴァに乗れないのがそんなに嬉しい?心配しなくたっても使徒が攻めて来たら無敵のシンジ様と初号機がやっつけてくれるわよ。私達は何もしなくていいのよっ!あ〜あ、シンジだけじゃなく、機械人形みたいなあんたにまで同情されるとは、この私もヤキがまわったわね」
120 綾波レイ 「私は人形じゃない」
121 惣流・アスカ・ラングレー 「うるさいっ!人に云われたまま動くくせに。あんた碇司令が死ねと云ったら死ぬんでしょ」
122 綾波レイ 「そうよ」
123 碇シンジ 「どうしてアイツ、いつも一人なんだろう」
124 赤木リツコ 「いい子よ。とても。あなたのお父さんに似て、とても不器用だけど」
125 碇シンジ 「!?不器用って、何がですか?」
126 赤木リツコ 「生きることが」
127 碇シンジ 「ごめん下さい。碇だけど、綾波、入るよ!」

「綾波のかな・・・?」

「いや・・あの・・僕は、別に・・あ・・・うわっと、ああ〜」

128 綾波レイ 「どいてくれる?」
129 碇シンジ 「あっ!あ、あの!!」
130 綾波レイ 「なに?」
131 碇シンジ 「え!あ、いや、ぼ、僕は・・あの・・・その・・・」
「僕は・・たの・・たの・・・頼まれて・・つまり・・・・何だっけ、カード、カードを新しくなったから、と・・・届けてくれって・・だから・・・だから、べつにそんなつもりは・・・・」

「ねぇ、綾波は恐くないの?またあの零号機に乗るのが」

132 綾波レイ 「どうして?」
133 碇シンジ 「・・・前の実験で大けがしたんだって聞いたから・・平気なのかなって思って・・・」
134 綾波レイ 「・・・あなた、碇司令の子供でしょ」
135 碇シンジ 「うん」
136 綾波レイ 「信じられないの?お父さんの仕事が」
137 碇シンジ 「当たり前だよ。あんな父親なんて。あの・・・」

「綾波・・・・・・・」

138 綾波レイ 「明日午前零時より発動されるヤシマ作戦のスケジュールを伝えます。碇、綾波の両パイロットは本日、17、30、ケイジに集合。18、00、初号機、零号機、起動。18、05、発進、18、30、二子山仮設基地に到着。以降は命令あるまで待機。明朝、日付変更とともに作戦行動開始。食事」
139 碇シンジ 「何も・・・食べたくない・・・」
140 綾波レイ 「60分後に出発よ」
141 碇シンジ 「また・・・アレに乗らなきゃならないのか?」
142 綾波レイ 「ええ、そうよ」
143 碇シンジ 「僕は・・・いやだ。もう、あんな思い、したくない・・・」
144 綾波レイ 「じゃ、寝てたら」
145 碇シンジ 「寝てたらって・・・」
146 綾波レイ 「初号機には、私が乗るわ」
「赤木博士が初号機のパーソナルデータの書き替えの用意してるわ」
147 碇シンジ 「リツコさんが?」
148 赤木リツコ 「危険です!下がってください!」
起動 パルス逆流 破壊 汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオンプロトタイプ零号機
149 綾波レイ 「さよなら」
150 碇シンジ 「綾波は何故これに乗るの?」
151 綾波レイ 「絆だから・・・・・」
152 碇シンジ 「絆?」
153 綾波レイ 「そう・・・絆」
154 碇シンジ 「父さんとの・・・・・?」
155 綾波レイ 「みんなとの」
156 碇シンジ 「強いんだな・・・・綾波は」
157 綾波レイ 「私には、他に何もないもの・・・・」
158 碇シンジ 「綾波!あやなみ〜!」

「綾波!!大丈夫か?綾波!!」

「・・・・・自分には・・・他に何もないって・・・・・そんな事、云うなよ」
「別れ際にさよならなんて悲しいこと云うなよッ!」

159 綾波レイ 「何、泣いてるの?」
「ごめんなさい。こういうときどんな顔をすればいいのかわからないの」
160 碇シンジ 「笑えばいいと思うよ」

「綾波!?ライフルも持たずに?」

161 綾波レイ 「く!!」
162 赤木リツコ 「自爆する気!?」
163 綾波レイ:「構いません。行きます。私が死んでも代わりはいるもの」
164 碇ゲンドウ 「レイ!!」
165 綾波レイ 「ATフィールド全開」
166 綾波レイ:「・・・・夢?」

惣流・アスカ・ラングレー:「そ。・・・・・アンタ、見たことないの?」

167 碇ゲンドウ 「ゼーレが動く前に全て済まさねばならん」

「今、弐号機を失うのは得策ではない」

168 冬月コウゾウ 「かといってロンギヌスの槍をゼーレの許可なく使うのは面倒だぞ」
169 葛城ミサト 「レイッ!応戦して!」
170 綾波レイ 「ハっ!」
171 赤木リツコ 「綾波レイ。14歳。マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の被験者。ファーストチルドレン。エヴァンゲリオン零号機。専属操縦者。過去の経歴は白紙。全て抹消済み」
172 綾波レイ 「あ」
173 伊吹マヤ 「目標、更に侵蝕」
174 葛城ミサト 「発進、いいわね。エヴァ弐号機。リフトオフ!」

「出撃よ!アスカ、どうしたの?弐号機は!?」

175 伊吹マヤ 「だめです。シンクロ率が2桁を切ってます」
176 葛城ミサト 「アスカ!!」
177 惣流・アスカ・ラングレー 「動かない!動かないのよ」
178 綾波レイ 「!!泣いているのは、私?」
179 綾波レイ:「私が弐号機ででるわ」

綾波レイA:「イタイ?いえ違うわ・・・サビシイ?そう、寂しいのね」
綾波レイB:「サビシイ?わからないわ」
綾波レイA:「一人がイヤなんでしょ。一人でいるのが嫌なんでしょ。
        それを寂しい、と云うの」
綾波レイB:「それはあなたの心よ。悲しみに満ちているあなた自身の心よ」

180 葛城ミサト 「レイ!!」
181 碇ゲンドウ 「初号機の凍結を現時刻をもって解除。直ちに出撃させろ」
182 葛城ミサト 「え!?」
183 碇ゲンドウ 「出撃だ」
184 葛城ミサト 「――、はい」
185 惣流・アスカ・ラングレー 「何よ、私の時は出さなかったくせに」
186 葛城ミサト 「ATフィールド展開。レイの救出、急いで」
187 碇シンジ 「はい」
188 綾波レイ:「碇君の匂いがする」

綾波レイ:「それが聞きたくて、昼間から私のこと見てたの」
碇シンジ:「掃除の時さ、今日の。
       雑巾絞ってたろ。あれってなんかお母さんって感じがした」
綾波レイ:「・・・・お母さん」
碇シンジ:「案外、綾波って主婦とかが似合ってたりして」
綾波レイ:「何を云うのよ」

189 綾波レイ 「碇君?これはわたしの心?碇君と一緒になりたい?」

「だめ」

190 葛城ミサト 「レイ、死ぬ気」
191 伊吹マヤ 「ATフィールド反転!」
192 綾波レイ 「だめ。私がいなくなったらATフィールドが消えてしまう。だから、だめ」
その12年前 ――
193 冬月コウゾウ 「今日も変わらぬ日々か。この国から秋が消えたのは寂しい限りだよ。ゼーレの持つ裏死海文書。そのシナリオのままだと、十数年後に必ずサードインパクトが起こる」
194 碇ユイ 「最後の悲劇を起こさないための組織。それがゼーレとゲヒルンですわ」
195 冬月コウゾウ 「私は君の考えには賛同する。ゼーレではないよ」
196 碇ユイ 「冬月先生。あの封印を世界に解くのは、大変危険です」
197 冬月コウゾウ 「資料は全て碇に渡してある。個人でできることではないからね。この前のようなマネはしないよ」

「それと何となく警告も受けている。あの連中が私を消すのは造作もないようだ」

198 碇ユイ 「生き残った人々もです。簡単なんですよ、人を滅ぼすのは」
199 冬月コウゾウ 「だからと云って、君が被験者になることもあるまい」
200 碇ユイ 「全ては流れのままですわ。私はその為にゼーレにいるのですから。シンジの為にも」
201 碇ゲンドウ 「3年ぶりだな。2人でここに立つのは」
202 碇シンジ 「僕は・・・あの時逃げ出して・・・その後は来てない。ここに母さんが眠っているって・・・ピンとこないんだ。顔も覚えていないのに」
203 碇ゲンドウ 「人は思い出を忘れる事で生きていける。だが、決して忘れてはならないこともある。ユイはそのかけがえのないものを教えてくれた。私はその確認をするためにここに来ている」
204 碇シンジ 「写真とかないの?」
205 碇ゲンドウ 「残ってはいない。この墓もただの飾りだ。遺体はない」
206 碇シンジ 「先生の云ってた通り、全部捨てちゃったんだね」
207 碇ゲンドウ 「全ては心の中だ。今はそれでいい」
その5年前 ――
208 赤木リツコ 「死ぬ前の晩、母さん云ってたわ。マギは3人の自分なんだって。科学者としての自分、母としての自分、女としての自分、その3人がせめぎあってるのがマギなのよ。人の持つジレンマをわざと残したのね」
209 赤木ナオコ 「そういう冷たいところ、変らないわね。自分の幸せまで逃がしちゃうわよ」
210 赤木リツコ 「幸せの定義なんてもっと判らないわよ。さてと、飲みにいくの久しぶりだわ」
211 赤木ナオコ 「おつかれさま」
212 赤木リツコ 「おつかれさま」
213 赤木ナオコ 「?・・・・・何か御用?レイちゃん」
214 綾波レイ(9歳) 「道に迷ったの」
215 赤木ナオコ 「あら、そう。じゃあ、私と一緒に出ようっか」
216 綾波レイ(9歳) 「・・・・・いい・・・・・」
217 赤木ナオコ 「でも、一人じゃ帰れないでしょ」
218 綾波レイ(9歳) 「大きなお世話よ。ばあさん」
219 赤木ナオコ 「・・・・なに?」
220 綾波レイ(9歳) 「一人で帰れるから放っといて、ばあさん」
221 赤木ナオコ 「人のことばあさん、なんて云うもんじゃないわ」
222 綾波レイ(9歳) 「だってあなたばあさんでしょ」
223 赤木ナオコ 「怒るわよ。碇所長に叱ってもらわなきゃ」
224 綾波レイ(9歳) 「所長がそう云ってるのよ、あなたのこと」
「ばあさんはしつこいとか、ばあさんは用済みだとか」
「ばあさんはしつこいとか、ばあさんは用済みだとか、ばあさんは用済み、ばあさんは用済み、所長が云ってるのよ、あなたの事」
225 碇ユイ 「所長が云ってるのよ、あなたのこと・・」
226 赤木ナオコ 「あんたなんか」
227 葛城ミサト 「・・・・すごい」
228 伊吹マヤ 「エ、エヴァ再起動」

「まさか・・・信じられません!初号機シンクロ率が400%を越えています!!」

229 赤木リツコ 「やはり目覚めたの?・・・彼女が」
230 葛城ミサト 「使徒を食ってる?」
231 赤木リツコ 「S2機関を自ら取り込んでいるというの?エヴァ初号機が」

「拘束具が・・・」

232 日向マコト 「拘束具?」
233 赤木リツコ 「・・・・そうよ、あれは装甲版ではないの。エヴァ本来の力を私達が押さえ込む為の拘束具なのよ。その呪縛がエヴァ自らの力で解かれていく。私達にはもうエヴァを止めることはできないわ」
234 加持リョウジ 「初号機の覚醒と解放。ゼーレが黙っちゃいませんな。これもシナリオのうちですか?碇司令」
235 冬月コウゾウ 「―――始まったな」
236 碇ゲンドウ 「―――ああ。全てはこれからだ」
237 綾波レイ 「―――――まだ生きてる」
238 碇シンジ 「綾波!」
「よかった、綾波が無事で」

「あの、父さんはこないんだ。ありがとう、助けてくれて」

239 綾波レイ 「何が?」
240 碇シンジ 「何がって・・・零号機を捨ててまで、助けてくれたじゃないか。綾波が」
241 綾波レイ 「そう、あなたを助けたの」
242 碇シンジ 「うん。覚えてないの?」
243 綾波レイ 「いえ、知らないの。多分、私は3人目だと思うから」
244 碇シンジ 「綾波、レイ?!!」
245 葛城ミサト 「まさか、エヴァのダミープラグは・・・」
246 赤木リツコ 「そう、ダミーシステムのコアとなる部分。その生産工場よ」
247 葛城ミサト 「これが」
248 赤木リツコ 「ここにあるのはダミー。そしてレイの為のただのパーツに過ぎないわ。人は神様を拾ったので喜んで手に入れようとした。だからバチが当たった。それが15年前。せっかく拾った神様も消えてしまったわ。でも今度は、神様を自分達で復活させようとしたの。それがアダム。そしてアダムから神様に似せて人間を作った。それがエヴァ」
249 碇シンジ 「ヒト、人間なんですか?」
250 赤木リツコ 「そう、人間なのよ。本来魂のないエヴァには人の魂が宿らせてあるもの。みんなサルベージされたものなの。魂の入った入れ物はレイ、一人だけなの。あの娘にしか魂は生れなかったの。ガフの部屋は空っぽになってたのよ。ここに並ぶレイと同じ物には魂がない。唯の入れ物なの」

「だから壊すの。憎いから」

251 綾波レイ:「これが、涙?初めて見るはずなのに初めてじゃないような気がする。
       私、泣いてるの?
       何故、泣いているの?」
252 葛城ミサト 「!あんた!何やってんのか、わかってんの!?」
253 赤木リツコ 「・・・・。ええ、判ってるわ。破壊よ。人じゃないもの、人の形をしたものなのよ」
254 鈴原トウジ 「済まんな、転校生。ワシはお前を殴らないかん。殴っとかな気が済まへんのや」
255 碇シンジ 「・・・僕だって乗りたくて乗ってるわけじゃないのに・・・」
256 鈴原トウジ 「ほな、行くか」
汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン プロダクションモデル3号機 制御不能
257 碇ゲンドウ 「3号機は、現時刻をもって破棄。目標を第13使徒と識別する」
258 碇シンジ 「・・・使徒。これが使徒ですか?」
259 碇ゲンドウ 「―――そうだ。目標だ」

「シンジ、何故戦わない?」

260 碇シンジ 「だって、人が乗ってるんだよ!父さん!」
261 碇ゲンドウ 「かまわん!そいつは使徒だ!我々の敵だ!!」
262 碇シンジ 「でも・・・でも、できないよ!助けなきゃ!人殺しなんてできないよ!!」
263 碇ゲンドウ 「お前が死ぬぞ!!」
264 碇シンジ 「いいよ!人を殺すよりはいい!!」
265 碇ゲンドウ 「!!かまわん!パイロットと初号機のシンクロを全面カットだ!!」
266 伊吹マヤ 「カットですか?」
267 碇ゲンドウ 「そうだ!回路をダミープラグに切り替えろ!」
268 伊吹マヤ 「しかし・・・ダミーシステムには、まだ問題も多く、赤木博士の指示もなく・・・」
269 碇ゲンドウ 「今のパイロットよりは役立つ。やれ・・・」
270 碇シンジ 「何をしたんだ!!父さん!!」
271 伊吹マヤ 「システム正常!」
「更にゲインが上がります」
272 綾波レイ:「乗っているわ・・・・彼」

洞木ヒカリ:「鈴原の好きな人って、綾波さんかもしれない」
惣流・アスカ・ラングレー:「鈴原が?あの優等生を?」
洞木ヒカリ:「お昼、仲良さそうだったし」
惣流・アスカ・ラングレー:「安心してヒカリ。それはないわ。
                あの女はシンジの一万倍も人の付き合い知らないもの」
洞木ヒカリ:「そう?」
惣流・アスカ・ラングレー:「ひとつ聞いていい?」
洞木ヒカリ:「何?」
惣流・アスカ・ラングレー:「あの熱血バカのどこがいいわけ?」
洞木ヒカリ:「・・・優しいところ」

273 鈴原トウジ:「変わったなぁ」
碇シンジ:「何が?」
鈴原トウジ:「シンジや。初めて逢うた時は、正直いけ好かんやっちゃ、と思うたけどな。
        人の為に何かする奴とも思えなんかったし。
        ま、要するに余裕なんやろな。
        そないなことは」
相田ケンスケ:「トウジのヤツ。反省してた。妹に諭されたらしい。
          私達を救ってくれたのは、あのロボットなのよって」
274 碇シンジ 「やめてよ!父さん止めてよ!こんなの止めてよ!!クソッ!止まれよ!!止まれ!とまれぇ!止まれ!止まれ!」
「やめろおぉおお!」
275 葛城ミサト 「シンジ君、何もいえなくてごめんね・・・3号機のパイロットは、フォースチルドレンは―――」
276 碇シンジ 「・・・トウジ?」
277 葛城ミサト 「シンジ君?、シンジ君?」
278 碇シンジ 「僕の父さんってどんな人ですか?」
279 加持リョウジ 「こりゃまた唐突だな」
280 碇シンジ 「加持さんずっといっしょにいるみたいだし」
281 加持リョウジ 「一緒にいるのは副指令さ。君は自分の父親の事を聞いて回ってるのかい?」
282 碇シンジ 「・・・ずっと一緒にいなかったから」
283 加持リョウジ 「知らないのか?」
284 碇シンジ 「でもこの頃分かったんです。父さんの事、色々と。仕事の事とか、母さんの事とか。だから――」
285 加持リョウジ 「それは違うな。わかった気がするだけさ。人は他人を完全には理解できない。自分自身だって怪しいものさ。100%理解し合うのは不可能なんだよ。まあ、だからこそ、人は自分を、他人を知ろうと努力する。だから面白いんだな、人生は」
286 碇シンジ 「ミサトさんもですか」
287 加持リョウジ 「彼女、というのは遥か彼方の女と書く。女性は向こう岸の存在だよ。我々にとってはね」
288 赤木リツコ 「京都。何しに行ってきたの」
289 加持リョウジ 「あれ?松代だよ。その土産」
290 赤木リツコ 「とぼけても、ムダ。あまり深追いするとヤケドするわよ。これは友人としての忠告」

 

291 加持リョウジ 「真摯に聞いとくよ。どうせヤケドするなら君との火遊びがいいな」
292 葛城ミサト 「花火でも買ってきまようか」
293 加持リョウジ 「あ、おかえり」
294 葛城ミサト 「変わんないわねぇ、そのお軽いとこ」
295 加持リョウジ 「いやあ、変わってるさ。生きるって事は変わるってことさ」
296 赤木リツコ 「ホメオスタシスとトランジスタシスね」
297 葛城ミサト 「何それ?」
298 赤木リツコ 「今を維持しようとする力と変えようとする力、その矛盾するふたつの性質を一緒に共有しているのが生き物なのよ」
299 葛城ミサト:「加持君、私、変わったかな」
加持リョウジ:「・・・・きれいになった」
葛城ミサト:「つかれたわ。
        きれいな自分を維持するのに
        きれいなフリを続けている自分にもう、疲れたわ。
        私は汚れたいの
        汚れた自分を見てみたかったのよ」

加持リョウジ:「葛城。俺だ。
         多分この話を聞いているときは、
         君に多大な迷惑をかけた後だと思う。すまない。
         リッちゃんにもすまないとあやまっといてくれ。
         迷惑ついでにオレの育てていた花がある。
         俺の代わりに水をやってくれると嬉しい。
         場所はシンジ君が知っている。
         葛城、真実は君と共にある。迷わず進んでくれ。
         もう一度逢えることがあったら、8年前に云えなかった言葉を言うよ。
         じゃあ」

300 葛城ミサト 「バカ、あんたホントにバカよ」
301 加持リョウジ 「よう、遅かったじゃないか」
302 惣流・アスカ・ラングレー 「いい加減なこと、云わないでよ!!バカシンジのくせにっ!」
「―――ウソ」

「ミサトやバカシンジの使ったお湯なんか誰が入るもんか。ミサトやバカシンジの下着を洗った洗濯機なんか、誰が使うもんか」
「ミサトやバカシンジの使ったトイレなんか誰が座るもんか。ミサトやバカシンジと同じ空気なんか、誰が吸うもんか」

「ミサともイヤ。シンジもイヤ。ファーストもイヤ。パパもイヤ。ママもイヤ。でも自分が一番イヤ!もぉぉイヤ!がまんできないっ!!」

「何でこの私が!!」
「私がぁっ!!」

303 惣流・アスカ・ラングレー:「惣流・アスカ・ラングレーです、よろしく」
               「あんたバカぁ!?」
               「チャ〜〜ンス」
               「だから私を見て!!」

               「違う!!違う!こんなの私じゃない!」

               「惣流・アスカ・ラングレーです、よろしく」
               「あんたバカぁ!?」
               「チャ〜〜ンス」
               「だから私を見て!!」

               「違う!!違う!こんなの私じゃない!」

               「惣流・アスカ・ラングレーです、よろしく」
               「あんたバカぁ!?」
               「チャ〜〜ンス」
               「だから私を見て!!」

               「違う!!違う!こんなの私じゃない!」

               「惣流・アスカ・ラングレーです、よろしく」
               「あんたバカぁ!?」
               「チャ〜〜ンス」
               「だから私を見て!!」

               「違う!!違う!こんなの私じゃない!」

               「惣流・アスカ・ラングレーです、よろしく」
               「あんたバカぁ!?」
               「チャ〜〜ンス」
               「だから私を見て!!」

               「違う!!」
               「違う!!違う!こんなの私じゃない!」
               「だから、私を見て!いや!そんなの思い出にさせないで!
                せっかく忘れてるのに掘り起こさないで!
                そんなイヤなこといらないの!もうやめて、やめてよう・・・
                汚された・・・わたしの心が。
                加持さん、汚されちゃった・・・どうしよう
                汚されちゃったよぅ」

304 碇シンジ 「よかったねアスカ」
305 惣流・アスカ・ラングレー 「うるさいわね!ちっともよかないわよ!よりによってあの女に助けられるなんて・・・あんな女に助けられるなんて・・・・あんな女に助けられるなんて・・そんな事なら死んだほうがマシだったわよっ!」

「嫌い、嫌い、みんな嫌い!だいっきらい!!」

 
306 碇シンジ 「どうすればいい?」
307 渚カヲル 「歌はいいね」
308 碇シンジ 「え?」
309 渚カヲル 「歌は心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極だよ」
「そう感じないか?碇シンジ君」
310 碇シンジ 「僕の名を?」
311 渚カヲル 「知らないものはいないさ。失礼だが、君は自分の立場を少し知ったほうがいいと思うよ」
312 碇シンジ 「そう、かな?・・・あの君は?」
313 渚カヲル 「僕はカヲル。渚カヲル。君と同じ仕組まれた子供。フィフスチルドレンさ」
314 碇シンジ 「フィフスチルドレン?君が?あの・・・渚君?」
315 渚カヲル 「カヲルでいいよ。碇君」
316 碇シンジ 「僕も、あの、シ、シンジでいいよ」
 
317 渚カヲル 「さあ、いくよ。おいで、アダムの分身。そしてリリンの下僕(しもべ)
318 日向マコト 「エヴァ弐号機起動!」
319 葛城ミサト 「そんなバカな!?アスカは!?」
320 青葉シゲル 「303号室です!確認済みです!」
321 葛城ミサト 「じゃあ一体誰が!?」
322 伊吹マヤ 「無人です!弐号機にエントリープラグは挿入されていません!」
323 葛城ミサト 「誰もいない?フィフスの少年ではないの?」
324 日向マコト 「セントラルドグマにATフィールドの発生を確認!」
325 葛城ミサト 「弐号機」
326 日向マコト 「いえ、パターン青!間違いありません!使徒です!」
327 葛城ミサト 「なんですって!!使徒?あの少年が?」
328 アナウンス 「目標は第4層を通過。なお降下中」
329 青葉シゲル 「だめです!リニアの電源は切れません」
330 アナウンス 「目標は第5層を通過!」
331 冬月コウゾウ 「セントラルドグマの全隔壁を緊急閉鎖!少しでもいい、時間を稼げ」

「まさか、ゼーレが直接送り込んでくるとはな」

332 碇ゲンドウ 「老人は予定を一つ繰り上げるつもりだ。我々の手で」
333 SEELE 01:「ヒトは愚かさを忘れ、同じ過ちを繰り返す」
SEELE 02:「自ら贖罪を行なわねば、ヒトは変わらぬ」
SEELE 01:「アダムや使徒の力は借りぬ」
SEELE 02:「我々の手で、未来へと変わるしかない」
SEELE 01:「初号機による遂行を願うぞ」
334 青葉シゲル 「装甲隔壁はエヴァ弐号機により、突破されています」
335 日向マコト 「目標はコキュートスを通過」
336 碇ゲンドウ 「エヴァ初号機に追撃させる」
337 葛城ミサト 「ハイ」
338 碇ゲンドウ 「いかなる方法をもってしても、目標のタームナルドグマへの侵入は阻止しろ!」
339 葛城ミサト 「しかし、使徒は何故弐号機を?」
340 冬月コウゾウ 「もしや弐号機との融合を果たすつもりなのか?」
341 碇ゲンドウ 「または、破滅を導く為かだ」
342 碇シンジ 「うそだ!うそだ!うそだ!カヲル君が使徒だったなんて、そんなのうそだ!」
343 葛城ミサト 「事実よ。受け止めなさい。出撃、いいわね」
344 渚カヲル 「遅いな、シンジ君」
345 青葉シゲル 「エヴァ初号機、ルート2を降下。目標を追撃中」
346 碇シンジ 「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!」

「父さんと同じに裏切ったんだ!」

347 青葉シゲル 「初号機、第4層に到達。目標と接近します!」
348 碇シンジ 「いた!」
349 渚カヲル 「待っていたよ、シンジ君」
350 碇シンジ 「カヲル君!」

「アスカ、御免よ!」
「くっ!!」

351 渚カヲル 「エヴァシリーズ、アダムより生まれし、人間にとって忌むべき存在」
「それを利用してまで生き延びようとするリリン。僕にはわからないよ」
352 碇シンジ 「カヲル君!やめてよ!どうしてだよ!」
353 渚カヲル 「エヴァは僕と同じ体でできている。僕もアダムより生れしものだからね。魂さえなければ同化できるさ」
「この弐号機の魂は、今、自ら閉じこもっているから」
354 碇シンジ 「あっ」

「ATフィールド!」

355 渚カヲル 「そう、君達リリンはそう呼んでいるね」
「何人にも犯されざる聖なる領域。心の光」
「リリンにもわかっているんだろう。ATフィールドは、誰もが持っている心の壁だと云うことを」
356 碇シンジ 「そんなのわからないよ!!カヲル君!!」
357 日向マコト 「エヴァ両機、最下層に到達」
358 青葉シゲル 「目標、ターミナルドグマまで、あと20」
359 葛城ミサト 「初号機の信号が消えて、もう一度変化があったときは」
360 日向マコト 「わかってます。その時は、ここを自爆させるんですね」
「サードインパクトを起こさせるよりはマシですからね」
361 葛城ミサト 「すまないわね」
362 日向マコト 「いいですよ。あなたと一緒なら」
363 葛城ミサト 「ありがとう」

「どういうこと!?」

364 日向マコト 「これまでにない強力なATフィールドです!」
365 青葉シゲル 「光波、電磁波、粒子も遮断しています!何もモニターできません!!」
366 葛城ミサト 「まさに結界か」
366 伊吹マヤ 「目標及びエヴァ弐号機、初号機ともにロスト!パイロットとの連絡も取れません」
367 碇シンジ 「カヲル君」

「待って!!」
「ウッ」

368 青葉シゲル 「最終安全装置、解除!」
369 日向マコト 「ヘヴンズドアが開いていきます!」
370 葛城ミサト 「ついにたどり着いたのね。使徒が。日向君」
371 碇シンジ 「何だ!?」
372 葛城ミサト 「状況は!?」
373 日向マコト 「ATフィールドです!!」
374 青葉シゲル 「ターミナルドグマの結界周辺に先と同等のATフィールド発生!」
375 葛城ミサト 「まさか、新たな使徒!?」
376 伊吹マヤ 「結界の中へ侵入していきます!」
377 青葉シゲル 「だめです!確認できません!あ、いえ、消失しました」
378 葛城ミサト 「消えた?使徒が?」
379 渚カヲル 「――アダム。我らの母たる存在。アダムに生まれしものは、アダムに還らなければならないのか?人を滅ぼしてまで」

「違う。これは――リリス」
「そうか。そういうことか。リリン」

「ありがとう、シンジ君。弐号機は君に止めてもらいたかったんだ。そうしなければ、彼女と生き続けたかもしれないからね」

380 碇シンジ 「カヲル君・・・どうして・・・」
381 渚カヲル 「僕が生き延びることが、僕の運命だからだよ。結果、人が滅びてもね」
「僕はこのまま死ぬこともできる。生と死は等価値なんだ。自らの死、それが唯一の絶対的自由なんだよ」
382 碇シンジ 「何を・・・カヲル君?君が何を云ってるのかわかんないよ!?」
383 渚カヲル 「遺言だよ」

「さあ、僕を消してくれ。そうしなければ君らが消える事になる。滅びの時を免れて、未来を与えられる生命体は一つしか選ばれないんだ。そして君は死すべき存在ではない」

「君達には未来が必要だ」

「ありがとう。君に会えてうれしかったよ」

 
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